本日は日本を代表する作家、村上春樹さんについて。

日経新聞 2023年4月13日 分から抜粋。

 

村上春樹が新作長編 約40年前の中編「書き直す時来た」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD192QL0Z10C23A3000000/

 

御年、74歳。

6年ぶりの長編出版に関連したインタビュー記事。

例によって小説の書き方について触れているところがあったので、抜粋させていただく。

 

「小説家は肌で感じたものを書くのであって、考えすぎると書けない。(頭に)情報を入れておいて、それを変容させて書くのが小説だと思います。小説は頭の良いタイプと勘の良いタイプに分かれるが、一番良いのは勘が良くて頭がまあまあなタイプ。僕はそれを目指しています」

「今でこそ行かなくなったが、10代のころは図書館に良く通った。図書館マニアのところもあり、本のにおいを嗅いでいるだけで楽しかった。ただし、日本の小説を読むようになるのは作家になってからで、当時は海外文学ばかり読んでいた。親が国語の先生だったので、共通の話題ができるのは避けたかった」

「もう一つの世界に行くには、意思の力や信じる力、そして体力が必要。力を振り絞らないと向こうの世界に行けない。そこでは信じる力は大事なことだと思うんですよね。だから僕の小説はペシミスティック(悲観的)でもネガティブ(否定的)でもない。変なものがいっぱい出てきて、暗いところもあるが、根本的にはポジティブ(肯定的)な物語。物語はポジティブじゃないといけないと考えています。」

「・・・僕自身は意識と無意識を行き来するうちに立体感をつかむという方法論をとっており、それまでの日本文学の流れとは異なる。・・・」

「影というのは潜在意識の中の自己、もう一人の自分なのですね。相似形であると同時にネガでもある。それを知ることは自分を知ることになる。とりわけ長編小説を書く場合は(潜在意識を)深くまで掘っていく必要がある」

「40年でフルマラソンを40回走った。体は大事。もし走っていなかったら人生がどうなっていたか分からない。禁欲的といわれますが、そうではなく、走ったらどうなるだろうという好奇心によるところが大きい」

 

これまでも村上春樹さんの創作術については日本語、英語でいろいろなものを読んできた。

物語についてはポジティブであることが大事といった言及や、日本文学流れとは異なる自身の執筆スタイルの違いについて触れているのは斬新だった。

 

走ることから受ける創作への影響についてはあまりに有名。

こちらは何回も読んでいる。

 

現代日本を代表する稀代の文豪の最新作。

チェックしておきたい。