長かった夏もようやく終わりが見えてきて、少し涼しくなってきました。
休日はやっと外に出て、目一杯アウトドアライフを楽しもう!、とは思うのですが、秋の夜長こそ本を読んだり、ドラマを観たりといつものインドア癖がなかなか抜けません…。
さてNetflixで独占配信が開始されたある韓国ドラマが話題になっています。
麻薬王を追う国家情報院や、極秘任務に巻き込まれた民間人達を描く実話を基にしたフィクションで『ナルコの神』という作品です。
舞台は南米の小国スリナム、影の麻薬王として君臨する牧師と、ひょんなことから国家情報院のスパイとして作戦に加担することになった民間人が登場します。
サスペンスやクライム小説のジャンルでは中南米を舞台に麻薬戦争がテーマとなった名作がたくさんあり、いろいろと読んできたのですが、やはり映像化された作品には特別な力があります。
さて、この麻薬戦争、なぜこうも終結が訪れないのでしょうか。
今月もメキシコ政府は南部ゲレロ州で2014年9月に教員養成学校の学生43人が失踪した事件をめぐり、軍の関係者を数名逮捕したと発表しています。
背景に麻薬組織が絡んでいるのはもちろんですが、逮捕者には軍関係者、連邦検察庁長官経験者、汚職警官、と国家の中枢を担う面々がそろっています。
この問題の根源を理解するのに役立つ、とっておきの本を見つけました。
All Reviewsでは書評(評者は星野 智幸さん)を読むことができます。
「グローバル化の波によって崩れた結果、政治がマフィアにのみ込まれてコントロールできる者が誰もいない、という現状に陥った」と星野さんは指摘しています。
多国籍企業化したカルテルは、あらゆる産業を自ら経営するようになり、GDPの6割以上は何らかの形でカルテルに関係している、という試算もあるそうです。
国家運営を担う組織から逮捕者が続出しているのも理解できます。
書評を締めくくる「これほどの怪物を育てたのは無関心と貧困だという事実が、まるでこれからの日本を予言しているかのよう」という厳しい見立てには背筋が凍る思いがします。
「麻薬戦争」はエンターテインメントなどではなく、リアルな日常として日々直面している人々がいることを忘れないようにしたいと思います。
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