中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのかについて書かれた本。
調査されている調査層は中高生。
ただ、どんなものが若年層にウケるかを知るだけでなく、文章を書く上で何を意識すべきかのヒントが詰まった一冊。
とてもためになったので、ポイントをメモしておきたい。
文章を書く人はぜひ手に取っていただきたい。
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中高生が好むフィクションの共通点 P. 70
この年代が情動・衝動優位であることを踏まえて中高生が読んでいる本を眺めていくと、以下のようなニーズを満たしていることが推察ができる。
1.正負両方に感情を揺さぶる
2.思春期の自意識、反抗心、本音に訴える
3.読む前から得られる感情がわかり、読みやすい
読まれる本の「四つの型」 P. 74
まずは代表的な「型」を見ていこう。「型」とは、登場人物や作中世界の設定やプロット(あらすじ、筋書き)の基本的なパターンを指している。「ジャンル」と呼ばないのは、同じ「型」を使っていても、場合によってミステリーであったり純文学であったり、ホラーであったりゲーム系ファンタジーであったりするからだ。ジャンルをまたがり、さらには一般文芸かライトノベルかといった「出版カテゴリー」の違いも超えて共通する、中高生に人気の「型」が存在するのである。
その代表的なものを四つあげてみよう。
①自意識+どんでん返し+真情爆発 作品例)『人間失格』『ARMS』
②子どもが大人に勝つ
③デスゲーム、サバイバル、脱出ゲーム
④「余命もの(志望確定ロマンス)」と「死者との再会・交流」
もちろん、これが中高生が読んだ本の上位すべてに該当するわけではないが、けっこうな割合の作品が、このいずれかの要素を含んでいる。中高生の三大ニーズである、
1.正負両方に感情を揺さぶる
2.思春期の自意識、反抗心、本音に訴える
3.読む前から得られる感情がわかり、読みやすい
を効率よく満たす方法(表現上のパターン)の典型が、この四つということだ。
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この分析を踏まえた、若い読者に人気の作品に対する鋭い論評も魅力。
取り上げられた書籍には、下記のようなベストセラー作品が含まれている。
『君の膵臓をたべたい』、『また、同じ夢を見ていた』 、『か「」く「」し「」ご「」と「』
『人間失格』、『ARMS』、『リアル鬼ごっこ』、『ガリレオ』・・・
ベストセラーの解析書としても読める興味深い一冊となっている。