前回の投稿から英語の学習法についてなにかいいものはないか、といった反応をいただきました。
英語の学び方はビジネスパーソンの永遠の課題の一つですよね。
ということで、今日は普段の生活の中のちょっとした時間の確保+ポッドキャストの活用から、英語の学習法について考えてみたいと思います。
具体的にどのポッドキャストプログラムを活用すればいいのか、どのような活用方法があるのか、詳しく見ていきたいと思います。
私もさんざん語学学習には苦労してきたので、なにがしかのヒントになればとてもうれしいです。
さて、通勤時間は音楽やラジオを聞いたりして過ごす方も多いと思います。
最近こそリモートワークが増えましたが、よくよく考えてみると、(移動自体は苦渋に満ちていましたが)通勤時間自体は毎日必ず発生する、かつ望めば目的をもって確保もできる、まとまったなかなかイイ時間でした。
なにか新しいことを習慣にする際は、普段の生活の中から自然に取り組める時間を用いて、自然にできるようになるまで繰り返す、というのが一番効果的だそうです。
(今日ご紹介する、スタンフォード大学のFogg教授が話していました)
私も移動中はいつもポッドキャストを聴いています。お気に入りに登録しているプログラムがたくさんあります。
毎日聞くEconomist誌や、BBC World Newsのニュース系のものや、執筆に行き詰った時に聴くと効果があるHow to write(執筆術系)ものだったり、その時の気分次第でいろいろです。
今日ご紹介したいのは、Guy Kawasaki(ガイ・カワサキ)氏による『Remarkable People』というプログラムです。
このガイ・カワサキという人は、ご存知の方も多いと思いますが、アップルコンピュータ社の草創期にアップルフェロー(特別研究員)としてマッキントッシュの成功に寄与した人物で、エヴァンジェリストとして有名な人です。
自ら様々な企業を自ら設立したり、ビジネス本を出版したり、講演を行ったり、このポッドキャストプログラムを運営したり、と多岐にわたる活躍で知られ、米シリコンバレー・イノベーション界隈では知らない人はいないといわれます。
カワサキ氏のポッドキャストの内容はシンプルなもので、彼が注目する各界の非凡でイノベーティブな人々に一対一でインタビューを行うというものです。
これまで様々な業界のトップランナーがゲストとして招かれています。
たとえばジェーン・グドール(英・動物行動学者)、デービッド・イゲ(ハワイ州知事)、マーガレット・アトウッド(カナダの作家)、マーシャル・ゴールドスミス(エクゼクティブコーチ)、スティーブ・ウォズニアック(アップルの共同設立者の一人)、マーク・ベニオフ(セールスフォース社創業者)などなどそうそうたる人々が登場し、カワサキ氏が聞くままに彼ら彼女らの成功の秘密についてインタビューが繰り広げられます。
ハワイ出身の日系米国人のカワサキ氏の英語はゆったりとしており、声もはっきりと落ち着いているので、英語がそれほど得意な人ではなくても聞きやすいと思います。氏の感情がその声から伝わってくるのがよくて、ときどき自分もそこにいるような感覚になります(実際に氏は収録中によく楽しそうに笑います)。
ところで今回私が最強の英語学習法とタイトルに銘打って、彼のプログラムを推すのには理由があります。
様々なゲストが登場するカワサキ氏のポッドキャストを聴いて耳が英語になれるなどはもちろんですが、それ以上に効果があるのは、英語を通じてトップランナーたちの人生から何かしら新しいことを学べるからなんです。
こうした類の勉強は、英語を学ぶだけに止まらず、英語を通じて新しいことを学ぶ、にこそ大きな価値があると私は思っています。
特に忙しいビジネスパーソンが語学を勉強する際、その言語の学習だけを目的にしてしまうのはもったいない。
同じ時間をかけていても、やり方によっては、何倍ものリターンが見込めます。
もう少し詳しく見ていきます。
カワサキ氏のポッドキャストプログラムの2022年1月19日の回では、スタンフォード大学・行動デザイン研究所創設者兼所長の BJ Fogg 教授がゲストとして登場し、「理想の習慣を身につける秘訣」として知られる行動デザインモデルについてカワサキ氏とディスカッションをしています。
この研究は『習慣超大全 — スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』として日本でも刊行されており、お読みになった方もいらっしゃるかもしれません。
ポッドキャストプログラムの収録では本には書ききれなかった研究結果にも触れており、良い習慣を身に着けるうえでとても参考になる点がたくさん紹介されていました。
このように自分の仕事の仕方や生活を向上する考え方などを、各分野のゲストから直接学ぶことができるのがこのプログラムのよいところなのです。
なので英語力上達云々は副次的なものかもしれません。ただこのプログラムはしっかり活用すれば英語も必ず上達します。
なぜか。
このプログラムにはある特典が付いてくるからです。
ポッドキャストプログラムは移動中に聴いていたりすると、話の流れが分からなくなっても途中で止めて巻き戻すことができず、そのまま流してしまって聞き終わるころには不明点がどこだったかのかを忘れてしまうことがよくありますよね。
ここがカワサキ・プログラムの別の利点なのですが、毎回、各収録の transcript(書き起こし) がついているのです!
たとえば上記のFogg教授が来た際の出だしは、こんな具合です。
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Guy Kawasaki:
I’m Guy Kawasaki, and this is Remarkable People.
My guest today is BJ Fogg. He’s the author of the New York Times bestselling book, Tiny Habits.
He founded the Behavior Design Lab at Stanford over twenty years ago.
BJ has his back bachelors and master’s degree in English, from Brigham Young University, and a PhD in communications from Stanford.
BJ’s theory is that behavior happens when motivation, ability, and a prompt come together at the same moment.
If you want to change some behavior and add a good habit or two, keep listening.
(ガイ・カワサキです。この番組は『Remarkable People』です。
今日のゲストはBJフォッグさんです。彼はニューヨークタイムズのベストセラー「Tiny Habits」の著者です。
BJは20年以上前にスタンフォードで行動デザイン研究所を設立しました。
ブリガム・ヤング大学で英語の学士号と修士号を取得し、スタンフォード大学でコミュニケーションの博士号を取得しています。
BJの理論は、「行動は、動機、能力、プロンプトが同じ瞬間に揃ったときに起こる」というものです。
行動を変えたい、良い習慣を増やしたいと思っている方は、ぜひ聞いてみてください。)
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いかがでしょうか。
番組を聴くだけでなく、この書き起こしを読むと、プログラムの内容が一気に入りやすくなってきますよね。
もし書き起こしの英文をたどるのが少し面倒くさっかたら、ざっと Google 翻訳 や DeepL翻訳ツール に張り付けて、まず日本語で全体の流れをつかんでしまうのも手です。
何かを学ぶときに一番大切なのは、学習時にずるをしないことではなく、毎日触り続けることです。
使えるものはどんどん使って、どんどん楽をしましょう!
私もこのカワサキ・プログラムからは実に多くのことを学びました。
ゲストの話が勉強になるのはもちろんなのですが、真摯に耳を傾けるカワサキ氏自身からもいろいろなことを教えてもらいました。
現代のビジネスパーソンがテクノロジーとどう向き合うべきなのか、上司であったスティーブ・ジョブスはどんな人物だったのか、また、日系人としてどうアメリカという多国籍社会の中で生きてきたのか、、、。
これらはまた別の機会に詳しく書いてみたいと思います。
◆まとめ
さて、ポッドキャストプログラムを活用した最強の学習法、まとめはこちらです。
① 気になった回をどんどんダウンロードしましょう!
(ゲストの名前を聞いたことあるとか、知ってる人の方が入りやすい)
② さっそく聞いてみる
③ 聞くときは、「よし、英語を勉強するぞ!」、よりも、話の内容に意識を向ける
④ 最後に書き起こし(自分でコピペ翻訳しても良し)で、大意をつかむ/答え合わせする/聞き逃したところを拾う など自由に確認する
以上です。
業界のトップリーダーから新しいことを学びながら、英語の理解力も同時に上達すること間違いなしです!
Enjoy your learning!
◆参考リンク
● Guy Kawasaki’s Remarkable People:
https://remarkable-people.simplecast.com/
● スタンフォード大・BJ Fogg教授登場時のプログラム:
https://remarkable-people.simplecast.com/episodes/bj-fogg-stanford-behavior-scientist-and-nyt-best-selling-author-of-tiny-habits-os9hva5n
● 『習慣超大全 – スタンフォード行動デザイン研究所の自分を変える方法』
BJ・フォッグ 著/須川 綾子 訳
https://www.diamond.co.jp/book/9784478106310.html
● Google 翻訳
https://translate.google.co.jp/?hl=ja
● DeepL 翻訳ツール
https://www.deepl.com/ja/translator