言わずと知れた世界最強の戦略コンサルティング会社、マッキンゼー。

綿密な取材をもとにその内幕を暴いた一冊。

この会社で働きたいと思う人こそ、読むべき。

汚点や欠点を理解した上で、まだこの会社にしかできないポジティブな影響力を行使したい人がいくべき。

 

 

目次

はじめに マッキンゼーが街にやってきたら

第1章 罪悪感なき豊和かさ ― マッキンゼーの価値観

第2章 勝者と敗者 ― 不平等マシン

第3章 両立 ー 政府を助けてみずからの身も助く

第4章 マッキンゼーと移民問題 ー 「政策はやらない。やるのは実行だ」

第5章 中国政府との仲睦まじさ 

第6章 冥界の門番 ー タバコで電子タバコ

第7章 オピオイドの販売促進

第8章 炭鉱をダイヤモンドに変える

第9章 有毒な債務 ー ウォール街のマッキンゼー

第10章 オールステートの日罪のスライド ― 「勝負やゼロサムゲーム」

第11章 エンロン・アストロズ 

第12章 アザラシを殴る ー 南アフリカにおける大失態

第13章 チャモクラシー ー イギリス国民保険サービスの半世紀

エピローグ

 

 

〈抜き書き〉

エピローグ P. 372 

本社は、インタビューだけでなく、話し言葉以外の大量の資料にもどついている。わたしたちは部外者としては初めて、マッキンゼーのクライアントリストや請求書を覗き見た。政府もクライアントも競合他社も、それどころか自社の従業員さえも、本来見ることのできない極秘の情報だ。そうした情報をもとに、潜在的な利益相反を何層にもわたって明らかにすることができた。たとえば、利害の対立するクライアントに並行してコンサルティングを行ったり、合併・買収・提携の際、両方の側に助言したりするという「長年の方針」などだ。

競合他社のベイン・アンド・カンパニーは、これを間違ったアプローチだと考えており、同じセクターのクライアントをいちどに一社しか受け入れないという。マッキンゼー側は、社内の壁により機密情報の受け渡しを不正できると弁明している。

マッキンゼーの自由放任主義的な経営スタイルのせいで、コンサルタントたちは、中毒性のある製品を宣伝したり、所得格差を拡大する政策を推奨したり、大気汚染の原因をつくるなど国際舞台で悪者扱いされている企業を支援したりして、巨額の報酬を得ている。マッキンゼーには「良いことをしたい」「恩に報いたい」という思いがあるのは間違いない。しかし、ある元コンサルタントが言うとおり、害を減らす方法も見出すべきだろう。