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Fabio Caipirinha(ファビオ・カイピリーニャ)

今朝読んだTIME誌のインタビューがおもしろかったです。

TIME誌はこうやってたまに作家特集を組みますね。以前は作家ジョナサン・フランゼンに関するこんな記事もありました。
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Great American Novelist | Aug. 23, 2010

さて今回取り上げられていたのは、世界中で2000万部以上を売り上げたベストセラー作家、テイラー・ジェンキンス・リード(41才)さん。

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TIME: How Taylor Jenkins Reid Became a Publishing Powerhouse
MAY 15, 2025 8:00 PM JST

彼女の創作術は、よくある「構成はこうあるべき」とか、「3幕構成で」などの技術的な話とは少し違っていて、もっと根源的な“気持ち”の部分から物語を立ち上げていくといいます。

今日の投稿はこれから物語を書こうとしている方や、自分らしい表現を模索している方の参考になれば嬉しいです。

1|物語は「どんな気持ちを書きたいか」から始める
リードさんは、プロットから物語を組み立てるタイプの作家ではないそうです。彼女の物語は、「私はどんな感情を書きたいのか?」という問いから始まります。
たとえば…
• 壊れる寸前の恋
• 成功と引き換えに失うもの
• 声を奪われた人の静かな怒り

こうした「感情の核」を最初に決めることで、物語全体にぶれない芯が通るんですね。
物語を書いてると、ついつい構成や設定ばかりを気にしてしまうのですが、「自分が何に一番揺さぶられているのか?」に向き合うことが、第一歩なんだとわかります。

2|その気持ちが最も輝く「舞台」を探す
次に、リードさんが考えるのは「この感情が一番引き立つ場所はどこだろう?」ということ。
たとえば、孤独なら宇宙船、プレッシャーならテニスの決勝戦、権力闘争なら80年代のハリウッド。
彼女の小説『Atmosphere』では、宇宙と地上の女性たちが登場する壮大な恋愛が描かれています。
感情と舞台が噛み合うことで、物語がより深く、よりリアルに響くんだと思います。
「なぜこの舞台を選ぶのか?」を一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。

3|キャラクターには「外から見える顔」と「内に隠した顔」を持たせる 
リードさんの登場人物は、表と裏、理想と現実のあいだで揺れ動きます。
「完璧な母に見られたいけど、本当は自由でいたい」
「クールなスターだけど、本当は愛に飢えている」
こうした“ズレ”や“ひずみ”が、人物に奥行きを与えてくれます。
読者としても、「この人、本当はどう思ってるんだろう?」と想像したくなりますよね。
物語を書くときは、この“見せたい顔”と“見せられない顔”のバランスを大事にしたいなと思いました。

4|「週末で読了できる読みやすさ」を意識する
彼女の作品は「没入感があって読みやすい」と評価されています。
けれど彼女いわく、それを実現するのはとても難しいことなんだそうです。
一文一文、「これは読者を飽きさせていないか?」「テンポを止めていないか?」を細かくチェックしながら書いているといいます。
読者のリズムに寄り添いながら、自分の伝えたいことも込める――
これは、技術というより読者への“思いやり”と呼んでもよいのかもしれませんね。

5|「文学的でなければならない」という思い込みから自由になる
かつて彼女は、「もっと文学的な評価がほしい」と思い悩んだ時期があったそうです。
けれど、あるときからこう思うようになったといいます。
“もしかしたら私は、軽めの「ジョナサン・フランゼン」なのかもしれない。でも、それでいいんじゃない?”
自分の文体、自分の表現。
それを信じて大切にすることが、結局いちばん遠くまで届くのかもしれません。

6|ヒットは「再現できない」けれど「準備」はできる
女優エヴリンの七人の夫』がBookTokでバズったのは、刊行から4年後のこと。
まさに“思いがけないヒット”です。
けれどその時、彼女にはすでに他の作品(バックリスト)が揃っていたため、読者が次々と他の本にも手を伸ばしてくれたといいます。
今すぐ評価されなくても、書き続けておくことで、どこかで誰かの目にとまるチャンスが来るのかもしれません。その時のためにやはりたくさん書き溜めておく必要がありますね。

7|創作とは、自分の「心の部屋」に入ること
リードさんは、アイデンティティについて夫と話すなかで、こんな言葉をもらったそうです。

「人の心は、いくつもの部屋からできている家みたいなものなんだよ」

創作とは、その部屋に入って、そこにある感情や記憶と静かに向き合うことかもしれません。
見ないようにしていた部屋。鍵をかけていた部屋。懐かしい景色のある部屋。
そこに入って言葉を紡ぐことが、物語を書くという行為なのかもしれません。

最後にリードさんは、こんな言葉も残しています。

“I’m chasing a feeling. Maybe it doesn’t matter if I’m fancy. Maybe I’m just fun.”
(私は感情を追いかけている。文学的かどうかなんて関係ない。それはただ、楽しいということだけかもしれない)

 

リードさんご本人が語るインタビュー動画はこちらから。

https://time.com/7284944/taylor-jenkins-reid-atmosphere-interview/?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=editorial&utm_term=entertainment_&linkId=820003694
 

それでは、今日も元気にKeep Writing!◾️