出世 7つの法則 (日本経済新聞出版)
ジェフリー・フェファー、櫻井祐子

 

またおもしろい本を読んだ。

スタンフォード大学ビジネススクールの名物教授、ジェフリー・フェファー先生による一冊。

ちなみに教授のTwitterはこちら

ジェフリー・フェファー
https://twitter.com/JeffreyPfeffer

組織行動学分野で最も影響力のある経営思想家の1人とされる。

 

フェファー先生の本は以前も読んだことがあるが、本作はこれまでの集大成といった感じで、内容も整理されており、より実践しやすいように具体的に書かれている。

目から鱗のリーダーシップ処世術ともいうべき一冊。

 

 

 

権力をつかむために必要なリーダーシップというのは、人から好かれることで組織の上へ上へと押し上げてもらうようなものではない。

良い仕事をしていれば出世できる、というものでもない。

 

権力を勝ち取る、と覚悟を決めて、実際にそのために必要なことを実践できる人だけが、権力を勝ち取る。

これが本作の主旨。これを科学的なバッキングに根差して論じるから、とにかく説得力がある。

 

世の中に数多あふれる、リーダーになるには?本とは明らかに一線を画す名著。

 

この本から私が受け取ったメッセージは下記のとおり。

 

・権力というのは自分が達成したいことを実現するためのツール。

・そしてそのツールは勝ち取るまでの道のりはとても険しい。

・勝ち取るためにしなければいけないことが、科学的、統計的にここまでわかった。

・それらは、いずれも自分がこれまでの人生で信じ、実践してきた倫理観とはかけ離れたものかもしれない。

・それでも、権力を勝ち取れ。勝ち取れば社会のためになることに、そのツールを行使できるのだから。

(あなたがその権力闘争の過程で闇落ちさえしなければ・・・)

 

 

今回はKindleで読んだため、抜粋も楽々。

 

下記に付すが、どうやらハイライトし過ぎてしまった様子。

 

「エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。」

とのこと。

 

 

それくらいたくさんハイライトした。勉強になる。

自分のこうあるべき、という価値観をぐわんぐわんと揺さぶってくれるから、読んでいるのが楽しかった。

 

なお最後、巻末に自らの近況を紹介しているのだが、なんと愛する奥様との別れについて書かれていた。

最近、病気で亡くなられたようだ。

 

とても涙なしには読めなかった。

 

では、ここからは抜粋。

 

———– 

メモ付きのKindle本:
出世 7つの法則 (日本経済新聞出版)
ジェフリー・フェファー、櫻井祐子
注釈の最終更新日: 2023年10月1日 日曜日
434 個のハイライト | 0 個のメモ

 

黄色のハイライト | 位置: 132
権力は「怪しい」魔術ではなく、成功へのカギ

黄色のハイライト | 位置: 137
こういった誤解を解くためにも、権力を獲得し活用するための7つの法則を教えようと決意した。いったん権力を手にすれば、仕事やプライベートで成果がどんどん挙がるから、気が滅入ることもなくなるし、怪しいとも感じなく

黄色のハイライト | 位置: 140
そのうえ研究によれば、職務に関する権限の大きさや社会的地位は、健康状態にも大きく影響し*5、権力が高まるにつれて幸福感が増す*6 から、心身の健康が向上して幸せに

黄色のハイライト | 位置: 145
昔といまとでは価値観も世代も技術も違うし、とくにソーシャルメディアがすべてを変えてしまった、とよく言われる。それを考えると、私の講義や本が賛否両論なのも不思議ではない。なにしろビジネススクールなどが昨今教えるリーダーシップや経営のプログラムでは、権力や組織内の政治的駆け引きは「時代遅れ」だとされているの

黄色のハイライト | 位置: 148
権力に関する本や研究は、権力を獲得する方法を教えることに基本的に尻込みしている。権力について論じる研究のほとんどが、前向きで気分を引き立てウケもよいが、人間行動や社会生活に関する見方があまりにも楽観的で、現実とかけ離れている。権力や人間行動の基本的で永続的な現実を無視したり、あえて否定したりもする。そのせいで、世界をよりよくしよう、世界を変えようという、真摯で善意の努力はほぼ確実に失敗に終わる。物理と熱力学の法則を無視してロケットをつくっても成功するはずがないのと同じだ。そこで、権力に関する本の中から、権力や影響力の実態とかけ離れているように思われるものをいくつか挙げてみよ

黄色のハイライト | 位置: 166
『権力の終焉』は、権力の理論と現実が根本的に変化したことの証として、しょっちゅう取り上げられる。ナイムはこの本の中で、「グローバル化が経済の集中化を終わらせるのではないか?」と問いかけた。ビジネスや競争のグローバル化が進むにつれ、経済力が分散していくだろうというのだ。ナイムがこの問いを提起したのは2013年のことだが、いまとなってみれば答えは明らかだ。そしてその答えは、多くの人の予想に反して

黄色のハイライト | 位置: 185
残念ながら現実を見ると、新しい通信手段やソーシャルメディアを最もうまく活用しているのは、政治力や経済力をすでに握っている人々だ。「権力が権力を呼ぶ」現象は世界中ほぼどこでも見られると、フィリピン在住のメディア評論家は指摘

黄色のハイライト | 位置: 203
ひとことで言えば、権力の終焉は見られないし、権力の現れ方も変わっていない。人が思うほど、または期待するほど、世の中は変わっていないのだ。したがって、世界の先頭に立つためには、権力というものの基本原理、すなわち権力の法則を理解することが欠かせ

黄色のハイライト | 位置: 208
そしてよい人が権力を手に入れるには、権力が消滅も分散もしていない、権力の仕組みや戦略が変わってもいないこの世界で成功するために必要な、長年の社会科学研究に裏打ちされた法則やルールを理解することが絶対的に欠かせない。私がこの本を書く狙いは、あなたを幸せにすることでもないし、気分が上がる話を語ることでもない。世界を斜に構えて見るのではなく、実際に役立つ現実的な見方を提供したいと思って

黄色のハイライト | 位置: 215
権力への道」講座が絶大な支持を得ている理由は、ある学生が言うように「私たちがたえず目の当たりにする現実を理解し、権力と成功を手に入れるのに役立つ」から

黄色のハイライト | 位置: 216
わがスタンフォード・ビジネススクールのモットーは、「人生を変え、組織を変え、世界を変えよう」で

黄色のハイライト | 位置: 220
耳に心地よい話を聞きたい人にこの本は向いていない。  私の愛読書もこの考え方に沿うものばかりだ。私のデスクには、サミュエル・ジョンソン賞受賞作の『独裁者になる方法── 20 世紀の個人崇拝* 16』や、『イカサマ師は必ず勝つ──アメリカの物語* 17』、私の同僚だったスタンフォード・ロースクールの故デボラ・ロードの『不正行為* 18』などが並んで

黄色のハイライト | 位置: 229
人はナルシシストや独裁者にそそのかされ、魅了され、彼らに票を投じ、従いがちだ。公正で誠実な体制は自動的に手に入るものではないから、まずは権力を手に入れ、そして制度的な構造や制裁によって社会を組織化し、不正や 欺瞞 を減らす必要がある。私の言いたいことがわかってもらえただろう

黄色のハイライト | 位置: 234
政治の世界では建前を取るか、現実を取るかの二択だ」ということになる。パワーバランスの変化やニューパワー、権力の終焉などが叫ばれているが、それはマジシャンが手を振ってタネから観客の気をそらすように、権力と成功を得るための基本原理から私たちの目をそらそうとしているだけだ。本書を読んでそのアドバイスに従えば、惑わされることはなく

黄色のハイライト | 位置: 238
あなたにぜひやってほしいことがある。どこかのリーダーや研究者、「グル」(私が大嫌いな言葉)などが、「私はこうだったからこうするといい」と語るのを聞いたら、あなたの側でもちょっと調べものをしてみよう。インターネットやその他のデータベースを使えば、情報はいくらでも手に入る。そういった人たちがどんな訴訟を起こされているのか、指導者としての評判はどうなのかを調べよう。できれば、そういう立派なリーダーたちの同僚や部下を探して、彼らやその組織が実際にどうなのかを聞いてみよう。彼らを取り上げた記事を読んでみよう。言われたことを鵜呑みにせず、自分で調べるということ

黄色のハイライト | 位置: 256
最近の調査によれば、世界全体の運用資産残高 69・1兆ドルのうち、有色人種や女性によって運用される資産の割合は1・3%にも満たない*

黄色のハイライト | 位置: 258
アダムズは「人と違っている」という弱みを強みに変える方法をすばやく考え出す必要があった。「向こうから権限や機会を与えてくれるとは思えなかったから、自分で生み出すことにした」と彼女は言う。最終的にヘッジファンドに就職し、そこで同僚や上司の相談相手になり、やがて絶大な信頼を勝ち取った。彼女の話を聞いてみよ

黄色のハイライト | 位置: 264
です。……私は若くて独身で、見るからに完全なよそ者だから、何でも打ち明けてもらえたんだと思います。そうこうするうちに、何か情報が必要になると、偉い人が私のところに聞きに来るようになりました。……そうやって権力を握ったわけです。おかげでその後最高執行責任者に昇格して、今度は投資家にいろんな相談を持ちかけられるようになりまし

黄色のハイライト | 位置: 285
最も本質的なことを言うと、権力はツールである。権力もほかのツールと同様、使い方さえ身につければ、それを使ってすばらしいことも、身の毛がよだつほど恐ろしいことも、その中間のすべてのこともできる。ここで大事なのは、権力があなたの気に入らない方法で利用された実例を見て、「権力を使うのはごめんだ」と決めつけてしまわないことだ。権力は社会生活について回るのだから、そういうものだと受け入れ、活用するしか

黄色のハイライト | 位置: 302
いわゆる「返報性の法則」

黄色のハイライト | 位置: 315
誤解のないように言っておくと、本書の狙いは、権力の法則とその使い方について、私が知っている限りのことをあなたに教えることにある。その知識をよいことに使うか、悪いことに使うかは、あなた次第だ。ちょうど原子力の物理的原理を教えるように、権力の法則を価値観を交えずに教えるこのやり方は、普通とは「異なる」アプローチで

黄色のハイライト | 位置: 323
もちろん重要だ。だがモラルや倫理の「原則」と、リーダーシップのスキルや戦術を混同して教えることには、3つの点で問題が

黄色のハイライト | 位置: 325
第一に、倫理原則を習った人が良識ある行動を取りやすくなるかどうかに関しては、はっきりした結論は出てい

黄色のハイライト | 位置: 336
研修で経営責任の原則を教えても、受講者の行動が自動的に変わるわけではない。知識が増えたからといって、責任ある行動を取る能力や意欲が生まれるわけではないからだ*

黄色のハイライト | 位置: 339
第二の問題点として、家族や聖職者ならともかく、赤の他人が人の生き方にとやかく口を差し挟む権利や義務を持っているとはとうてい思え

黄色のハイライト | 位置: 342
第三に、「手段と目的の関係」という、大昔から議論されてきた哲学的問題が

黄色のハイライト | 位置: 349
人が目的や目標を達成できなかったり、出世競争に敗れたりするのは、勝つために必要な行動を取る意志がないからでも

黄色のハイライト | 位置: 351
この「殻」の中には、人が自分に課している、権力を弱めるような数々の制約が含ま

黄色のハイライト | 位置: 352
目的を達成するためにどんな手段を取るのかは、まったくもって個人的な選択だ。だがその選択を行うためには、何が効果的なのか、そうでないのかを、できるだけくわしく理解する必要がある。また、あなたのライバルは勝つために手段を選ばないかもしれないということも、忘れないで

黄色のハイライト | 位置: 364
自分のよいところを活かし、やりたいように仕事をして、世界に影響力をおよぼしてい

黄色のハイライト | 位置: 366
権力の法則が、たった8週間足らずで彼女の人生を変えた。権力は対人関係を好転させ、生活の自由度や裁量を高めることが多いから、この女性のように権力を獲得した人たちは、自立して成功を収め、より充実した人生を送ることができるの

黄色のハイライト | 位置: 369
自分に権力があると感じる人ほど主観的な幸福度が高いことは、研究でも示されている。権力の意識(「私には大きな権力がある」という感覚)と人生の満足度(「私の人生はほとんどの面で理想に近い」という感覚)の関係を調べたところ、性別その他の背景要因の影響を統計的に補正したうえでも、権力意識の強い人ほど満足度が高いことがわかった* 15。「高い地位にある人は低い地位にある人に比べ、人生の満足度が 16%高く、ポジティブな感情を持つことが 15%多く、ネガティブな感情を持つことが 10%少なかった*

黄色のハイライト | 位置: 383
政治的スキルを次のように定義した。「仕事で関わる人々のことを理解し、その知識を利用して、個人的/組織的な目的を推進する能力*

黄色のハイライト | 位置: 407
コネクション)を深め、ひいては昇進の見込みを高めることができる* 26。政治的スキルは職場のストレス要因の影響も和らげるため* 27、ストレスが減って元気になり、集中力が高まり、仕事の成果が上がりやすく

黄色のハイライト | 位置: 416
その結果、出世は自己中心的で攻撃的な行動、政治的な行動、協調的な行動、能力を誇示する行動と関係があることがわかった。その中で出世に最も影響があったのが、政治的行動で、次が僅差で能力を誇示する行動だった*

黄色のハイライト | 位置: 422
人が権力を受け入れるまでの

黄色のハイライト | 位置: 424
権力について学ぶ人は必ずと言っていいほど、次の4つの段階を経験する。第1の段階が「否定」で

黄色のハイライト | 位置: 429
否定は、「7つの権力の法則に従わずに成功した人物を探す」というかたちで現れることが多い。だが法則に当てはまらない人が1人や2人いたところで、何も証明したことにはならない。 癌 が自然に治ったという人はいるが、だからといって治療を受けないことが万人にとって最適な選択肢とは限ら

黄色のハイライト | 位置: 433
もう1つの否定のかたちとして、ソーシャルメディアや新世代の台頭がすべてを変えたから、「権力の法則は現代に当てはまらない」と主張することもある。アジアなどの異文化には当てはまらないとか、中小企業やハイテク分野、共同経営の場合は事情が違う、などと私に訴えてくる。このように否定はいろいろなかたちを取る。だが権力があらゆる組織について回ることを否定すると、悪い結果を招くことが

黄色のハイライト | 位置: 446
否定の次に来るのが「怒り」の段階で、その矛先は私に向け

黄色のハイライト | 位置: 452
怒りはいつしか過ぎ去り、そして「失望」がやってくる。権力の法則の正しさに気づき、私が社会科学研究を誤解しているわけでも、組織行動に疎いわけでもないことを知って絶望

黄色のハイライト | 位置: 456
うまくいけば、まあうまくいかないこともあるが、次に「受容」の段階が来る。人生や組織や世界を変えるために取るべき手段を理解し、権力の法則を受け入れて積極的に実践するか、あるいは「もう降りた」と宣言して、その結果に苦しむかの二択しかないことを

黄色のハイライト | 位置: 460
何事も決めてかからない  できるだけ早く、楽に「受容」の段階に到達するコツは、思い込みや独断を避けること

黄色のハイライト | 位置: 470
しかし、数々の社会心理学研究でこんな結果が出ている。「他人に対する日常的な印象や判断は、すばやく、無意識的、直感的に下されることが多い。ほんの一瞥で即座に評価や判断が下される。そしてその評価が基準となって、その後の判断が下される* 32」。他人に対する判断は約 10 秒で下され、それが驚くほど長い間定着する。つまり、判断を差し控えるのは並大抵のことではないの

黄色のハイライト | 位置: 475
他人をこうだと決めつけてしまうと、困ったことになる。第一に、仕事でどんな成果を挙げるのにも、人の協力は欠かせない。組織というものは持ちつ持たれつで成り立っている。あなたが結果を出せるかどうかは、周りの人が動いてくれるかどうかで決まる。誰かの能力や良識、資質などについて、いったんネガティブな評価を下すと、よく思われていないことは相手にも伝わるもの

黄色のハイライト | 位置: 481
2つめの問題として、評価は不幸や不満のタネになる。ものごとが「こうあるべきだ」という理想と現実とを比べると、しぜん違いに目が行き、不満やネガティブな感情が生まれやすい。だからこそ、あまり決めつけない方がいいと言われるの

黄色のハイライト | 位置: 489
私は仏僧ですから、この料理がいい、あの料理がいいとは言えないのです』と法王は語り、6世紀の中国禅の書〔訳註:信心銘〕 を引用した。『 違順 相争う、是を心病と

黄色のハイライト | 位置: 498
それよりは、何事も決めてかからず、感情を抜きにして受け止め、権力の仕組みをあるがままに受け入れれば(せめて理解すれば)、心にゆとりを持って現実に対処できるというもの

黄色のハイライト | 位置: 506
権力の法則は、女性やマイノリティには効果がないのではないか?  この重要な問いに、いくつか答えを出してみよう。第一に、研究結果を検討する際には、「何を基準に比較するか」に気をつけなくてはなら

黄色のハイライト | 位置: 511
生まれ持った性別や人種は変えられない。なら、ありのままの自分が、どうしたら権力や影響力を獲得できるかを考えた方が

黄色のハイライト | 位置: 516
第二の答えとして、権力の法則が時代や文化を越えて通用する理由を論じた私の論文が示すように、権力の多くの側面は不変である*

黄色のハイライト | 位置: 520
人は自分と似ている人に惹かれる。人は自分を高く評価したいという「自己高揚動機」に駆られて、成功し出世しそうな人とつきあいたがる。こういった、社会における不変の要因を軸にして、影響力を拡大するための戦略を考えていくべきなの

黄色のハイライト | 位置: 544
自分の存在感を高めるときは、「紅一点」や「少数派」を売りにできる。デムリは自分の特徴や違いを「武器」に変えている。また「女性は人を助け、他人や集団のために尽くす」という規範に関してはこう考える。「自分でも頼みごとをし、自分の利益や目標も忘れずに追求しよう。私が自分を売り込まなければ、誰が私の目標を手伝ってくれるという

黄色のハイライト | 位置: 556
もちろん、権力の法則をあなたのやり方や状況に合わせる必要はある。そしてそれを実際に使ってみよう。本当に効果があるのだ

黄色のハイライト | 位置: 577
つまり、君を説明する形容詞は合わせて6つある。そのうちの3つは、君が実力に見合った扱いを受けられない口実になり、もう3つは君がもっと高い地位につける根拠になる。どちらの3つをつねに意識するかを、君は選ばなくてはいけない。君のセルフイメージは、他人に与える印象や、君自身の行動にも影響するんだ。だから、権力を誇示するような形容詞で自分を表現し、君の地位をおとしめるような振る舞いは避けなくてはいけない

黄色のハイライト | 位置: 584
彼女の肩を押したのは、さまざまな戦術ではない。それらも重要だが、彼女が権力への道を歩み始めることができたのは、「自分には力がある、もっとふさわしい地位につける」という自覚を持ったことで、組織では避けて通れない政治闘争に参戦する資格を得たからなの

黄色のハイライト | 位置: 587
この物語はじつに典型的だ。才能があり、どこからどう見ても申し分のない業績を上げている人が、自分で自分をおとしめるようなセルフイメージを持っているために、自信のない行動を取り、そのせいで出世の見込みが不当に閉ざされてしまう。優秀で人格も立派で成果も挙げているのに、自分の才能や業績を卑下するような物語を語る人たちは、自分で自分の首を絞めているようなもの

黄色のハイライト | 位置: 592
インポスター(詐欺師)

黄色のハイライト | 位置: 597
悪循環の一環として……インポスター症候群の人は、次こそは失敗するのではないかと恐れるせいで、生産性が低く、不安に 苛まれ、やるべきことを先延ばしにする傾向がある*

黄色のハイライト | 位置: 602
不安に見える人より自信たっぷりの人の方が好感を与えるが、内心に秘めた不安は外に「漏れ出す」ことがある。またインポスター症候群が強すぎると、自分自身やアイデアを売り込むことさえためらうようになる。インポスター症候群は現実に影響をおよぼし、成功を大きく左右するの

黄色のハイライト | 位置: 607
そして私に相談に来た女性がやったように、たとえ苦痛に思えても自分を叱咤し、積極的に前へ出て、自分を売り込もう。経験を積むうちに慣れてうまくできるようになる。インポスター症候群を乗り越えることが、権力への道へ踏み出す第一歩に

黄色のハイライト | 位置: 609
インポスター症候群に打ち勝ち、自分を卑下せずにポジティブなセルフイメージを描くことが、権力と地位を手に入れるカギだ。あなたが自分を「強力で有能で成功する人間」だと思っていなければ、ネガティブな自己評価は他人にもうすうす、ときにははっきり伝わってしまう。あなたが自分を有能だと思わなければ、あなた以上にあなたのことを買ってくれる人はい

黄色のハイライト | 位置: 614
私が著名な社会心理学者ロバート・チャルディーニとの共著論文で論じたように、「自分や自分の仕事を積極的に売り込まないのは、ネガティブな 徴 と受け止められることが判明した*3」。つまり、権力と自信を誇示し、野心的で力強い自己イメージを描き出さない限り、出世も成功もおぼつかないということだ(力を誇示する身振りや話し方については、法則3で説明

黄色のハイライト | 位置: 620
自分をもっと強力に打ち出すためには、どの形容詞を取り除くべきだろう? あなたのイメージを高め、あなたの業績や成果をもっとアピールするポジティブな形容詞を、日常的なやりとりの中でもっと使えないだろう

黄色のハイライト | 位置: 626
あなたは自己紹介をして、自分の経歴や物語を語るとき(法則4でくわしく説明する)、自分の業績や学歴や成功体験をしっかりアピールしているだろうか? それとも謙虚で控えめに見られようとして卑下することが多い

黄色のハイライト | 位置: 628
謙遜のしすぎで権力の誇示や獲得を妨げ、自分で自分の邪魔をすることがないように、こうしたエクササイズでセルフイメージや自己表現を変える方法を考えてみよう。行動や振る舞いを変えれば、セルフイメージも変わり、おのずと地位もついてくる。自己知覚理論という考え方によると、「人は自分の外的な行動を観察することで、自分自身の態度や感情などの内的な状態を推論する*4」。つまり自分について説明する自分の様子を見て、「ああ、自分はこういうふうに思っているのか」と推察するわけだ。このように自分の行動は、自分の考えや態度に影響を与える*5。したがって自信ありげに振る舞えば、実際に自信を高めることができるし、力を誇示すれば、自分には権力があると思える。  出世競争では、ライバルのことや、上司の評価、自分の相対的な能力を気にしすぎる人が多い。こういったことはもちろん重要だが、おそらく権力獲得への最大の障害となるのは、自分自身である。だからこそ権力の法則1を、「自分の殻を抜け出せ」としたのだ。  自分の殻を抜け出すことは不可能では

黄色のハイライト | 位置: 645
私が言いたいのは、知的能力を存分に活かそうと思ったら、組織生活の大半を占める会話で相手を論破する能力を身につけるしかない、ということ

黄色のハイライト | 位置: 649
自分の物語を

黄色のハイライト | 位置: 656
私たちの世代は、昔のように終身雇用で年功序列の階段を上がっていくわけじゃありません。私はヒスパニックで、ヒスパニック経営学生協会の共同会長を務めていましたし、テック界では少数派の女性です。だから特権的な人たちと同じだけの権力を手に入れるには、正攻法ではダメだと感じていまし

黄色のハイライト | 位置: 661
彼女の話には重要な教訓が2つある。第一に、彼女は世界が必ずしも公正でフェアではないことを経験から学び、自力で道を切り拓こうと決めた。これは女性や有色人種にとってはもちろん、恵まれた境遇の人にとっても大切なことだ。第二に、彼女は自己認識に優れ、自分が今後どんな障害に出会うのかを理解し、またそれを乗り越えて成功するには正攻法では通用しないことを鋭く認識した。自己認識は本書全体、とくに法則2で繰り返し取り上げるテーマだ。自分が組織の生態系のどこに位置するのか、成功するためには何が必要かを正しく認識することは、成長するために欠かせ

黄色のハイライト | 位置: 667
何が何でも成功するという決意──権力から逃げてはいけ

黄色のハイライト | 位置: 682
権力が私利私欲のために、あるいは人を傷つけるような方法で使われるのを見て、権力への道から降りてしまう人もいる。だが権力を求めないことには代償が伴う。序章で説明したように、政治的スキルは成功や幸福にいろいろな意味でよい影響をおよぼすのだ

黄色のハイライト | 位置: 694
ジャパンはなぜ負ける

黄色のハイライト | 位置: 701
はっきり言っておきたいのだが、あなたがどんなセルフイメージを持つのか、権力を手に入れるために何をするのか、しないのかを決めるのは、あなた自身だ。やるもやらぬも、あなたの勝手である。自分で自分にハンデを課すこともできるし、クリスティーナ・トロイティーノのように「正攻法を取らず」戦略的に動くこともできる。 根気と粘り強さが大切 「何が何でも成功する」ことのうちには、反対や批判、障害、挫折、失敗に遭っても、権力と成功のための努力を粘り強く続けることも含ま

黄色のハイライト | 位置: 717
私が研究者としてのキャリアを開始したのは、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のビジネススクールだった。一流大学に軒並み落とされていたところを、当時の学長でマーケティング研究者のジャグディッシュ・セシュに拾われたのだ。彼は主流とは一線を画す研究者を集めて経営大学院をつくろうとしていた。8年後、発表当初は酷評された私の「資源依存理論」の論文* 14 が評価され、スタンフォードの正教授になっ

黄色のハイライト | 位置: 723
クレイジーなアイデアは当然ながら、最初は成功せず、猛烈な反対を受けることも

黄色のハイライト | 位置: 734
尻に刺さった矢の数でリーダーの評価がわかる」と*

黄色のハイライト | 位置: 735
権力を求めるなら、反対や挫折に見舞われても耐える覚悟を決めなくてはならない。折れない心で根気よく粘り続けるためには、誰に何と思われ言われようと、あまり気にせず道を歩み続ける図太さと精神力が必要だ。権力を得るために必要なその他の資質(決意、エネルギー、集中、自己省察、自信、共感力、闘争心* 16)と同じで、根気と粘り強さは、練習と経験、周囲のサポートを通して身につけることが

黄色のハイライト | 位置: 741
権力のない人が権力のない地位にとどまりがちなわけ  さまざまな心理的プロセスの働きのせいで、権力の低い人は低い地位にとどまりがちである。だが本書で説明するすべてのことと同様、この障害も乗り越えることが

黄色のハイライト | 位置: 745
いろいろなテーマで研究を行っている彼だが、主な研究対象は、地位と権力が(構造的にではなく)心理的に自己再生する仕組みである。構造的な仕組みには、たとえば上流階級が享受する遺産相続や教育、その他の恩恵が挙げられる。だがベルミは、地位の低い人々を低い地位にとどまらせ、上に行くのを阻む、「心理的プロセス」があるのではないかと考えた。社会規範や行動規範は社会階級によって異なるが、下層階級には出世を阻むような規範があるのではないだろう

黄色のハイライト | 位置: 751
権力を求める傾向と、権力を獲得するための戦略には、階級による違いがある」という考えを検証し* 17、権力を獲得する典型的な方法が2つあることを明らかにし

黄色のハイライト | 位置: 753
第一が、骨惜しみせずに働く、同僚を助けるなど、集団全体のためになるような「協調的行動」を取ること。そして第二が、この本で教えるような「政治的行動」を取ること。戦略的に行動し、上司を引き立て、有益なネットワークを築き、自分の業績を誇示する(法則4で見ていくように、強力なパーソナルブランドを確立し、自分の貢献をアピールする)といった行動だ。これら2つの戦略の 効果 に対する人々の認識には、階級による違いは見られなかった。どの階級の出身者も、一般にどちらの戦略も効果的だと考えていた。だが2つの戦略を「実際に使いたいか」と訊ねたところ、階級による違いが浮き彫りになった。下層階級の人は政治的戦略を取ろうとする意志に乏しかったの

黄色のハイライト | 位置: 764
私の「権力への道」講座は学生の関心が高く、かつ学生の幼少期の社会階級が関心度に影響をおよぼした唯一の講座だっ

黄色のハイライト | 位置: 769
つまり階級による違いが認められたのは、「権力を手に入れたいかどうか」ではなく、「政治的戦略を使って権力を手に入れたいかどうか」だったの

黄色のハイライト | 位置: 775
当然ながら、社会階級が高い人はより強力でポジティブなセルフイメージを

黄色のハイライト | 位置: 777
自信に満ちた態度は他人によい印象を与えることが多い。そう考えると、階級間のさまざまな格差を持続させているのは、自信過剰のメカニズムだと言うこともできる。研究によれば自信過剰な人はより有能な印象を与える* 18 ため、より有利な地位につくことが多いのだ*

黄色のハイライト | 位置: 781
社会階級は、権力を求める行動に関わる規範の違いにも関係している。この現象の実例はたくさんあるが、私が一番気に入っているものを紹介しよう。このガーディアン紙の記事は、ウガンダ生まれの作家でミュージシャンのムサ・オクウォンガのインタビューと、イートン校での経験を綴った彼の近著『選ばれし者たち──イートン校回想録* 20』の抜粋である。イートン校で学ぶ上流階級の子弟は、 統べるために生まれ、それにふさわしい行動を取るという。 彼らは……「ラッズ(若者たち)」と呼ばれる階級に属し、一般的な行動規範を免除されているように見えた。……私は幼いころから人とうまくやれることが成功の条件だと言われて育ったが、同級生はそんなことはおかまいなしだった。……英国のフェアプレーの精神とは何だろう。……それは上流階級の人間を同じ階級にとどめるためにつくられた概念なのではないかと、歳を重ねるほど思うようになった。自信に満ちた同級生を見るにつけ、彼らが授かった最大の贈り物は「厚顔無恥」ではないかと考えずにはいられない。厚顔無恥こそ、英国上流階級の超能力なのだ。……上流階級は支配層への道を涼しい顔で 驀進 し、戦利品を当たり前のように手にする。イートン校は厚顔無恥を学ぶ場所ではないが、それに磨きをかける場所である* 21。  私の友人でイギリスの名門女子校出身の女性は、この現象に性差はないと言っていた。女性も厚顔無恥を身につけて、わが道を突き進み、権力を手に入れるのだという。

黄色のハイライト | 位置: 816
社会的期待によってセルフイメージや意欲を縛られないようにしなくてはならないと述べて

黄色のハイライト | 位置: 821
こうした主張を、「被害者叩き」だといって批判する人もいる。女性やマイノリティに対するバイアスやステレオタイプは本来あるべきではないし、権力志向かどうかによって出世を左右されるのはおかしいと。だが私が考えるに、またベルミやヒューレットも同意見だが、そうしたバイアスやステレオタイプはたしかにフェアではないものの、多くの組織に大なり小なり実際に存在する。そして、人が完全にコントロールできる行動は、自分自身の行動だけだ。したがって、不公正な状況を変えたいのなら、まずは権力の仕組みをわきまえ、自分の置かれた状況で成功するために何をすべきかを理解して、状況を変えるために必要な地位と権力を手に入れるしかない。何より、性別や人種、社会階級に対する思い込みや先入観のせいで、なりたい自分になれず、したい行動が取れないようであってはならない。「自分には力がある」という意識を持って、影響力と支配力をおよぼそうとしなくては、成功は

黄色のハイライト | 位置: 830
乳癌外科医で医療改革に取り組む、私の元教え子の

黄色のハイライト | 位置: 839
あなたは社会階級や性別、学歴、人種にまつわる固定観念を受け入れる必要もないし、それに従う必要もない。権力を獲得するための方法はいろいろある。だがそれを実践するには、まず自分の殻を抜け出し、状況に応じて必要なことをしなくてはなら

黄色のハイライト | 位置: 842
なぜ人は効果が実証された戦略や手法を取れず、自分の殻に閉じこもってしまうのだろう? その理由の1つは、自分らしさを大切にする「オーセンティック」リーダーシップや、その他の気分は上げるが科学的な裏づけに欠けるリーダーシップ論に

黄色のハイライト | 位置: 844
ありのままの自分を大切にし、自分の正直な感情や意見を表すことを重視するあまり、ネットワークをつくる、上司を引き立てる、自分の業績を売り込む、人に直接頼む、権力を誇示するといった、権力を獲得するための行動を、「自分に噓をついている」ように感じる。こうした行動は必然的に駆け引きを伴うため、自分らしくないことをしなくてはならないのではと心配する。  だがオーセンティック・リーダーシップなどというものは本質的に眉唾もので、百害あって一利なしである。オーセンティック・リーダーシップを支える理論がいかにお粗末かを示す数多くのエビデンスの中から、学界で高い評価を受けた、2人の北欧の研究者の論文を引用しよ

黄色のハイライト | 位置: 853
いる。……変革的リーダーシップやオーセンティック・リーダーシップなどはもてはやされているが、重大な欠陥がある。……理論的根拠に欠け、人気は高いが効果の保証はない*

黄色のハイライト | 位置: 859
「本当のあなた」なんて誰も見たくない。…… 10 年前、作家のA・J・ジェイコブズが、数週間自分に本当に正直に生きてみようと考えた。編集者に「独身ならあなたと寝てみたい」と打ち明け、子守に「妻が別れてくれたらデートしよう」とささやき……義理の両親に「あなたたちの話はつまらない」と言い放った。これがどういう結末を迎えたかは、お察しの通りだ。「世界は噓のおかげで回っている」が、ジェイコブズの結論である。「噓がなければ結婚生活は破綻し、労働者は解雇され、エゴは砕け散り、世界中の政府が崩壊するだろ

黄色のハイライト | 位置: 876
権力の法則は「人格を変える」ことを求めてはいないということだ。権力獲得のスキルは、必要に応じて学習し実践できる、ただのスキルでしかない。スキルを使ったからといって、あなたの人となりや人格が変わるはずもない。外交的な社交家にならなくても、人との交流を戦略的に増やすことはできるし、自信がなくても、自信に満ちているように見える言動を取ることはできる。 どんな人でも 自分の殻を抜け出しさえすれば学習し実践できる、権力を高めるための行動──それを、私は講義や本を通して教えているの

黄色のハイライト | 位置: 884
リーダーが自分らしさを求めるあまり、自分のスタイルにとらわれてしまうと、新しい職責を担ったり、異なる行動やスキルが必要になったときに、自分を変えられなく

黄色のハイライト | 位置: 886
イバーラは論文の冒頭にこんな例を挙げた。ある医療関連組織の本部長に抜擢された女性が、直属の部下の数が 10 倍に増えたことに気後れして、部下への挨拶で自分の胸の内をさらけ出し、「自信がなく、戦々兢々としています」と打ち明けた。イバーラはこう書いている。「率直な発言は裏目に出た。自信に満ちたリーダーを求め、必要としていた部下たちの信頼をつかみ損なったのだ*

黄色のハイライト | 位置: 897
新しいことや違うこと、とくに権力を得るための行動が、「自分らしくない」からといって、それを自分の殻に閉じこもる言い訳にしてはいけ

黄色のハイライト | 位置: 907
人は偏った解釈と記憶から……会話の相手が自分に共感しているという、都合のよい結論を引き出す*

黄色のハイライト | 位置: 909
つまり、人は他人が自分を高く評価し、自分の利益を尊重し、特別な場合を除けば自分の欺瞞を暴こうとしない、と信じるようにできているのだ。噓をついてもバレないことが多いのはそのためだ。そして「相手は自分のことをわかってくれている」と思っているときに、わざわざそうではないことを暴こうとする人はいない。  第二に、

黄色のハイライト | 位置: 920
このように、人には「他人を信じたい」という動機があり、しかも噓を見抜く能力が低いことから、あなたが下心を持って行動したとしても、それが暴かれることはまずないし、たとえバレてしまっても、そのせいで罰されることはほとんどないと

黄色のハイライト | 位置: 924
リーダーに必要なのは味方と後ろ盾だ。その両方を集めるのが、リーダーの主な仕事と言っていいだろう。そしてそのためには、自分らしくあるより、味方に引き入れたい人が必要とし求めるものに「自分を合わせる」方が得策

黄色のハイライト | 位置: 933
影響力を行使するには味方が欠かせない。そして味方を得るには、支援と引き換えに、こちらからも何かを提供しなくてはならない。その「何か」の1つが、

黄色のハイライト | 位置: 937
後ろ盾がほしければ、「相手にとってのメリットは何か?」を考えることが欠かせ

黄色のハイライト | 位置: 943
だから自分ばかりに目を向けるのはやめて、味方につけたい人、味方にできそうな人を見きわめよう。あなたに必要な支援を与えてくれそうな人のことを知ろう。早く始めれば始めるほど、重要な知識や情報を早く手に入れ、あなたの成功に役立つ関係づくりに戦略的に着手することが

黄色のハイライト | 位置: 947
権力を得ようとする人が取りがちなもう1つの方法が、好かれようとすることだ。影響力の研究で有名な社会心理学者のロバート・チャルディーニは、好かれることは影響力の源泉だと

黄色のハイライト | 位置: 955
好かれようとすることの何がいけないのか? 能力が劣っているという印象を与えがちだから

黄色のハイライト | 位置: 957
彼らによれば、人は文化を問わず、他人を「人格」と「能力」の2つの側面から評価するという。人格と能力は別々の概念だが、両者は逆相関しているとみなされることが

黄色のハイライト | 位置: 958
この関係は、そのものズバリのタイトルがつけられたエイミー・カディの短い論説、「いい人だからって馬鹿だと思わないで* 42」や、ハーバード・ビジネススクール教授テレサ・アマビールの実証研究、「聡明だが冷酷」にうまく要約されている。後者の研究では、被験者に実在の本を酷評した批評と絶賛した批評を読ませたところ、「批判的な評者は好意的な評者よりも知的で有能、専門性が高いとみなされ……好意的な評者よりも好感度がかなり低かった* 43」。社会心理学者ロバート・チャルディーニが私にくれたアドバイスは、「先に有能だと印象づけること」だ。そのあとに人のよさを見せても弱さにはとられず、むしろ権力者には珍しい温かい人と受け止められると

黄色のハイライト | 位置: 966
好かれようとしすぎることの2つめの問題点。人は昇進の階段を上がるにつれ、人格より仕事の能力で評価されるように

黄色のハイライト | 位置: 975
協調性の高い人は年収が相対的に低い」という結果がすべての実験で確かめられた* 44。また、この相関関係は女性より男性の方が顕著なことも判明した。その

黄色のハイライト | 位置: 979
そして、こうした結果をもたらす仕組みを検討した結果、協調性の高い人は自分の昇進より職場の和を大切にし、それがおそらく出世の妨げになるのだろうと指摘し

黄色のハイライト | 位置: 981
さらに、「協調性の高い人は、円満な社会関係を求めるがゆえに、社会規範にとらわれすぎるのかもしれない* 45」とも述べている。法則2では、権力を得るためにルールを破ることの重要性について考えるが、他人がどう思うかを気にしすぎると、ルールを破りにくくなるのは明らか

黄色のハイライト | 位置: 984
「いい人」の反対は、「嫌なヤツ」だ。カリフォルニア大学バークレー校ビジネススクール教授のキャメロン・アンダーソンらは、利己的で闘争的で不誠実な、「不愉快な性格」が昇進に影響を与えるかどうかを、画期的な縦断研究によって解明しようとした。結果、不愉快な性格は出世に何の影響も与えない、つまりプラスにもマイナスにもならないことがわかった。なぜなら不愉快な性格の人は2つの行動パターンを取る傾向があり、それらが互いに影響を打ち消し合うからだという。一方では、嫌なヤツは自己中心的で攻撃的な行動に出ることが多いが、この行動を取る人は出世しがちなことが、アンダーソンらによって一貫して確認されている。そして他方では、嫌なヤツは寛大で協調的な行動を取ることが少なく、これは出世にマイナスに働くという結果がここでは出た* 46。もし彼らの研究でいう、「傍若無人で人の嫌がることを平気でするような不愉快な性格」が出世に響かないのなら、ほとんどの人は好かれることにこだわりすぎていると言えるだろ

黄色のハイライト | 位置: 1,002
成功するには、人を味方につけるための謙虚さだけでなく、傲慢さを併せ持つ必要がある。「女性が傲慢になるのはとても難しい。いつも自分を叱咤しているわ」  アダムズはまた、すべての人とうまくやろう、よく思われようという気持ちは捨てるべきだと言い、取締役仲間のアフリカ系アメリカ人男性の話をしてくれ

黄色のハイライト | 位置: 1,009
これも大事なポイントね──自分の考えをわかってもらえなくても気にしない

黄色のハイライト | 位置: 1,013
権力の法則1は、あるがままの自分を認めて受け入れつつも、それにとらわれすぎないことである。人づきあいは大切だが、好かれよう、受け入れられようとしすぎて、成果を挙げられなくなったり、自分の利益や目標を追求する妨げになったりしないよう、気をつけなくてはなら

黄色のハイライト | 位置: 1,016
ひとことで言うと、自分の殻を抜け出し、目標達成の踏み台となる権力基盤を築き始めよう、ということ

黄色のハイライト | 位置: 1,037
ワーオ、マーサ・スチュワートとの晩餐会さえ後回しにするほどのお方なんだ」と印象づけたかったから

黄色のハイライト | 位置: 1,043
ここにたどり着くまでに、「権力への道」のテクニックを駆使して、ルールを破り、自分を実際よりずっと重要な人物に見せる必要がありました

黄色のハイライト | 位置: 1,060
この場合のルール破りの狙いは、主導権を握ることだ。許可が得られるまで待たず、それどころか誰の許可も得ずに、自分たちの判断でイベントを企画し実行し

黄色のハイライト | 位置: 1,065
権力を得るためにルールや社会規範を破る際には、「人と違う」思いがけない行動に出て、主導権を取ることが欠かせ

黄色のハイライト | 位置: 1,069
規範やルール、社会の慣習に背く人は、さまざまな心理的メカニズムが働く結果、権力を持っているように見え、そのおかげで権力を実際に手に入れる。その仕組みを説明しよ

黄色のハイライト | 位置: 1,071
「社会心理学と人格研究」誌に発表されたある研究によると、「権力を持つ人は、それらしい振る舞いをする。あまり笑わず、人の話を遮り、大声で話す。……権力者はルールにあまり縛られない*1」。あるいはイギリスの歴史家の名言にあるように、また社会心理学者デビッド・キプニスが実証した通り*2、「権力は腐敗し、絶対権力は絶対に腐敗

黄色のハイライト | 位置: 1,098
ルールを破る人は失脚して権力を失ってほしい、と読者は望むかもしれない。……だがもしかすると、ルールを破るという行為そのものが、権力があるという印象を与えるのではないだろうか?*4」。ルールを破っても罰されない人は、ルールを破る能力を通して権力を

黄色のハイライト | 位置: 1,102
規範に従わなくてはならない普通の人と違って、もっと権力がある」という印象を与えるからだ。そう考えれば、なぜドナルド・トランプがあれだけ噓をついても、それほど困ったことにならなかったのかがわかる。噓をつくことは、「正直であれ」という社会規範に反するが、罰されないことが多いし、また社会の期待に背くから、「権力がある人」という印象が増幅される。もちろん、ものごとには限度というものがあるが、それでもルールやしきたりを破ることによって、権力があると印象づけられることは、心にとめておくべきだ。政治に限らず組織生活のさまざまな側面が、このルールで説明

黄色のハイライト | 位置: 1,108
くわしい経歴も明かさず、ただフォーブス誌のライターとだけ書いた短いメールで、晩餐会について問い合わせた。晩餐会の選択肢を連絡する返事が来ると、 48 時間待ってから返信した。事前に知らせていない同伴者を連れて会場に現れた。このように、ルールを破り、自分のやりたいことができる権力を持っているかのように振る舞った。彼女がセレブ限定の晩餐会に、しかもパートナーまで連れて出席できたのは、おそらくこれらの行動のおかげだったのだろ

黄色のハイライト | 位置: 1,141
サプライズが効果的なのは、不意を突くからだけではなく、相手の認識や感情に影響をおよぼすからでも

黄色のハイライト | 位置: 1,148
だから誰かに顔を覚えてもらうためには、驚かせてあなたとのやりとりに注意を払わせるといいだろ

黄色のハイライト | 位置: 1,150
職場での衝突は日常茶飯事だ。ある研究によると、組織で働く人は平均すると週3時間を揉めごとや争いごとに取られているが、それにもかかわらず、約 60%の人が対立を解消するための基礎的な訓練さえ受けたことがないという*

黄色のハイライト | 位置: 1,153
おまけに、人は他人に好かれたい、受け入れられたいという思いが強いため、厄介な状況を避けようとする。そもそも人は対立を嫌い、なるべく議論を避けようとするもの

黄色のハイライト | 位置: 1,154
そんなわけで、あなたが権力を得るためにルール破りの行動に出ても、それほど抵抗を受けることはない。周りの人は文句を言って気まずい状況に陥りたくないから

黄色のハイライト | 位置: 1,161
ニューヨークの 創造主 と呼ばれたロバート・モーゼスは、ニューヨークの都市計画で 40 年間も強権を振るった。彼こそ、許可を得る前に計画を物理的現実に変えてしまう達人だった。必要な許可がまだそろわず、完成させる資金の当てもないうちから、建設に着手することもざらだっ

黄色のハイライト | 位置: 1,177
そんなわけで、まずルールを破り、あとで結果に対処すれば

黄色のハイライト | 位置: 1,178
ルールは権力者に有利にできている  ルール破りが必要な理由はもう1つある。あたりまえのことだが、ルールや規範は、それをつくる人たちに有利にできている。なぜ自分の不利になるかもしれない、「他人の」ルールにみすみす従う

黄色のハイライト | 位置: 1,182
アレギントフトは実際に戦われた過去の戦争のうち、軍備や兵力で見た大国と小国の力の差が5倍以上開いていた戦争の勝敗を調べた。1800年から2003年までの期間では、大国が 71・5%の割合で勝利し

黄色のハイライト | 位置: 1,186
その理由を解明した彼の著書をもとに、作家のマルコム・グラッドウェルが論説「ゴリアテはどうやってダビデに勝ったか?* 12」をニューヨーカー誌に発表して絶賛された。負け犬が常識外れの型破りな戦略を取るとき、勝率は 28・5%から 63・6%に跳ね上がるというの

黄色のハイライト | 位置: 1,192
自分のルールをつくり、型破りな行動に出る人は、予想外に成功することが多いの

黄色のハイライト | 位置: 1,198
イーロン・マスクはさまざまな規制当局との闘争を勝ち抜いてきた。規則をすり抜け、強制されても無視した。……規制をものともせずに、テスラの電気自動車で輸送に革命を起こし、スペース×のロケットを使って人類を火星に移住させるという目標を追求している。……マスク氏は政府当局と持ちつ持たれつの関係を築くどころか、当局をツイッターでこき下ろすのがつねだ*

黄色のハイライト | 位置: 1,204
人はどんな結果が出ようと、ルール通りに行動したがる。たとえばマルコム・グラッドウェルによると、ジョージ・ワシントンはアメリカ独立戦争の初期に、木や岩の陰に隠れて待ち伏せするゲリラ戦術をとってイギリス軍を痛めつけたが、その後は自軍にイギリス軍と同様の軍服を着せ、同様の行進をさせ

黄色のハイライト | 位置: 1,208
戦力差が大きいときに常識外れの戦法をとれば、成功して権力を獲得できるが、ルールを破るためには、世間の白い目に耐える力が必要なの

黄色のハイライト | 位置: 1,214
イリノイ大学で私の同僚だった故ジェリー・サランシックは、授業の初日に教室につかつかと入っていくと、何も言わずに学生たちの間に座った。年齢と服装からどう見ても教師なのだが、「教師はこう振る舞うべき」という期待を裏切ったわけだ。教師らしくない行動を続けるうちに、学生はますます困惑し、抗議することさえあった。サランシックはこうやって、役割期待がどんなに強力かを学生に教えたのだ。この例1つとってみても、ルールを破ることがどんなに大変かがわかるだろ

黄色のハイライト | 位置: 1,221
私たちがそうしたルールを熟知し、つねに守ることを期待されるのは、対人関係に波風立てないためでもある。私たちは幼いころからまずは親に、それから学校や宗教組織、その後は雇い主に、何をすべきかを教えられる。ルールを破れば放校や破門、解雇が待っているかもしれない。さらにつらいのは、のけ者にされること

黄色のハイライト | 位置: 1,227
だがここにジレンマがある。人は周りになじみたい、受け入れられたい、社会規範を破ってのけ者にされたくない、と思う一方で、周りに差をつけたいとも考える。完全に溶け込んでしまったら目立たなくなり、出世競争のライバルと差別化できない。だから周りから抜きん出る必要があるのだが、抜きん出るためには当然、人と違ったことをしなくてはならない。本章の冒頭の例が示すように、ルールを破って目立つことは成功への近道になることが

黄色のハイライト | 位置: 1,234
このように、行動規範は強力で、周りになじみたい、受け入れられたいという欲求が働くために、

黄色のハイライト | 位置: 1,244
頼みごとをするのは恥とまではいかなくても、かなりの勇気を要する、苦痛な行為だと考えられている。……ほとんどの人が、みっともないとか無能だと思われるのではないか、断られるのではないかと恐れている*

黄色のハイライト | 位置: 1,252
頼まれた人は、実際には快諾することが多い。なぜなら「協力的で寛大な人」だと思われたいし、頼みに応じるのはそれほどの手間ではない場合が多いから

黄色のハイライト | 位置: 1,260
だが、人は手を差し伸べたいと思うものだ。何より、人助けは協調性を重視する社会規範にかなっている。それに、助けを求められるのは気分がいい。助言や助けを求められた人は、暗に地位を引き上げられたことになるし、また求めに応じることによって相手に恩恵を与え、感謝され、自分の力を知らしめることができる。だからあなたもルール破りの精神に則って、どんどん人に頼も

黄色のハイライト | 位置: 1,274
だがそもそも頼まなければ欲しいものは得られないのだから、失うものは何も

黄色のハイライト | 位置: 1,276
そして周りの誰もがつねに自分をアピールし、アイデアを売り込んでいる。だからあなたも人に頼むこと、断られること、頼み込むこと、いろんな人にいろんな頼みごとをすることに慣れよう。人に頼むのは一種のルール破りだが、それだけの価値はある。フリンとレークの論文のタイトルの言う通りだ──「困ったら頼めば

黄色のハイライト | 位置: 1,294
ハーバード大学の148年の歴史の中で、出願前に合格した唯一の人物* 17」に

黄色のハイライト | 位置: 1,302
世の中のルールやしきたりは、権力者が権力を維持するために設けたものだ。だから良識的なものもあるが、そうでないものが多い。よく言って理不尽、悪くすれば弱者に深刻な害をおよぼすものも

黄色のハイライト | 位置: 1,311
いま挙げた例はどれもドラマチックで華々しいが、「ルールは権力者がその権力を持続させるために設けたもの」という一般法則を説明している。既存の権力構造に変化を起こすためには、あえてルールを破り社会規範に背いて、新しい社会秩序を生み出さなくてはなら

黄色のハイライト | 位置: 1,323
わがスタンフォード・ビジネススクールのモットーにあるように、「人生を変え、組織を変え、世界を変える」ためには、激しい抵抗や挫折を覚悟しなくてはならない。どんな変革も人やモノ、資金などのリソースの再配分を伴うから、不服を唱える人が必ず出てくる。恵まれない集団に機会を与える是正措置が、恵まれた集団の競争を増やし、機会を減らすのは

黄色のハイライト | 位置: 1,329
いま不利な立場に置かれた人が権力を手に入れるには、ルールを破るほかないのだ。現行のルールで勝ち目がある人は、ルールに従い、周りの人にも従わせれば

黄色のハイライト | 位置: 1,342
両社が陥った状況はもちろん多くの点で異なるが、2人のリーダーが証言する様子を見れば、振る舞いや言葉遣い、態度の違いは歴然としており、またその違いがこれらの証言時にとどまらないのも明らかだった。ヘイワードの言動は申し訳なさげで控えめ。背中を丸めて座り、身振り手振りもほとんどない。かたやブランクファインは強腰で威圧的で

黄色のハイライト | 位置: 1,347
それは、自分をどう見せるかだ。あなたが自分をどう「見せる」かは、あなたがどんなキャリアを進み、どれだけの権力や地位を手に入れるのか、クビにならずにすむかどうかを左右する、いや決定すると言っても過言ではない。あなたがどんな肩書を持っていようと、それだけではあなたの能力や強みを正確・確実に知ることはできない。だから他人はあなたが信頼に足る人物なのか、あなたについて行くべきか、手を結ぶべきかを、なんとかして推し量ろうとする。社会心理学者の故ナリーニ・アンバディが指摘したように、「他人に対する印象を形成する能力は、きわめて重要な対人スキル*1」なので

黄色のハイライト | 位置: 1,354
研究によると、人はほんの数秒間の行動の「断片」から、相手の人となりに関してしばしば正しい印象を形成し、その後はその断片をもとに、相手に関するさまざまな決定や判断を下す。また、瞬時に形成された第一印象は、驚くほど長く持続する。これは、自分がすでに持っている信念や期待を裏づける証拠を探したり、裏づけるように証拠を解釈したりする傾向、すなわち「確証バイアス」の働きでも

黄色のハイライト | 位置: 1,362
社会心理学者のロバート・チャルディーニが私に言ったように、「第一印象を与えるチャンスは1度きり」なの

黄色のハイライト | 位置: 1,363
話を戻して、2人のCEOの証言を比べてみよう。BPのヘイワードは、用意してきた冒頭発言の原稿を6分ほどかけて読み上げた。平均的な人が英語で1分間に話す単語数を130語から150語*3 とすると、この原稿はわずか900語ほど。余裕で暗唱できたはずだ。原稿を見ながら話すと、聴衆と頻繁かつ持続的なアイコンタクトが取れ

黄色のハイライト | 位置: 1,367
ここ数十年間の研究によって、①アイコンタクトは、話し手が「信頼できる、誠実だ」という印象を聞き手に与え*4、②アイコンタクトが長いと、リーダーシップなどの能力が高いと評価され*5、③アイコンタクトを取ると「自尊心が高い」という印象を与え、好感度がアップする*6 ことが明らかになっている。ヘイワードは原稿を読み上げたために、心がこもっていない、不誠実だ、という印象を与えた。弁護士やスタッフが用意した原稿をただ読んでいるだけで、自分の言葉で話しているように見えなかったの

黄色のハイライト | 位置: 1,375
メモを持たずに登壇して、テーマに精通している印象を与えることはとても大切だ。アメリカ映画協会(MPAA)会長を 38 年間務めた故ジャック・バレンティは、連邦議会に呼ばれたときはけっして原稿やメモを持って行かなかったと話してくれた。万事心得ているという印象を与え、資料を見ずに聴衆と直接心を通わせるためだ。力強い印象を与えるために何より勧めたいのは、聴衆とのアイコンタクトの邪魔になるようなメモや小道具を使わないこと

黄色のハイライト | 位置: 1,384
ヘイワードは事故原因の究明と、原油流出による環境被害の補償を約束したものの、事故が収束に向かっていて、再発の危険がないことを伝える努力を怠っ

黄色のハイライト | 位置: 1,385
そして最も重要なことに、ヘイワードにはBPと社員の功績や名誉、威信を守ろうという姿勢がほとんど見られなかった。当時もいまもBPの経営幹部である私の元教え子が言っていたように、ヘイワードには気迫も説得力もなく、かといって良心の呵責に苛まれているようにも見えなかっ

黄色のハイライト | 位置: 1,388
それにひきかえブランクファインはもの慣れた様子で、ときおり質問に不服げな様子を見せる以外は、質問者が問題を理解していないとでも言いたげに、不敵な笑みを浮かべていた。またゴールドマン・サックスが金融仲介者や 値付け業者 として果たしている役割を繰り返し強調した。ゴールドマン・サックスが長い歴史を持つ企業であり、金融サービス業界において中心的な役割を担っていること、名声を誇る…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,393
そして、ゴールドマン・サックスはたんに(知識豊富でハイレベルな)顧客の要求に応じて、顧客の求める住宅ローン関連のリスク商品を、取引相手として提供していたに過ぎないと主張した。彼がゴールドマン・サックスの取った行動に自信を持っていることは、金融市場の仕組みや…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,396
ブランクファインは3時間にわたる証言の中で(ヘイワードの公聴会は9時間を要した)、会社の行いを1度たりとも謝罪せず、マーケットメイカーには、販売した証券の空売りを含むヘッジ取引を…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,399
自分をどう見せるかが権力や地位を左右するのは、窮地に対処するCEOに限った話ではなく、就職や昇進をめざすすべての人について言える。本章でこれから説明するように、あなたの言葉遣いやボディランゲージが、あなたに対する評価を大きく左右し、その評価は重大な影響をおよぼすのだ。社会心理学者エイミー・カディのボディランゲージに関するTEDトーク*7 があれだけ多くの視聴を集め、彼女の著書『〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る*8』がベストセラー…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,407
ある研究で、 13 人のさまざまな教科の教員の授業風景を録画し、そこから 10 秒間の動画を3つずつ切り取って、音声を消した状態で9人の学生に見せ、それを元に教員たちを「自信」「支配力」「誠実さ」「共感力」などの面で評価してもらっ

黄色のハイライト | 位置: 1,411
あなたは驚くかもしれないが、短い無音声の動画を見た学生の評価は、実際に授業を受けた学生の評価と有意に相関していただけでなく、相関性もかなり高かった。

黄色のハイライト | 位置: 1,415
これらの結果によって、人の非言語行動の「断片」が、その人の実際の資質を確実に反映することが示されたと、研究の著者は結論づけて

黄色のハイライト | 位置: 1,416
また本章のテーマとも一致するのだが、この研究結果は次のように解釈することもできる。授業を受けた学生と、短い無音声映像を見た学生の両方が、教員の活気や勢い、気迫といった、実際の指導力と直接的には関係がない性質の非言語的な手がかりに同じように反応し、それが評価に大きな影響を与えた。つまり両方の学生が、教授の見た目に反応したの

黄色のハイライト | 位置: 1,420
そして見た目がモノを言うのは教室の中だけではない。研究著者の1人、ナリーニ・アンバディは、「CEOが与える印象が……企業の業績と相関性があるかどうか」を調べる別の調査* 10 を行った。フォーチュン誌が選ぶ全米優良企業500社から 50 社を選び、それらの企業のCEOの顔写真を100人の学生に見せて、CEOの指導力と、「力量」「支配力」「好感度」「成熟性」「信頼性」の5つの資質を評価してもらった。結果、「CEOの顔写真をもとにしたこれらの資質および指導力の評価は、年齢と感情、魅力度の影響を統計的に補正したうえでも、企業業績と有意に相関していた* 11。この調査が対象としたCEOは全員男性だったが、その後の調査で女性が率いる企業についても同じ結果が出ている* 12。これらの結果からは、当然の疑問が浮かんでくる。「成功する企業は特定の外見の人をCEOに選ぶのか、それとも特定の外見の人がCEOとして成功しがちなのか?* 13」。どちらの解釈が正しいのであれ、あるいはどちらも正しいのかもしれないが、人の見た目と運営手腕との相関性は、ビジネス以外の多くの領域にも見られ、信頼性の高い研究によって再現されて

黄色のハイライト | 位置: 1,435
膨大な研究文献を挙げると読者をうんざりさせてしまいそうだから、本章に関連する研究結果を以下に簡単にまとめて

黄色のハイライト | 位置: 1,448
69 の研究を対象とした最近のメタ分析では、外見が魅力的な人は平均的な容姿の人に比べ、収入が 20%多く、より頻繁に昇進するという結論が出た* 19。この理由の1つとして、見た目がよいと人に気に入られ、指導や助言を受けやすいため、社会関係資本〔訳註:人のつながりが生み出す人間関係や信頼関係など〕 を築くうえでやや有利で、人間関係資本〔訳註:個人が持つ知識や技能など〕 の構築についてはさらに有利であることが挙げられて

黄色のハイライト | 位置: 1,475
だが人相は変えられなくても、いろいろな方法で外見の魅力を高めたり、身長を高く見せたりすることはできる。たとえば自分の強みを活かし、チャームポイントを強調するような身だしなみやメイク、色、服装を選ぶなど。何よりいいのは、本章の冒頭の例が示すように、表情やボディランゲージ、言葉遣いなどで力強い印象を与える工夫を凝らし、権力と影響力を最大限に誇示することだ。カリフォルニア大学バークレー校の社会心理学者で非言語行動の専門家ダナ・カーニーは、こう指摘する。「非言語行動を通じて権力を伝えるのは、難しいことではない。権力を実際に持つ人も持たない人も……権力を表す行動を選択し、実行することは簡単にできる* 23」。本章を読めばわかるように、堂々と振る舞い、弱くて取るに足りない存在と見られないようにするための方法はいろいろ

黄色のハイライト | 位置: 1,483
最も重要な点として、自分は誰に「売り込む」必要があるのか、その人たちは自分に何を求め、必要としているのかを見極めよ

黄色のハイライト | 位置: 1,487
あなたの最も重要な聴衆は目の前にいる人々ではないかもしれないと指摘

黄色のハイライト | 位置: 1,487
たとえば、ブランクファインとヘイワードが議会証言を行ったとき、目の前にいた議員たちは、彼らのキャリアや会社の成功に影響をおよぼす可能性はほとんどなかった。2人が語りかけていた相手は、自社の社員と取締役たちであり、2人に求められていたのは、力や強さの証、それに会社が危機を乗り越えられるという安心感だっ

黄色のハイライト | 位置: 1,495
しかし彼らは主にあなたの言動や外見から、その答えを引き出そうとするのだ。だからあなたの能力に信頼を抱かせるような見た目や言動を心がけよ

黄色のハイライト | 位置: 1,497
誰だって自分は優れていると思いたい。そしてその「自分」の中には、自分の勤務先や、そこで働くことで得られるブランド意識も含まれる。人は自分のことをよく思いたいから、成功していて逆境や苦難を乗り越える力のある人や組織と結びつこうとする。また権力や力の証にも好感を持つ。負け犬に肩入れはしても、自分は勝ち馬に乗ろうとするの

黄色のハイライト | 位置: 1,501
感情の表出には、強さを誇示するものと、そうでないものがある。力を印象づける感情を努めて表し、地位をおとしめる感情…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,502
怒りは力を表す感情であり、怒りの表出は、間違いを犯したり悪行が発覚したときでさえ(またはそういうときほど)、…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,504
反対に、後悔や自責、謝罪の念は、権力のなさの表れとみなされるから、権力や能力を印象づけなくてはならない状況では見せないのが無難だ。そしてそういう状況は、思った以上に頻繁に生じる。  なぜ怒りが権力を呼ぶのかは、単純なことだ。怒りは抑圧や威嚇を想起させる。だから怒りの表出は、温和で礼儀正しく社会的に受け入れられる行動とはみなされない。法則2で説明…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,508
これと同様に、怒りの表出は一般的な行動規範から外れていて、社会規範を破れるのは権力者だけだと思われているから、「権力があれば怒りを表しても許される」ことになり、その裏返しで「…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,511
そんなわけで、怒りを表すことは権力を獲得する手段になる。その有効性は、ブランクファインとヘイワードの議会証言に対する反響や、2…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,516
怒りは、とくに後悔や自責などのネガティブな感情と比べて、権力や地位が高いという印象を与えがちなことは間違い

黄色のハイライト | 位置: 1,521
怒りを表す人は能力があるように見え、苦悩を表す人は温かいという印象を与えるため、「怒りを表す人は、実際に地位が高いとみなされる傾向がある」ことを実証し

黄色のハイライト | 位置: 1,526
怒りを表す人は交渉をより巧妙に運び、よりよい成果を引き出すことを示し、その理由として、怒りによって手強い交渉相手だと思わせるからだとしている*

黄色のハイライト | 位置: 1,529
それにひきかえ謝罪は、怒りのほぼ正反対の効果をおよぼす。責められると反射的に謝る人が多いが、謝罪には3つのデメリットがあるから、謝る前によくよく考えた方が

黄色のハイライト | 位置: 1,530
第一の明らかなデメリットは、「悪いことをしたから謝っているのだろう* 27」と思われてしまうことだ。責任の所在が曖昧なときや議論が分かれているときに謝ったが最後、責任が確定されてしまう。  第二のデメリットとして、謝る人は心理的に負い目を感じ、自分を見る目が変わってしまう。ある研究は、謝罪を拒否すると「自己効力感と自己価値、自尊心が高まる* 28」ことを、2つの実験を通して示した。したがって、謝罪しないことは、「一貫性を保ちたい」「自分を肯定したい」という人(や組織)の欲求と矛盾しない。権力と能力のある善良な人や組織は、不正や悪事に関わったりしないから、謝ることは何もないはず

黄色のハイライト | 位置: 1,538
第3のおそらく最も重要なデメリットとして、謝罪は謝罪した本人に影響を与えるだけでなく、その人に対する他人の認識までも変えてしまう。謝罪は権力をおとしめる行為だから、他人は謝罪する人や組織を「影響力や地位、権威が低い」とみなし、その認識にもとづいて行動

黄色のハイライト | 位置: 1,542
有能であることが求められる状況で謝罪する人は、能力が劣るという印象を与える。……感謝や謝罪は規範に即した行動と考えられているため、そうした行動を取る人は、支配力や権力、自己主張が低いとみなされることが確認された* 29」。謝罪に関するさまざまな研究は、他人に対する認識が、「温かい人」と「有能な人」の間で頻繁に揺れ動くことを示して

黄色のハイライト | 位置: 1,547
悔恨や謝罪を表明することにも、意味がないわけではない。その例としてよく引き合いに出されるのが、タイレノール殺人事件だ。とはいえ、あれは特殊で例外的なケースだった。説明しよ

黄色のハイライト | 位置: 1,560
行動を謝罪すれば、権力がないという印象を与えるうえ、責任追及や原因究明の議論が巻き起こる。反対に、怒りをあらわにして、ブランクファインのように間違ったことはしていないと開き直れば、そのうち周囲もあきらめ、弁明を受け入れて先へ進もうとするだろ

黄色のハイライト | 位置: 1,563
自信は(根拠のない自信であっても)大事  感情や行動は「伝染」することが研究で示されて

黄色のハイライト | 位置: 1,570
感情はただ伝染するだけではなく、ここまで述べてきたように大きな影響をおよぼす。最近のレビューでは、組織内で「情動伝染が態度や認識、行動、成績に与える影響* 34」が確かめられ

黄色のハイライト | 位置: 1,573
人は自分が関わっているものに誇りを感じたいし、自分や同僚が成功すると信じたい。だから、リーダーのとくに重要な仕事は、自信ありげに振る舞うことである。自信にあふれた人を見ると、この人について行こう、助けよう、あるいは採用したい、昇進させたいと思わされる。そしてリーダーが自信たっぷりな態度でいれば、部下たちにも自信が伝染する。だからこそ、権力の法則1「自分の殻を抜け出せ」に則って、自信があり有能だという印象を与えない言葉遣いやボディランゲージ(これから説明する)を捨て去ることが肝心だ。客観的根拠や確信がなくても、自信満々に振る舞お

黄色のハイライト | 位置: 1,585
さらに別の実験は、人が具体的にどんな言動をもとに他人に対して「この人は有能だ」という印象を形成するのかを特定した。たとえば、会話の独占、自信に満ちた断定的な口調、重要な情報の提供、体を広げて大きく見せるようなポーズ、落ち着いてリラックスした態度、質問に答える、といった言動が、「有能だ」と観察者に思わせる効果があっ

黄色のハイライト | 位置: 1,589
このことは、「権力を得るためのカギは(学習を通じて身につけられる)行動だ」という、本書全体のテーマを裏づけている。性格がまったく無関係というわけではないが、それよりも行動の方が重要な場合が多いのだ。たとえば自信と権力に関する研究で、体を広げるような「ハイパワー」ポーズと呼ばれる姿勢を取る群と、縮こまるような「ローパワー」ポーズを行う群に被験者をランダムに振り分け、その後架空の求職面接で2分間のスピーチをしてもらったところ、ハイパワーポーズを行った人は「雇いたい」人材と評価され、面接で高評価を得る傾向にあった*

黄色のハイライト | 位置: 1,595
「自信や怒りを表そう」という勧めは、「弱さを見せて相手の心を開こう」という、よく聞くリーダーへのアドバイスとは相容れない。どちらのアドバイスに従うべきかは、あなたが権力と成功を求めるのか、部下との距離を縮めたいのかで決めればよい。どちらも実行可能だが、私がさまざまな研究を読んだ限りでは、権力があり成功する人という印象を与えて権力を手に入れた方が、一般によい結果を生むよう

黄色のハイライト | 位置: 1,599
こうした相容れない考えがなぜ説かれるのだろう? それを説明するカギは、自己開示に関する研究にある。研究の著者たちが述べるように、「自己開示は、職場でますます重要[かつ一般的]な現象になりつつある*

黄色のハイライト | 位置: 1,606
私の結論はこうだ。職場では、とくにあなたが上司として部下に指導力を示し、安心感を与えることを求められているような状況では、「自信に満ちた有能な人物」という印象を与えることがとても重要で

黄色のハイライト | 位置: 1,608
さや不安を見せるのは、相手が友人である場合や、あなたがリーダーでない場合は問題ない。だが職場で高い地位にあるなら、たとえ不安を感じていても胸の内にとどめておこう。人は勝ち馬に乗りたがるものだから、強いという心象を打ち砕くようなことをすると、おそらくよい結果を生ま

黄色のハイライト | 位置: 1,612
ボディランゲージで力を誇示

黄色のハイライト | 位置: 1,623
あたりまえに思われるものが多いが、組織生活で自分の見せ方を考える参考にしてほしい。

黄色のハイライト | 位置: 1,630
見た目や声の調子が印象に与える影響はたしかに大きいが、言語や言葉遣いが重要なのも間違いない。  力強い話し方には特徴がある。まずは簡潔なこと。短い単語を並べ、だらだらと続く複雑な構文は使わない。理解しやすいからこそ強力な効果が生まれるのだ。聞き手の脳に負担をかけずに、シンプルでわかりやすい言葉を使って、聞き手に結論を示す。英語の文章の読みやすさを測る指標に、「フレッシュ・キンケイド可読性スコア」と、それと逆相関にある「フレッシュ・キンケイド・グレードレベル」がある。可読性スコアが高い文章は、グレードレベルが低くなる* 41。可読性を測定する公式は、以下の通り。  短い単語でできた短い文章は、読みやすく聞きやすいということになる。グレードレベルの公式は次の通り。

黄色のハイライト | 位置: 1,639
力強い話し方の2つめの特徴は、「どちらかと言えば」「一種の」といった断定を避ける表現や、「えーと」「あー」などのつなぎ言葉、そして丁寧語を使わないことだ* 42。力強い話し方には力強い言葉が欠かせない。鮮やかなイメージを想起し感情を搔き立てる言葉、たとえば「ダメージ」「死」「危機」などが、力強い言葉の例

黄色のハイライト | 位置: 1,643
力強い話し手は、問いかけずにきっぱり断定する。文末の数語を工夫して、力強い余韻を残す。間を取ったり口調に変化をつけたりして、論点を強調し、聞き手を飽きさせない。最も重要なポイントとして、アイデアやテーマを何度も

黄色のハイライト | 位置: 1,653
トランプは有能なプレゼンターなら誰でもするように、聞かれたことではなく、答えたいことに答えた。ゴールドマン・サックスのブランクファインが、「顧客を食い物にしたのではないか」という質問に対し、金融仲介者としての同社の役割を繰り返し説明したのと同じだ。トランプの1分間の答えを分析したところ、1音節の単語が 78%を占め、わかりやすさは「小学4年生レベル」と判定された。トランプは同じことを何度も繰り返すが、これも力強いスピーチの特徴

黄色のハイライト | 位置: 1,664
印象はどうやって現実になるのか  権力の法則3の前提は、ボディランゲージや言葉を通じて「自分をどう見せるか」が、他人に与える印象を大きく左右する、という考えで

黄色のハイライト | 位置: 1,666
他人はこうした印象をもとに、あなたに対する判断や決定を下す。だからあなたはなんとしても、「自信と魅力にあふれた、権力を持つ人物」という印象を与える方法を身につけなくてはなら

黄色のハイライト | 位置: 1,673
は、『

黄色のハイライト | 位置: 1,681
人は基本的に他人を信じるようにできている。誰かの人生やキャリア、身分、人となりの物語を聞いたとき、その人の昔の部下や取引先などに問い合わせて真偽を確かめる、というごく簡単なことをする人はほとんどい

黄色のハイライト | 位置: 1,692
自分というブランドがなぜ重要なのか、チャウはその理由をこう話してくれた。「ファンドで成功しようと思ったら、とびきりの案件を手がけることが絶対条件です。だから、とびきりの案件に出会うチャンスをできるだけ高めたい。でも創業者1人ひとりに会ってチャンスを発掘している暇はない。そんなとき、強力なパーソナルブランドがあれば自分を広く宣伝できると考えたのよ。『この案件はあの人に頼もう』と思い出してもらえるでしょ

黄色のハイライト | 位置: 1,696
チャウは「ベンチャー界の女性」を意味する「WoVen」というポッドキャストを立ち上げ、「女性の大先輩や起業家に声をかけて、1時間話してくれませんかと訊ねる機会と権利」を手に入れた。声をかけたほとんどの人から快諾を得て、チャウはネットワークを戦略的に拡大していく。大物や話題の人とのつながりによって、彼女自身の地位も引き上げられた。人はつきあう仲間で判断されるの

黄色のハイライト | 位置: 1,701
社会心理学者のロバート・チャルディーニは、この「権力者の威光によって高みに引き上げられる」現象の有名な逸話を挙げている。「金融家のロスチャイルド男爵は富と権力の絶頂にあったとき、知人に融資を頼まれた。御大はこう答えたという。『金は貸さないが、君と腕を組んで証券取引所の立会場を歩いてあげよう。貸し手はすぐに現れるだろう*2』」。地位や権威は周囲に伝染するから、人は成功者とのコネクションを吹聴したがる*3。したがって、強力なパーソナルブランドを確立する方法の1つは、名のある人や組織とつきあうことで

黄色のハイライト | 位置: 1,708
チャウはポッドキャストを利用して有名人とつながり、ネットワークを広げるだけでなく、定期的にブログに記事を書いて、消費者部門の投資家としての有能さをアピールした。本を分担執筆して、ソーシャルメディアに関する持論を展開した。本のブックツアーでトークショーを企画した。チャウいわく、こうした執筆活動で創業者たちに名が売れたおかげで、「『そこらのベンチャーファンドのそこらの女性』の立場で創業者に資金調達ラウンドの問い合わせ」をせずにすんでいると

黄色のハイライト | 位置: 1,712
そのほか、 20 人ほどのパネルディスカッションを定期的に主催している。「まず私自身が知識を仕入れたい分野を選ぶ。それから女性の先輩投資家を3人選んで、パネリストになってもらう。これは、やり手の先輩とのネットワークを築く私なりの方法よ。そして、その分野の有望な創業者を 20 人ディスカッションに招待する。事情にくわしい創業者と投資家が情報や知識を提供してくれるから、私はそれをまとめてブログで公開するの」  また「テイキングストック」というメールマガジンを発行

黄色のハイライト | 位置: 1,724
チャウはポッドキャストやメルマガ、クラブハウスの番組、ブログ、パネル、会議のすべてを通して、ベンチャー界で確固たる地歩を築いている。「こうやって顔を売ってパーソナルブランドを築いたおかげで、『私のポッドキャストに来て、パネルに参加して、基調講演をして!』と声をかけやすくなった。この業界では同じメンツが回り持ちで会議や講演を担当しているような感じなの。言ってみれば常連ね。その回り持ちの輪に入ってしまえば、ずっとそこに居続けて、いろんな視聴者や読者に声を届けられるって

黄色のハイライト | 位置: 1,733
自分の物語を用意し、繰り返し語る  ブランドには一貫性が必要だ。強力なパーソナルブランドは、あなたのキャリアと私生活を1つに織り合わせ、なぜあなたがいまの地位にふさわしいのか、なぜあなたがその業界で会社を始めたのかを知ら

黄色のハイライト | 位置: 1,744
ウォーカーには強力な物語がある。彼はひげがカールしていて剃りにくい黒人男性として、カミソリ負けに悩まされ、ケア製品の必要性を痛感していた。有色人種向けのケア製品がほとんどなく、あったとしても目立たない場所に押しやられていることを実体験から知っていた。不十分な商品開発とイノベーション投資のせいで、有色人種向け製品という成長中の巨大市場が手つかずのまま放置され、時代遅れの製品に甘んじているのをつぶさに見てきた。何より黒人起業家として、ダイバーシティ推進への関心が高まるなか、シリコンバレーのスタートアップ界に有色人種がいない現状を代弁できた。ウォーカーはこの問題を熱っぽく巧みに訴えるとともに、彼自身が模範となって女性や有色人種を率先して雇用し、有色人種のための製品をデザインし、販売しているのだ。  誰にだってブランドは必要だ。あなたがどんな人間で、どんなことをしてきたかを簡潔に表す2、3文の短い物語を書いてみよう。あなたの強みや経験、またできれば自叙伝の側面を盛り込むといい。たとえば私の授業ではプエルトリコ出身の女性が、母国の経済発展を促すために技術・知識基盤型経済を築く必要性を熱く訴え、そのために自身の技術的知識を活かして、プエルトリコ系起業家が創業した巨大プライベートエクイティ投資会社、トーマ・ブラボーで働くのだと語った。MBA取得をめざすアフリカ系アメリカ人の医師は、彼自身幼いころから悩まされてきた医療格差のせいで健康格差が生じているという深刻な問題を語り、それを解決するために歩んできたキャリアを熱弁し

黄色のハイライト | 位置: 1,757
あなたというブランドを表す簡潔な声明ができたら、同僚や友人に聞いてもらい、感想や助言を求めよう。次に、それを世界に広める方法を考えよ

黄色のハイライト | 位置: 1,759
人より先に物語を語る  人の集まるところには必ず物語が生まれる。だから人より先に自分の物語を語り、独自の…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,767
この疑惑は最後には、根も葉もないことが証明された。2000年7月、エモリー大学はソネンフェルドに起こされた訴訟で和解し、数百万ドルの和解金を支払うことで合意する。ジョージア工科大学も2009年、内定取り消しへの代償として120万ドルをソネンフェルドに支払った*

黄色のハイライト | 位置: 1,777
ソネンフェルドはいったん無実を証明する証拠映像を手に入れると、研究者やビジネス界の知り合いに精力的に働きかけた。そしてとうとうCBSの番組「 60 ミニッツ」内で、ソネンフェルドに同情的なドキュメンタリー、「朽ちた学園」が放映される。これを機にエモリー大学の学生や卒業生の間に彼を支持する動きが巻き起こったため、大学は交渉のテーブルにつかざるを得なくなり、最終的に和解に追い込まれたので

黄色のハイライト | 位置: 1,781
この逸話の1つめの教訓は、マーク・トウェインの名言、「真実が靴をはいている間に、噓は地球を半周する*7」の通りだ。2つめの教訓は、自分の側の言い分をできるだけ早く、繰り返し語ることの重要性である。いったん定着してしまったイメージを覆すのはとても難しい。3つめの教訓として、組織を去る人は口止めを条件に金銭を支払われることが多いが、自分を弁護できない場合のダメージや問題は計り知れない。仕事やキャリアに差し響く出来事について自分の言い分を主張する必要があるとき、沈黙は金ではなく、損に

黄色のハイライト | 位置: 1,792
身なりや外見をブランディングに活かすことは、新しくも珍しくもないが、重要であることに変わりはない。詐欺罪で起訴された血液検査会社セラノスの創業者CEOだったエリザベス・ホームズは、「身なりに構っている暇がない」ことをアピールするために、黒いタートルネックを着回していた。スティーブ・ジョブズにも独自のスタイルがあった(ホームズはジョブズを真似していたらしい)。メタのマーク・ザッカーバーグは、一時期フードつきパーカーをトレードマークにしていた。ツイッター元CEOで現スクエアCEOのジャック・ドーシーは、長年のうちにどんどん風貌が変化し、初期の尖ったパンクスタイルから、CEOらしい堅い服装に変わり、2020年春の議会公聴会にはパンデミック中にぼうぼうに伸びた「コロナひげ」を生やして出席した。おもしろいことに、彼の証言内容よりも外見を取り上げた記事の方が圧倒的に多かっ

黄色のハイライト | 位置: 1,801
どんなメッセージを伝えたいのかをしっかり考え、言動もそれに合わせる必要があるのは明らか

黄色のハイライト | 位置: 1,802
法則1で取り上げた、元サンフランシスコ市長で元カリフォルニア州議会下院議長のウィリー・ブラウンは、テキサスの貧困家庭の出身だが、成功してからはお高いブリオーニのスーツを着て高級車を乗り回した。エスクァイア誌に「カリフォルニアのベストドレッサー」と称され、自分の成功の秘訣はスタイルにあると言っている*8。1984年の「 60 ミニッツ」のインタビューで、「あなたは生ける芸術作品のようだ」と言われると、こう答えた。外見や身…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,808
手を替え品を替え知名度を上げる  パーソナルブランドと物語、そして公私両面を織り合わせた説得力のある物語を用意したら、次はそれを広めよう。あなたのブランドに合う媒体を選ぶことも大切だ。メッセージを広める手段は無限にある。 ポッドキャスト  第一が、ポッドキャストだ。ポッドキャストはありすぎると言ってもいい。その中であなたのポッドキャストを際立たせるには、誰かに広めてもらうのが一番だ。スポンサーを獲得して、興味深い独自の視点を打ち出し、有名人をゲストに招き、何より継続しよう。法則2で紹介したルール破りの達人で、エンジェル投資家・イベント主催者の…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 1,822
本を

黄色のハイライト | 位置: 1,824
そしてパーソナルブランドを確立するために、『エンジェル投資家──リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか*9』という本を出し

黄色のハイライト | 位置: 1,826
草稿を書き上げるのにひと月ちょっとかかったが、あれは非常に有効な時間の使い方だったと言っている。知名度が上がったし、有益なヒントやアドバイスを提供したことで信用も高まっ

黄色のハイライト | 位置: 1,828
自分で本を書きたくない人や、書く時間や文才がないという人は、ゴーストライターの助けを借りてもいい。執筆を請け負う人やサービスはたくさんある。著書は、とくに誰もが知るベストセラーになれば、ブランド構築に大いに役立つ。自分の本を買って配る人がいるのはそのためだ。それに自分に関する本を書けば、物語の「語られ方」を自分で決めることができる。故リー・アイアコッカの自伝* 10 では、追突されると燃料タンクが爆発する欠陥車、フォード・ピントの開発話はどこにも出てこ

黄色のハイライト | 位置: 1,839
ウェルチに仕えたある経営幹部は、ゼネラル・エレクトリック(GE)には数万人の社員がいるのに、なぜウェルチだけが称賛を独り占めするのかといぶかったという。その理由は、ウェルチだけが「物語」を持っていたからにほかなら

黄色のハイライト | 位置: 1,841
ビジネス評伝がカネになるだけでなく、経営者のイメージを高める物語やブランドを築くツールにもなることを見て、いまや企業経営者や起業家の本が花盛りである。その多くは都合の悪いディテールを削り、明らかに自画自賛的だが、ブランド構築にとても役立って

黄色のハイライト | 位置: 1,844
ゴーストライターに協力する時間もないという人には、もっと簡単にメッセージを届ける方法がある。ブログや雑誌記事を書こう。あなたの考えや分析を披露してオーディエンスを獲得できるような媒体なら何でもいい。建設資材業界で働くブラジル人のマルセロ・ミランダは、 20 代前半から雑誌や新聞に記事を投稿し始め、断られてもめげずに別の媒体にせっせと記事を送り続けた。この努力が実を結び、とうとうブラジルのビジネス誌に「未来のCEO」の1人として、特集記事で紹介されるまでになった。こんなかたちで雑誌に取り上げられる人は、実際に若くしてCEOになることが多いの

黄色のハイライト | 位置: 1,850
会議のスピーカーや主催者になる  カラカニスは、センスのいい料理とドリンクを出す気の利いたイベントの威力に早くから気づいていた。現在彼は起業家や投資家、スタートアップ界に興味のある人々が集う、「ローンチ・フェスティバル」というイベントを運営している。新型コロナ流行前は毎回1万5000人を集める盛況ぶりで、世界中の都市から引っ張りだこだった。ローンチ・フェスティバルは最初からハイテクスタートアップ界の人が集まる「中心地」だったわけでは

黄色のハイライト | 位置: 1,862
物語を伝えるには、とくにあなたを持ち上げるような物語の場合は、他人に広めてもらうのが一番

黄色のハイライト | 位置: 1,867
研究によれば、他人がほめた場合は、たとえエージェントなどが報酬と引き換えに宣伝するような場合でも、好感度は下がらないと

黄色のハイライト | 位置: 1,868
メディアに取り上げてもらえば百人力だ。メディアが宣伝に対して直接・間接の報酬を得ている場合でも、効果は変わら

黄色のハイライト | 位置: 1,872
だがおそらくメディアを味方につける最善の方法は、あなた自身がいつでも快くメディアに協力することだ。取材に積極的に応じて、記者の仕事を楽にしてあげよう。この厳しいご時世、記者もタイトな締め切りと限られた予算、長時間の労働に耐えている。興味をそそる取り上げやすいネタを提供し、記事を書きやすくしてあげて、恩を売っておこ

黄色のハイライト | 位置: 1,875
前述のトリスタン・ウォーカーの特大記事を執筆した、ファストカンパニー誌の記者J・J・マッコービーは、ウォーカーの協力的な姿勢を絶賛する。「彼に連絡を取るとすぐ、仕事風景の見学から家族や友人のインタビューまでのすべてをセッティングしてくれた。これまでいろんな人を取材してきたけれど、彼の対応はピカイチで、記者にとっては夢のような存在だね*

黄色のハイライト | 位置: 1,883
彼女が抜群の知名度を誇るのは、執筆活動のおかげもあるが、自分の活動全般に注目を集める努力をしてきたことが大きい。メディア露出の重要性にいち早く気づき、メディアとの関係構築に戦略的に取り組んできたのだ。 「何より、彼女は進んで取材に対応し、記者の電話を取り、求められればその場でインタビューに応じることも多い。チンチラには公人としての責任を担う覚悟と能力がある。かなりの時間と労力を取られるし、生半可な気持ちではできないことだ* 14」  チンチラは自分の主催する会議に記者を招待し、参加者の女性経営幹部への取材を許可し、研究データを惜しげもなく提供した。メディアとのパイプを太くすることに最初から力を入れていた。

黄色のハイライト | 位置: 1,902
ベニオフは「メディアの重要性を理解し、自らメモをまとめて記者に渡しているよ。電話は必ず自分で取るしね」という。ベニオフがほかのテック企業の創業者に比べて好意的に取り上げられることが多いのも

黄色のハイライト | 位置: 1,911
創刊したその年、カラカニスは注目を集める施策として、ニューヨークで最も影響力のある人物と企業のランキング、「シリコンアレー100」を誌上で発表し始めた。ランキングを発表した動機について、カラカニスはこう語る。 うちのチームはランキングの発表に断固反対した。炎上したらどうするんだって。でも「そのためのランキングじゃないか」と押し通したさ。ナンバーワンにふさわしいのはどこか? もちろん、ダブルクリックだ。あの会社には資金があるし、プロダクトも人材もそろってる。でも僕はこう言った。「いいね、じゃ、彼らがナンバーツーで決まりだ」。……ランキングを話題にしてほしいからだよ、なぜ彼らはナンバーワンに負けたのかと。ナンバーワンにはエスター・ダイソンを選んだ。ビル・ゲイツが助言を求める女性で、業界のビジョナリーだ。それからの7、8年は、翌年のランキングを教えろとみんなに詰め寄られて参ったよ*

黄色のハイライト | 位置: 1,921
ビジネスウィーク誌の編集長だったジョン・バーンは、1988年にビジネススクールのランキングを開始した際、トップにハーバードでもなく、スタンフォードやペンシルベニア(ウォートン校)、MITでもない、まだそれほど有名ではなかったノースウェスタン(ケロッグ経営大学院)を選んで話題を呼んだものだ。意外な選択や物議を醸す見解は注目を

黄色のハイライト | 位置: 1,935
有名な人や組織との関係を利用

黄色のハイライト | 位置: 1,937
ドイツ語をひとことも解さないギラーニを、この格式ある非常にドイツ的な組織の幹部に抜擢したのは、CEOのクリストフ・フランツである。2022年1月、ギラーニはドイツ第2の航空会社、コンドル航空の監査役会副会長となり、コンドルの新しい大株主アステター・キャピタルの航空・旅行投資担当上級顧問にも任命された。このキャリアには、彼がルフトハンザでの地位を踏み台にしてパーソナルブランドを拡大していった様子が如実に現れて

黄色のハイライト | 位置: 1,942
ルフトハンザに移る前、シーベリーの社長に「ぜひそのすばらしい会社を足場にして、多くの人と知り合い、君というブランドを築きなさい」と激励されたという。ギラーニはこの助言を胸に、航空業界でのし上がり、地歩を築いていっ

黄色のハイライト | 位置: 1,947
ルフトハンザの代表団の一員としてダボス会議に行ったとき、YGL(若手グローバルリーダー)というコミュニティがあることを知って、どうしても加わりたいと思った。CEOの推薦を取りつけて……参加にこぎ着けた。それからルフトハンザのWEF代表になり、「旅行に関するグローバル・フューチャー・カウンシル」のメンバーにも選ばれた。世界中の 20 人ほどのメンバーが集まって、旅行と移動・輸送手段に関するアジェンダを策定するん

黄色のハイライト | 位置: 1,959
パーソナルブランドの価値を高める取り組みは相乗効果を生んだと、ギラーニは言う。「ルフトハンザとYGLでの活動が評価され、ギラーニはキャピタル誌の『世界を変える 40 歳未満の 40 人』と、フィナンシャル・タイムズ紙の『多様性推進に貢献のあったエグゼクティブ100人』(ギラーニは同性愛者である)および『マイノリティ出身ビジネスリーダー100人』に選出された*

黄色のハイライト | 位置: 1,965
ギラーニが取った手法は、誰にでも効果がある。あなたが一流企業で働いているなら、それを履歴書や公開プロフィールでひけらかすだけでなく、その地位を存分に活用して、ほかの一流組織や権力者とつながり、パーソナルブランドの価値をさらに高めていこ

黄色のハイライト | 位置: 1,968
功績を主張する  パーソナルブランドと高い評判を確立するためには、あなたの功績に対して正当な評価を得なくてはならない。積極的に自分の物語を語り、行き過ぎた謙虚さや、「実力があれば黙っていても認められる」などという考えは、きれいさっぱり捨て去ろう。上司や同僚は忙しく、自分のことで手一杯だ。誰かがあなたの功績に気づき、認めてくれると思うのは

黄色のハイライト | 位置: 1,979
リウは思ったほど昇進できず、自分やチームの正当な功績が認められていないことにも悩み、エグゼクティブコーチの指導を仰ぐことにした。私が彼女に出会ったのも、このコーチの紹介である。リウはコーチングを通して、自分やチームの功績をきちんと認めさせるために、物語を語る必要を初めて痛感したのだっ

黄色のハイライト | 位置: 1,989
会う人会う人に、「うちのチームはモバイル収益化問題に取り組んでいて、こんなことをするつもり」と触れ回った。 チームの中心メンバーは私と3人のエンジニア、助っ人のデータサイエンティストの合わせて5人。チームの計画を社内のあちこちに貼り出して、説明資料や戦略案を書きまくっ

黄色のハイライト | 位置: 1,996
大事なのは、物語を繰り返し何度も伝える

黄色のハイライト | 位置: 1,997
物語を語り、それを会社の重要課題に結びつけると、空いた時間にみんなが手伝ってくれた。深刻な問題の解決に貢献したい、自分も物語を書く側になりたいと思ったのね。あれからもう何年も経つのに、会社の重要な転機に貢献した小さなチームのことが、いまだに語り草になっている。あのプロダクトは業界をリードする存在になったけれど、巨大なフェイスブックの中では小さな存在よ。それでも私たちの物語に励まされて、ほかのチームも大きなことをめざそうとして

黄色のハイライト | 位置: 2,002
リウは経済的貢献が大きい仕事よりも、小さなプロダクトの功績を称賛された。なぜだろう? それは、彼女が繰り返し語った物語に、人々が求める要素がすべて盛り込まれていたから

黄色のハイライト | 位置: 2,004
英雄の旅物語は、大昔から語り継がれてきた。それは人間の不屈の精神を捉え* 20」、困難に遭遇した人々が成長して勝利を遂げる過程を描き出す。物語のパターンはほぼ同じだ。主人公が思いがけない挫折や試練を経験し、そこから学びを得て人間的に成長する。そしてその重要な教訓をもとに新しい方法で困難に挑み、成功をつかみ取る─

黄色のハイライト | 位置: 2,009
そんなわけでリウの物語からは、自分たちの取り組みを周囲に知らせることの2つめの重要な教訓が学べる。確固たるパーソナルブランドを築くには、英雄の旅物語に重なる筋立ての物語を語るといい。そうすれば聞き手の記憶に残るし、なにより励みになるメッセージは心に響き

黄色のハイライト | 位置: 2,013
だが、あなたが自分の物語を語らなければ、誰があなたの功績に気づいてくれるというのか?  こうしたためらいを克服するには、あなたの仕事の目的や意義を、違った視点から捉え直すといい。リウも、この方法をいろんな人に勧めて

黄色のハイライト | 位置: 2,016
いつかのイベントで自己評価について講演したとき、「私は自分を売り込むのが苦手で」と嘆く女性がいたの。私はこう言った。「あなた、いま自分が何をしたのかわかってる? 自己評価を自己宣伝と混同していたら、あなたの仕事を人にわかってもらえるはずがない。それでは仕事に対して失礼よ。たとえば、こう考えてみたらどうかしら? 『自分の貢献度を上司にもわかるように説明してあげる』とか『チームが成果に見合った評価を得られるように手助けする』とか。そうしたらあなたの見方も変わるんじゃない?」。彼女は「たしかにそうね、間違った考え方をしていたみたい」と納得してい

黄色のハイライト | 位置: 2,022
こうやって視点を少し変えるだけで、自分やチームの物語を語ることの必要性と意義を理解し、パーソナルブランドを築くという重要…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,023
最後にもう1つだけ。自分を売り込み、パーソナルブランドを築くという考えは、ジム・コリンズが『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則* 21』の中で説明した、謙虚さと不屈の精神を併せ持つ、「第5水準」(最高水準)のリーダー像と相容れないように思う人がいるかもしれない。だが次の3点を考えてほしい。第一に、コリンズが調査の対象としたのは、すでにCEOの地位についていたリーダーだった。私は実際にコリンズと議論したことがあるのだが、リーダーがトップに上り詰めるために取った行動と、権力の座に収まってからの行動は、かなり違っている可能性がある。第二に、コリンズ自身のデータが示す通り、第5水準のリーダーは1400人超のうちのわずか 14 人という、 稀有 な存在だった。非凡な行動の研究は興味深いが、ほとんどの人の行動指針としてはあまり役に立たない。そして…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,036
オミッド・コーデスタニは、サンノゼ州立大学で電子工学を学び、スタンフォードでMBAを取得したイラン系アメリカ人だ。まだ小さな会社だったころのグーグルに 11 番目の社員として入社した同社初の非エンジニアで、1999年から2009年までグローバル販売・業務担当上級副社長を務めた*1。グーグルを辞めたときの個人資産は 20 億ドルを超えていた。2014年にもグーグルから短期の仕事を依頼され、約1年という短い任務に1億3000万ドルの報酬が支払われた*2。その後ツイッターの会長を5年ほど務め、最近まで同社の取締役だった。  コーデスタニは数年前スタンフォードで講演したとき、「ビジネススクールで一番役に立った授業は何ですか」という質問に、私の「権力への道」講座だと答え

黄色のハイライト | 位置: 2,051
1991年にMBAを卒業すると、古巣のヒューレット・パッカード(HP)に戻り、それからGOや3DOなどの失敗に終わったスタートアップを転々とし

黄色のハイライト | 位置: 2,055
仕事の成果より、人脈や後ろ盾がモノを言う。だから時間配分を徹底的に見直して、実務にかける時間を減らし、社内外の人との交流や人脈開拓に力を入れ、自分の認知度と知名度を高めていった。どんなによい仕事をしても、誰にも知られなかったら何にもなら

黄色のハイライト | 位置: 2,066
コーデスタニのある面接は、午後4時に始まり、夕飯時になっても終わる気配がなかった。頭が回り、対人スキルに優れるコーデスタニは、「みんなで夕食に行きましょう、私のおごりで」と誘った。そして会食という、打ち解けたプレッシャーの少ない場で、コーデスタニの共感力と才気がさらに冴え渡ったのである。この夕食の「投資収益率」は莫大だったと、彼は笑う。なにしろグーグルの初期社員になれたのだ

黄色のハイライト | 位置: 2,074
スタンフォードの卒業生でホテルチェーン経営者のチップ・コンリーのもとで無給で働いた──最後の最後で報酬を断ったのだ。それから時間をかけて仕事先をじっくり探した。上司や先輩から学び、よい関係を築けるような会社が理想だっ

黄色のハイライト | 位置: 2,083
法則2に登場した、ルール破りの達人でマーケティングの専門家のキース・フェラッジは、『一生モノの人脈力*4』という本を書いた。彼の経営するマーケティング・コンサルティング会社フェラッジ・グリーンライトの成功は、彼が優秀な人材や顧客をいかに引きつけられるかにかかっている。そのためには人を知り、なにより人に 知られ なくてはならない。フェラッジとその会社をよく知り、よい印象を持っている人でないと、コンサルティングや講演を引き受けてくれない。彼にとってネットワーク構築はまさに死活問題なので

黄色のハイライト | 位置: 2,092
世界に爪痕を残し、変革を起こしたい」という彼の目標は、多くの人に助けを借りなくては達成できない。組織や社会で何らかの目標を達成するには、ネットワークが欠かせないのだ。 「大事なのは何を知っているかより、誰を知っているかだ」という 諺 には一理ある。誰を、何人知っているかが、あなたの影響力とキャリアに直結する。そんなわけで権力の法則5は「ネットワークをつくれ」で

黄色のハイライト | 位置: 2,101
(役に立つ)人との交流に時間をかける  人間は他者とのつながりを渇望する社会的動物だから、ほとんどの人は自由な時間のいくらかを人づきあいに当てている。だが法則5の観点から見て問題なのは、その時間の大半が、上司や同僚などの仕事に役立つ人ではなく、家族や友人とのやりとりに費やされていること

黄色のハイライト | 位置: 2,109
この調査は結論として、「週8時間から 10 時間を、仕事上の関係づくりに費やすべき」だとしている。その理由は、「ネットワークづくりを仕事に役立てる秘訣は……ネットワークづくりにもっと時間をかけること!*6」だから

黄色のハイライト | 位置: 2,114
ノーベル経済学賞を受賞した心理学者で行動経済学者のダニエル・カーネマンらは、人が日常生活で何をして過ごし、その時間をどのように感じているかを調べる手法を考案した。彼らの調査によると、「人づきあい」は「デートや交際」に次いで、1日の中で最も幸福度が高い時間だった*

黄色のハイライト | 位置: 2,118
ただし、人づきあいの時間の幸福度は相手によって異なり、友人、家族、配偶者との交流は、同僚、上司、取引先、顧客との交流よりずっと幸福度が高かった。つまり、人が仕事に役立つネットワークづくりに十分な時間をかけていない理由の1つは、楽しいと思わないからで

黄色のハイライト | 位置: 2,123
人は「よくない」と思っていることをすると、自分が汚れてしまったと感じる。しかもその気持ちは態度に現れるだけでなく、ボディソープや歯磨き粉などの洗浄用品をほしくなるというのだから

黄色のハイライト | 位置: 2,129
そんなわけで、ネットワークづくりに十分な時間が費やされない理由の2つめは、キャリアアップに役立つにもかかわらず、自分の利益のために他人を利用することにやましさを感じ、自分が汚れたような気がするから

黄色のハイライト | 位置: 2,138
私は先に取り上げたロス・ウォーカーのケーススタディを執筆したとき、ホテル経営者で作家、エアビーアンドビー元幹部のチップ・コンリーに話を聞いた。彼はとてもためになることを言っていた。 ネットワークづくりを、やらなければいけない「タスク」だと思うと、やっつけ仕事になるし、やりっ放しになってしまう。「どうしたらもっとうまくやれるだろう」とは考えなくなる。ネットワークづくりをタスクだと思っている人が多いようだね。でも彼[ロス・ウォーカー]はそれを「スキル」に昇華させたんだ。スキルを身につけようとするときは、どうしたらうまくなれるかを戦略的、分析的に考えるだろう?*

黄色のハイライト | 位置: 2,145
ネットワークづくりと出世  ほとんどの人は、仕事のためのネットワークづくりを苦痛で不自然だと感じながらも、キャリアアップには役立つと思っている。この直感は正しいし、数々の調査研究でも確かめられている。仕事の社会的、相互依存的な側面が重要性を増し、複雑な知識やスキルがますます必要とされるこの時代、ネットワーク力を積極的に高めることがこれまでになく求められているの

黄色のハイライト | 位置: 2,165
仕事で成功し業務遂行能力を高めるために、ネットワーク力は欠かせない。だが多くの人がネットワークづくりを楽しいと思わず、戦略的なネットワークづくりに抵抗を感じている。だからこそ、時間の 使い方 と、時間を 過ごす相手 を意識して選ぶ必要が

黄色のハイライト | 位置: 2,172
私がレビーのことを知ったのはニューヨーク・タイムズ紙の記事* 16 だった。レビーはニューヨークの自宅で「インフルエンサーの夕食会」を催している。多様な経歴の人を 12 人ほど集め、一緒に簡単な料理をつくって、後片づけと皿洗いまでを行う。ただし、食事中は自分が何者で、どんな仕事をしているかを明かしてはいけない。食事が終わってからお互いの正体を当て合う、という決まりだ。レビーによれば、「仕事の話はしない」という縛りがあると、お互いへの好奇心や興味が湧くし、お互いの地位を知らないから偉そうな態度を取りづらくなるという。  ロサンゼルスのWRT

黄色のハイライト | 位置: 2,193
レビーは2008年ごろに参加したセミナーで、人生では誰とつきあうかが大事だという話を聞いた。「同時代の非凡な人たちに囲まれて過ごしたいと思った。そういう人たちの知識や習慣を吸収して、人生の質を高めていければ、と」。この思いが、方向転換のきっかけになっ

黄色のハイライト | 位置: 2,201
人は何かに時間や労力をかけると、その対象を高く評価し、特別の愛着を感じることを、レビーは知っていた。この現象は、イケアの組み立て式家具にちなんで「イケア効果」と呼ば

黄色のハイライト | 位置: 2,203
さまざまな実験で、被験者は折り紙やレゴ、イケアのただの黒い収納ボックスなどを組み立てると、自分がつくったものに強い愛着や価値を感じ、また他人も自分と同じ感情を持つはずだと信じることが確かめられて

黄色のハイライト | 位置: 2,216
ジョン・レビー、キース・フェラッジ、ロス・ウォーカーのネットワークづくりは三者三様だが、重要な共通点がある。それは、ふつうでは持てないほど大きな人の輪を、戦略的に生み出していることだ。だが彼らの戦略はそこまで難しくない。努力と社会科学のエビデンス、そして自分の経験の振り返りを通して、楽しみと権力を与えてくれるネットワークを築くことは誰でも

黄色のハイライト | 位置: 2,227
職探しに最も役立ったのは、家族や友人、親しい同僚などの強いつながりではなく、ちょっとした知人程度のつながり、いわゆる「弱い 紐帯」だったので

黄色のハイライト | 位置: 2,233
また弱い紐帯をたくさん持っている人は創造性が高いことも、研究から判明している* 20。弱い紐帯を通じて多様な観点やアイデア、情報に触れられるから

黄色のハイライト | 位置: 2,246
簡単にまとめると、こういうことになる。親しい人とばかり過ごしていてはいけない。多様な組織や業界の多様な人々と努めて交流しよう。そうした知り合いが、あなたの仕事の成功や出世に役立つ情報を持っているかもしれないのだ

黄色のハイライト | 位置: 2,249
2 仲介役に

黄色のハイライト | 位置: 2,251
構造的空隙」とは、集団と集団の間につながりがなく、情報が分断されている状態をいい、バートはこの空隙の橋渡しをする、つまり仲介することによって、さまざまなメリットが得られると論じ

黄色のハイライト | 位置: 2,253
仲介者は、現在交流がないが、交流することによって利益が得られそうな集団間の橋渡しをする。たとえば不動産ブローカーは不動産の売り手と買い手を結びつけ、投資銀行は資金を投資したい人と資金を必要とする人をつなぎ、銀行のM&A担当者は会社の買い手と売り手を仲介する。ベンチャーキャピタリストは技術と事業計画を持つ人と資金を持つ人を、ヘッドハンターは企業と人材を引き合わせる、といった具合

黄色のハイライト | 位置: 2,256
そして、仲介役を務める組織や人もメリットを得る。仲介者が社会関係資本を創出し、累積していく様子を、バートは次のように説明する。一般に、「同じ集団に属する人々の考え方や行動は似通っているが、多様な集団とのつながりを持つ人は、多様な考え方や行動に通じている。集団間に横たわる構造的空隙の仲介者は、それまで見えなかった選択肢を見えるようにする。これが、仲介が社会関係資本を生み出すメカニズムである*

黄色のハイライト | 位置: 2,261
バートがエレクトロニクス会社で行った調査では、構造的空隙の橋渡しをする人は、年収と人事評価が高く、昇進しやすく、革新的なアイデアを生み出しやすいことが明らかになった* 23。構造的空隙に関する多くの研究のレビューでも、同様の結果が一貫して確認されている*

黄色のハイライト | 位置: 2,266
つまり、あなたが「ネットワークのどこに位置するか」が重要だということだ。構造的空隙の橋渡しができるような地位やポストにつき、異質なアイデアや情報、機会、リソースに触れることで利益を得られそうな部門や人、組織同士を結びつけることができれば、出世やキャリア形成の見込みが大いに高まるのは間違い

黄色のハイライト | 位置: 2,274
要するに、ネットワークづくりは下請けに出せないということだ。ネットワークづくりや仲介のメリットを得るためには、あなた自身が有利な位置にいる必要があり、その位置につくために努力をしなくてはなら

黄色のハイライト | 位置: 2,286
ユーサフは頭がよく、状況を読む力とネットワーク力に人一倍長けている。だが彼には権力の源泉がほかにもあった。戦略責任者という立場上、幹部と話す機会が多く、役員会ではつねに戦略部門の代表として分析を発表した。社内の部門や人との交流も多かった。彼が率いる戦略部門は仕事柄、社内全体から情報を収集し伝達共有する必要があり、経営陣の連絡体制を示す図でも中央に位置していた。ユーサフと戦略部門は、重要情報をいち早く知り、それをどこに流すかを決定するという、きわめて有利なポジションにあった

黄色のハイライト | 位置: 2,293
ある研究は、個人のネットワーク内での立ち位置が、社内の技術面のイノベーションと経営管理面のイノベーションへの関与度にどれだけ影響するかを調べたところ、とくに経営管理イノベーションを担う職務に関しては、ネットワークの中心にいることが、性格による影響を差し引いても、きわめて重要だとわかっ

黄色のハイライト | 位置: 2,301
ネットワークの中心にいれば、自分の存在を周囲に印象づけることもできる。中心的なポジションにいる人は直接的、間接的な知り合いが多いから、とかく注目を集め、情報や機会を得

黄色のハイライト | 位置: 2,303
またネットワーク内の中心に近いかどうかで、情報へのアクセスにも差が出る。ネットワークに関する初期の研究でも、中央に位置する人は連絡の 要 になるため、より多くの情報に接し、人との直接の接触も増えるという結果が出ている。そんなわけで、仕事やポストを選ぶ際には、それを引き受けることで中心に近い位置につけるかどうかを考えるといい。ほかの条件が同じなら、より中心に近い位置を選ぼ

黄色のハイライト | 位置: 2,307
4 価値…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,308
最後の点として、あなたからも価値のある何かを提供しよう。でなければ、誰があなたと知り合いになりたいと思うだろうか? これは「人に惜しみなく与えよ」というアドバイスと混同されることもあるが、私はちょっと違う言い方がしたい。相手の立場に立ち、相手がどんな人で、どんな問題を抱えているのかを親身になって考えれば、本当に相手のためになることをしてあげられる。人は助けられると「返報性の法則」を発動させ、何らかのかたちで恩返…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,314
人助けが人脈拡大につながれば、あなたも相手も、ネットワークづくりを「ずるくて打算的」なものと思わずに、もっとポジティブに捉えられる。人…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,316
このことからもう2つヒントを引き出せる。第一に、ロス・ウォーカーが私の「権力への道」講義で学生たちに諭したように、「頼みごとをするときは、相手に要求を丸投げするんじゃない」。誰かに何かを頼むときは、具体的で合理的な理由をもって、具体的な問題のために、具体的な助けを求めれば、相手は何をどんなかたちで提供できるかを答えやすい。だが、「キャリアの…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,320
第二に、人助けをするとあなたの権力が高まる。誰かを助けるために仲介の労をとれば、あなたが中心的で重要な存在だということを見せつけられる。橋渡しをすればするほど、あなたは人脈が(つまり権力が)豊富な人とみなされる。つまり人助けをしながら、…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,326
だから、ネットワークづくりはできる限り効率的に行いたい。  テクノロジーを賢く利用しよう。リンクトインやフェイスブックなどのSNSやメールを使って友人知人と「近況確認」し合お

黄色のハイライト | 位置: 2,329
また関係管理ソフトを使えば、いつ誰と連絡を取ったのか、誰とご無沙汰していてそろそろ連絡を取る必要があるのかを追跡できる。人間関係、とくに弱いつながりを維持するには、頻繁に深くつきあう必要はない。お互い関心のあるおもしろい記事をシェアしたり、ちょっとした連絡で「あなたのことを忘れていないよ」と知らせたりするだけで十分だ。キース・フェラッジは毎年誕生日に電話をかけて、高校時代のルームメイトとつながって

黄色のハイライト | 位置: 2,335
私はロス・ウォーカーのケーススタディを書くために、彼に話を聞いた。コーチャーは、ウォーカーのやったことは誰にでもできる(が必要な時間と労力をかけていない人が多い)と力説しつつ、ネットワークづくりを効率的に行うコツを2つ伝授してくれた。第一に、ネットワークを築く「手間」と「リターン」のバランスを取る必要があると

黄色のハイライト | 位置: 2,338
どんな人脈づくりの達人も、いつか必ず壁にぶつかり、困難だが重要な決断を迫られる。人脈の開拓と活用のバランスをどう取るかだ。どちらか一方だけが得意か、両方苦手な人がほとんどだね。本当に悩ましい問題だが、うまくバランスを取れる人はあっという間にトップにのし上がり、そこにとどまるん

黄色のハイライト | 位置: 2,341
第二に、ウォーカーら成功者のネットワークづくりにはコツがあって、ネットワークの中心より縁にいる人、身近な人より遠くの人に意識して時間をかけていると

黄色のハイライト | 位置: 2,343
これを「人脈のパラドックス」と呼んでいるよ。中心から遠い人にほど手をかける。自分の人脈に引き入れるためにね。近い人にはそれほど手をかけない。もう仲間内になっている人に尽くしたって仕方がないだろ

黄色のハイライト | 位置: 2,346
そんなわけで、ネットワークづくりを効率的に行うには、人脈の開拓と活用のバランスを取り、人脈にすでに入っている人より、引き入れたい人とのつきあいに時間をかけ、テクノロジーや人の手を借りよう(助けを雇うのはそれほどお金がかからない場合が

黄色のハイライト | 位置: 2,348
本章の締めくくりとして、ぜひやってみてほしいエクササイズと、その有効性を裏づけるデータを紹介する。あなたの時間の使い方を、手帳を見たり人に聞いたりして調べ、分析しよう。人脈開拓に十分な時間をかけているか? 誰にどれだけの時間を費やしているのか? 仲介役を務めているか? 権力者と頻繁につきあっているか? 人脈を仕事に活かしている

黄色のハイライト | 位置: 2,359
ネットワークのスキルはほかの権力テクニックと同様、教えることも学ぶこともできるのだ。権力の法則5「ネットワークをつくれ」をマスターすることがとても大切で

黄色のハイライト | 位置: 2,363
バレンティはのちにアメリカ映画協会の会長を 38 年間務めた人物だ。バレンティによると、ジョンソンは時を置かずに精力的に権力を行使し始めたと

黄色のハイライト | 位置: 2,365
暗殺現場のダラスから大統領専用機エアフォースワンでワシントンDCに戻る間も、ジョンソンは3人の側近と機内の寝室で5時間ほどかけて話し合い、早くも「偉大な社会」政策の構想を打ち出し

黄色のハイライト | 位置: 2,375
つまり、ジョンソンは権力に関して3つのことを理解していた。第一に、新任の時期は、反対勢力がまだ結集していないし、既存勢力と蜜月期にあるから、多くの成果を挙げるチャンスだ。この間に実績を積み重ね、権力を定着させるための施策を打つのが得策で

黄色のハイライト | 位置: 2,378
第二に、友人はすぐに恩を忘れるが、敵の恨みはしつこい。だから在任期間が長くなればなるほど敵は増え、地位を脅かされ、任務を遂行しにくくなる。権力の座にある限られた時間の中で、目標を達成するための行動を速やかに起こす必要が

黄色のハイライト | 位置: 2,380
組織内の政治的駆け引きがますます激しくなるなか、リーダーの在任期間は年々短期化して

黄色のハイライト | 位置: 2,384
2000年当時のCEOの平均在任期間は8年だったが、2010年代の間にわずか5年にまで短縮された。大都市の学区の教育長の平均在任期間は5年半*3、病院のCEOは5年

黄色のハイライト | 位置: 2,389
第三の点として、またこれは本章の主要テーマでもあるが、権力というものは使えば枯渇する、限られた乏しいリソースなどではない。それどころか、任務を遂行するために権力を使えば使うほど──これには体制を整え、任務達成を助けてくれる同僚や部下で周りを固めることも含まれる──権力はますます盤石に

黄色のハイライト | 位置: 2,392
権力を行使する人は「強力な人物だ」という印象を与える。そして人は権力に群がるものだから、権力を活用し、力を誇示すればするほど、味方は増えていくのだ。そんなわけで権力の法則6は、「権力を活用せよ」である。権力は効果的に使えば、使い果たすどころか持ち続けることが

黄色のハイライト | 位置: 2,397
ルービンは生え抜きではなく、UCLA医療センターCOO(最高執行責任者)から転身した外部人材だったから、まずは病院の医師や職員に受け入れられ、信頼を勝ち取ることが先決だっ

黄色のハイライト | 位置: 2,403
サービス向上をめざして、病院の各部門に業績評価指標を作成させ、その指標に基づく成績をグラフやチャートにして、社内のあちこちや自分の執務室にまで貼り出し

黄色のハイライト | 位置: 2,406
何事もけっして成り行き任せにはしなかった。業界のベストプラクティスを積極的に取り入れ、病院全体に広めた。患者と直接関わらない財務や購買などを含む全部門の責任者に毎月2回、午後遅くや夕方に病院を巡回させた。もちろん彼も一緒

黄色のハイライト | 位置: 2,415
ルービンの就任とともに、経営層に外部から新しい人材が加わり(意図的ではなかったと彼は言うが)、上層部だけでなくその2、3ランク下までの人員が大幅に入れ替わった。というのも、新任のリーダーたちが、業務効率改善に貢献できそうにない部下をごっそりすげ替えたから

黄色のハイライト | 位置: 2,418
ルービンは会議や研修にちょくちょく顔を出し、中間管理職の採用にも関わり、新しい幹部に経営方針をたたき込み、病院の評議委員と親しくつきあった。そうするうちに全職員にとって「顔の見える存在」になり、ますます権力を高めていく。USニューズ&ワールドリポート誌の病院ランキングで「カリフォルニア州第1位」と「全米トップ 15」にランキングされた*6 この病院を、職員も理事も誇りに感じてい

黄色のハイライト | 位置: 2,422
こうした成果と、それを生み出すための人事や運営面の改革との相乗効果で、ルービンの権力はますます強化され、すでに全国的だった彼の知名度はさらに高まる。スタンフォード病院を退任後、ユナイテッドヘルス・グループ傘下のオプタムの要職につき、その1年半後に会員制初期医療サービスを提供するワン・メディカルのCEOに就任した。ワン・メディカルは2020年初めに銘柄コードONEMでナスダックに上場を果たし、現在の時価総額は 40 億ドルである〔訳註:アマゾンが2022年7月に買収した〕。私は授業で彼のケーススタディをもとに、外部人材がすばやく権力を築く方法を説明して

黄色のハイライト | 位置: 2,428
この方法は官民問わずどんな組織にも効果がある。権力や権限を行使して好ましい変化を起こせば、味方が増えるから、誰かに取り組みを邪魔される前にさらに多くの成果を挙げられるの

黄色のハイライト | 位置: 2,446
すばやく変革を起こし改善を図るリーダーがなぜ権力を高めるかと言えば、「この人を支援しなければ」と周囲に思わせるからだ。権力を使わなければ変革など起こせない。組織には、度合いや形態は違うが惰性がつきものだから、従来のやり方を変えるためには、思い切った改革が必要だ。既存の人材やプロセスは現体制とのしがらみがあるから、それを断ち切るためには腕力が必要になる。権力をうまく活用して変化を起こせば権力はますます強化されるが、その一方で権力行使をためらったり避けたりすれば、現体制が存続し、権力は弱まるだけだ。権力は有効に使えばさらに盤石に

黄色のハイライト | 位置: 2,459
こうした人事の刷新は、どんな組織の新任リーダーにも見られる行動だ。リーダーはたいてい、組織改革を支えるチームを連れて乗り込んでくる。スタンフォード・ヘルスケアでは、アミール・ダン・ルービンが就任して2年と経たずに、経営陣だけでなく部長から3ランク下までのリーダーが総入れ替えになった。旧体制で働いていた責任者は誰一人、ルービンの掲げる高い業績目標に応えられそうになく、辞めるしかなかった。業績未達を日々チャートやグラフで突きつけられたら、たまったものではない。ルービンはワン・メディカルに移ったときも、気心の知れた元部下たちを引き入れ

黄色のハイライト | 位置: 2,474
あなたが外部出身のリーダーなら、組織運営の仲間を選ぶ際には、あなたのコミュニケーションの取り方や仕事の進め方を理解する人たちの協力を得よう。そうすればすばやく、効率的に動くことができる。全員が共通の認識を持つことは重要、いや不可欠だ。「同じ釜の飯を食った」仲間なら、あなたの戦略や改革に抵抗したり、邪魔したりする恐れは

黄色のハイライト | 位置: 2,478
まとめると、人員交代はあなたの権力を2つの意味で高める。第一に、あなたと共通の認識を持ち、仕事を効率よく進められる人材が増えれば、組織全体のパフォーマンスが上がるから、あなたの権力基盤が盤石になる。第二に、外部出身の幹部が陥りがちな困難で不利な状況にあっても頼れる味方が

黄色のハイライト | 位置: 2,481
戦略的転職 斡旋  リーダーが交代すると部下の入れ替わりが増えることは、調査でも確かめられている*9。経営陣の退職率は、リーダーが外部から招聘される場合や、交代前の組織の業績が不振な場合にはとくに高く

黄色のハイライト | 位置: 2,486
問題は、解雇が労働法で制限されている状況で、どうやって人材をすげ替えるかだ。アメリカなどの先進国では、合理的な理由のない解雇は無効とされる。法や規制の問題をさておいても、穏便で社会的に受け入れられるやり方で、敵やライバルを排除できないものだろう

黄色のハイライト | 位置: 2,489
1つの方法はすでに説明したように、業績向上策の一環として、「成果を挙げるためには新しいスキルと業績向上意欲を持つ人材が必要だ」という大義名分を掲げて人材を入れ替えることだ。実際にありうるそうした状況を、政治的に利用するということ。もう1つが、目の上のたんこぶの同僚や部下のために、異動や昇格をお膳立てすることによって、問題を取り除くと同時に、出世を後押しして恩を売るという、一石二鳥のやり方だ。私はこれを「戦略的転職斡旋」と呼んでいる。その見事な一例を政界から紹介しよ

黄色のハイライト | 位置: 2,504
戦略的転職斡旋を実践するうえで、注意してほしいことがある。ライバルや目障りな存在への恨みや怒りにまかせて行動してはいけない。戦略的かつ冷静に行動することはとても難しいが重要

黄色のハイライト | 位置: 2,506
フランシス・コンリーはスタンフォード大学メディカルスクールの神経外科教授を辞任し

黄色のハイライト | 位置: 2,528
権力があり、それを使う意志があることを見せつける  本書に繰り返し登場するテーマで、また法則7「成功すれば(ほぼ)すべてが許される」ととくに関連の深いものが、「人は勝ち馬に乗りたがる」という経験則

黄色のハイライト | 位置: 2,530
だからこそリーダーは、自分が今後もその座にとどまり、権力を握り続けることを周りに知らしめる必要がある。何が何でも地位を守ろうとする強さと意志を持っていることを見せつけなくてはならない。ここで思い出されるのが、マキャベリの『君主論』の有名な一節

黄色のハイライト | 位置: 2,532
マキャベリは権力を誇示するために恐れを利用することが役に立つと説いた。「愛されるより恐れられる方が、はるかに安全である。……愛情は恩義の絆によって結ばれるが、人間はもともと卑劣なものだから、ことあるごとにその絆を断ち切ろうとする。ところが処罰される恐怖はつねにつきまとうから、恐怖は必ず守ってくれる* 15」。マキャベリは、指導者の第一の責務は地位を維持することだとも述べている。地位を失えば大きな成果を挙げられないから

黄色のハイライト | 位置: 2,555
抗議や法律などものともせずに、自らの要求と希望を押し通すこの姿勢によって、モーゼスは強大な人物になったが、そのせいで自信過剰にも陥った。あるときモーゼスは、セントラルパーク内のレストランの駐車場を増築するために遊び場を取り壊そうとして、自らの力を過信し

黄色のハイライト | 位置: 2,566
モーゼスは強権をふるうことをいとわなかった。彼の最も有名な言葉は、「能ある者は創造し、能なき者は批判する* 19」で

黄色のハイライト | 位置: 2,574
イメージは現実になる。だから力を見せつけるような方法で権力を行使し、力を意識させるような行動を取れば、権力を握り続けることができるの

黄色のハイライト | 位置: 2,578
どんなに成功しているように見えても、権力は脆いものだ。追放を恐れる創業者たちは対抗策として、複数議決権株式を発行し、創業者の持ち株に普通株式よりも多くの議決権を付与して、取締役の選定から合併の決定に至るまでの、あらゆる経営上の意思決定への発言権を確保している。こうした取り決めは「1株1議決権の原則」に反するため、企業統治の観点からは問題ありだが、それでも広く行われて

黄色のハイライト | 位置: 2,582
たとえばフェイスブックのマーク・ザッカーバーグは、1株あたり 10 議決権が付与された株式を保有し、議決権の6割以上を握っているから、誰も彼に手出しができない。ニューズ・コーポレーションはルパート・マードックとその家族が議決権のすべてを保有する。グーグルでは創業者の2人が3種類の株式を通じて議決権の過半数を持つ。スナップチャットの親会社スナップは上場にあたり、普通株主に議決権を一切与えなかっ

黄色のハイライト | 位置: 2,589
2017年にアメリカの証券取引所に上場した企業の 19%が、議決権を調整するために複数議決権株式を発行した。2005年にはこの割合はわずか1%だった* 21。なぜ企業は創業者の権力を制度化する、複数議決権株式のような構造を持てるのだろう? それは、人気の高い未公開企業は上場にあたり、創業者に有利な条件を投資家に呑ませることができるから

黄色のハイライト | 位置: 2,593
別の方法として、CEOと取締役会長を1人で兼務する場合もある。かつてはこの体制が主流で、2007年と2008年には 60%を超える企業でCEOが会長を兼務していた。最近では減りつつあるとはいえ、2018年でも 45・6%の企業がこの体制を取っていた*

黄色のハイライト | 位置: 2,597
権力を盤石にする3つめの戦略が、後継者候補を排除する方法だ。ジャック・バレンティが 38 年間もアメリカ映画協会の会長の座にとどまることができたのは、業界の声を見事に代弁したからだが、後継者の芽を片っ端から潰していったからでも

黄色のハイライト | 位置: 2,609
4つめの方法として、複数の重複する役職を一手に引き受けるのもいい。ライバルはあなたから権力を奪うために、多くの役職から解任する手間がかかるから

黄色のハイライト | 位置: 2,615
あなたに権力とそれを行使する意志があることを誇示し、実際に権力を利用して成果を挙げ、権力を制度化する体制を整えていけば、「権力が権力を呼ぶ」状態に

黄色のハイライト | 位置: 2,617
だが本章の数々の例が示す通り、権力の行使はつねに諸手を挙げて歓迎されるとは限らない。リーダーには嫌われる覚悟も必要だ。権力の法則1で説明したように、好かれることに執着してはいけない。またライバルの排除や、権力を維持するための体制づくりにはリスクがつきものだ。そうは言っても、ほとんどの人は対立を避けようとするから、先に動いて主導権を取れば、驚くほど多くのことを成し遂げられる。そしていったん権力を確立すれば、人は権力に群がるものだから、かつての敵は味方となり、ライバルは無力化され、地位は盤石になるので

黄色のハイライト | 位置: 2,622
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黄色のハイライト | 位置: 2,624
わが国の金持ちや有力者が持つ最大の特権は、 罪を 咎められないことである ──ジェシー・アイジンガー(プロパブリカ記者、ピュリツァー賞受賞作家)からの私的メールより 勝者はただ歴史を書くだけではない、書き直すのだ ──サフィ・バーコール『

黄色のハイライト | 位置: 2,645
「トランプ主義に突き進んだ*5」共和党の中でトランプに 日和 ったのはグラムだけではないし、権力と名声を獲得した人への見方が一変するのは、政治の世界に限ったことでもない。今日最も称賛される経営者の中には、ストックオプションの不正なバックデート操作(スティーブ・ジョブズ)や、部下との不倫(ビル・ゲイツ)、裁判所命令違反(イーロン・マスク)、裁判を逃れるための国外逃亡(カルロス・ゴーン)、スキャンダルによる解任(BPのジョン・ブラウン)、ブルーカラーおよびホワイトカラーのブラックな職場環境(ジェフ・ベゾス)など、かつて非難された面々が名を連ねる。人は権力が獲得された方法や権力者の行状にはお構いなしに、権力者に群がろうとするものだ。だからあなたも権力をどうやって手に入れるかで気を揉むことはない。いったん権力を獲得すれば、ほとんどのことは不問に付されるのだ

黄色のハイライト | 位置: 2,659
授業では本書でも簡単に説明した、「自分の人となりや価値観を知らしめるパーソナルブランドをつくる」「誰とどうやってつながるかを戦略的に考える」といった自己開発の課題に取り組む。多くの学生が受講中からネットワークを広げていく。私の狙いは、学生が権力の法則を実践することに慣れ、ためらいの元になっている思い込みや自己イメージを捨て去り、力を誇示する言動を取ることができるよう、背中を押してやることにある。彼らはこれらの課題に「強制」され、権力を手に入れる方法をいやでも戦略的に考えるようになるの

黄色のハイライト | 位置: 2,664
こうした強制装置と、「自分の手で権力を高められる」という知識と自信を与えることが、「権力への道」講座の主な目的で

黄色のハイライト | 位置: 2,666
組織で成果を出すには権力が欠かせないとわかっていながら、権力を求めることをためらう人が多いため、権力行動を後押しすることがとくに重要なの

黄色のハイライト | 位置: 2,668
ためらう理由の1つは、権力を獲得することや、そのために必要な行動に不安を感じるからだ。人を陥れることにならないだろうか、モラルや規範を破りたくない、などと心配

黄色のハイライト | 位置: 2,672
動機としての権力  そんな不安を感じながら、それでも権力や地位を求める人が多いのは、人間には権力を持ちたい、それを誇示したいという、強力な「権力動機」があるからだ。過去数十年の研究や調査が示すように、権力や地位を強く求める人ほど、権威や地位を誇示するような行動を取り、実際に出世する傾向にある。また権力動機に性差は認められてい

黄色のハイライト | 位置: 2,678
いる。だがはっきり言っておくが、権力や影響力がなければ、人生や組織、世界を変えることはおろか、任務を遂行することもできない。それなのに、権力追求をためらう言い訳として、こうした不安を口にする人が

黄色のハイライト | 位置: 2,680
私はそんな人たちに、心配は無用だと諭している。なぜならいったん権力を得れば、権力を得るために行ったことも、その他の多くの問題も不問に付されるからだ。これが、権力の法則7である。またそもそも権力を得ていなければ失脚することもないのだから、取り越し苦労はやめよ

黄色のハイライト | 位置: 2,683
とはいえ、高い地位につけばやっかまれるのは当然だ。うらやまれるのは権力のない人ではなく、成功して高い地位についている人である。そういう人は目立つ分、より厳しい目にさらされ、批判を受けやすい。だがその反面、権力のおかげで過失や欠点が見過ごされることも多いのだ。それを本章で見ていこ

黄色のハイライト | 位置: 2,686
上に行けば行くほど、そこから引きずり下ろされる可能性が高まる。ピラミッドの底辺より頂点の方が競争が熾烈なのだから当然だ。だが人は権力に惹かれ、権力者に群がるものだから、上に行くうちに支持者や支援者もどんどん増えていく。法則2で説明した通り、権力を得るためにはある程度ルールを破ることは避けられないが、ルール破りには権力を高める効果もある。たしかに、権力を手に入れ持ち続けるうちに、権力者を揺るがすような対人関係の力学が働くことは否め

黄色のハイライト | 位置: 2,695
法則7とは要するに、「権力や権威があればほとんどのことが許される」ということだ。だからまずは権力を手に入れよう。そうすれば、おそらくそのまま持ち続けることができる。本章を読めばその理由がわかるはず

黄色のハイライト | 位置: 2,700
だから日本には謙虚や慎みを説く、「出る杭は打たれる*7」という諺があり、オーストラリアにも「背の高いケシの花は切りそろえられる」という戒めがあるのだ*

黄色のハイライト | 位置: 2,707
そう考えたくなる気持ちもわかるし、実際にそういう場合もあるが、一般に組織や社会の仕組みは、恵まれた人がさらに恵まれるように、権力や地位の格差をなくすより維持するようにできている。その意味で、人が組織内で取る行動は「マタイ効果」とよばれるものと一致

黄色のハイライト | 位置: 2,710
マタイによる福音書 25 章 29 節によれば、「だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる」〔訳註:日本聖書協会新共同訳*9〕。マタイ効果は、社会学者のロバート・マートンが科学者の褒賞や地位に関する研究で提唱した用語だ。マートンは、著名で権威のある科学者はますます功績が認められ、共同研究であってもより大きな称賛を得がちだという、褒賞の配分の不公平な側面を明らかにし

黄色のハイライト | 位置: 2,715
ひとことで言うと、マタイ効果はアドバンテージが累積する仕組みを表している。「訓練された能力や構造上の位置、利用可能なリソースにおける当初の比較優位は、その後も継続的に高まるため、科学における持つ者と持たざる者との格差は(社会生活のその他の側面と同様に)ますます拡大

黄色のハイライト | 位置: 2,719
社会的地位と関連があるとされる指標、たとえば性別などは、研究に対する褒賞の配分に影響を与えることがわかっている。女性による研究は、男性による研究に比べて引用されにくい。ただし多様性の高さに定評のある学問領域や分野ではそれほどではない*

黄色のハイライト | 位置: 2,728
優位性の累積を引き起こすのは、さまざまな社会的力学だ。権力者や成功者の周りには有能な人材が集まるから、そうした人材の助けを借りてますます成功しやすくなる。同様に、権力や評判のあるところには人材や資金などのリソースが集まるから、将来のさらなる成功や高業績を約束されたようなもの

黄色のハイライト | 位置: 2,735
このように優位性の累積は、いったん獲得された権力が長く持続する理由を説明する。だがその一方で、権力者が失敗したり、能力のなさが判明したり、倫理や法に反することをしても、なお権力を持ち続けることの説明にはならない。権力の法則7を成り立たせている権力の持続性を説明するために、まずはさまざまな悪や不正が許されるメカニズムを掘り下げてみよ

黄色のハイライト | 位置: 2,762
権力や富のおかげで報いを受けずにすんだ実例  権力者や金持ちが悪さをしてもそれほど厳しく罰されないのは、人はお金や権力に近づきたいがために、彼らの不正を大目に見たり、見ないふりをしたりするからでもある。その証拠をいくつか挙げてみたい。権力者がどのような不正を行い、その結果としてどのような懲罰を受けたか(受けなかったか)を包括的に調べ上げた研究というものは存在しないが、権力者が社会的制裁を免れた実例は枚挙に 遑 が

黄色のハイライト | 位置: 2,767
まず紹介したい資料が、プロパブリカ記者でピュリツァー賞受賞作家のジェシー・アイジンガーが書いた、『臆病者クラブ* 18』

黄色のハイライト | 位置: 2,769
この本は、検察官が罪を犯した企業経営者を訴追する能力と意志を、なぜどのように失ってしまったのかについて、とくに2008年の金融危機が本格的な訴追に発展しなかった理由を中心に考察している。アイジンガーの主張は単純だ。司法省の検察官は、のちに法律事務所に転職して企業経営者の弁護側に回ることが多いため、すでに経営者に仲間意識を持っているというのだ。この本の書評を1つ紹介しよ

黄色のハイライト | 位置: 2,773
最近では同じ人がキャリアの過程で、法廷の検察側にも、弁護側にも立つことが増えている。そんな彼らにとって、企業経営者の犯罪捜査に関与することは、ただリスクがあるというだけではない。一流法律事務所のパートナーへの転身を脅かされるばかりか、司法省にひしめくお行儀のよい優等生にとっては「社会的不快感」を感じる行為でもあるのだ。誰しも社会階級の裏切り者にはなりたくない──同じ階級の成員がとてもいい人たちの場合はなおさらだ*

黄色のハイライト | 位置: 2,819
金と権力と成功を手に入れれば、犯した罪の多くは見逃され、忘れられ、見過ごされ、正当化される。ライフスタイル界のカリスマで億万長者のマーサ・スチュワートは、2004年にインサイダー取引事件をめぐる司法妨害、偽証、連邦捜査官への虚偽供述、共謀で有罪判決を受け、6カ月間服役した。だがマーサ・スチュワートのブランドは前科などどこ吹く風で、ますます価値を高めている。有罪判決が出てからも、彼女にファッションやライフスタイルのアドバイスを求める人は引きも切らなかった。デパートのメイシーズとJCペニーは彼女のブランドとイメージを利用して、独占的コレクションのシーツやタオル、家庭用品の販売を続けた* 24。  悪名高い性犯罪者のジェフリー・エプスタインは、FBIの再捜査を受けて逮捕され、ニューヨークの拘置所で自殺する前は、フロリダとニューヨークの社交界の寵児としてもてはやされ、英国王室の一員とも親しく交際していた。記事にはこう書かれている。「エプスタインがフロリダの刑務所から釈放された1年 後 の2010年、キャスターのケイティ・クーリックとジョージ・ステファノポロスは、エプスタインのマンハッタンの豪邸で英国王室の一員と会食した。翌年、エプスタインはジェフ・ベゾスやイーロン・マスクらテック界のセレブの集う『ビリオネアの晩餐会』に出ているところを写真に撮られた* 25」。マイアミ・ヘラルド紙の記者で、この事件を暴き出し、最終的にエプスタインの失墜をもたらしたジュリー・K・ブラウンの著書、『ジェフリー・エプスタイン 億万長者の顔をした怪物』の書評を引用しよう。「マンハッタンの拘置所で死亡する1年足らず前……自称投資家のエプスタインは、世界で最も富と才能と権力を持つ男たちの電話番号を、短縮ダイアルに登録していた。[多くの記者が]彼のコネクション…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,841
この間シリコンバレーの集まりで、信じられないほどカリスマ的でチャーミングでパワフルな若い女性に会ったのよ、ご紹介しましょうか?」。どうやらセラノスの元CEOエリザベス・ホームズは、 次の ベンチャーを起業するための資金集めをしているようだ。当時はセラノスの崩壊を取り上げたドキュメンタリーや記事があふれ、刑事訴訟の係争中だったというのに、ホームズは相変わらず有力者の集まりでちやほやされ、再起資金の調達にも困っていないようだっ

黄色のハイライト | 位置: 2,865
成功と富、権力を手に入れ、権力者や金持ちの取り巻きができれば、どんな行動を取っても、失脚や失墜を免れられる可能性が高い。簡単に言えば、いったんトップに立てば、そこに至るまでに取ったほとんどの所業が忘れられ、許されるということ

黄色のハイライト | 位置: 2,868
つまり、権力者がよからぬ行動を取るのは、「権力のおかげで自分の行いの責任をさほど負わずにすむから」とも言える。社会心理学者は、権力を得ると心のタガが外れたような状態になること、いわゆる「脱抑制」が生じることを明らかにして、「権力は腐敗する」という格言の正しさを実証した* 30。人は権力を持つと、損失よりも見返りや利益に注目し、楽観的になり、リスクの高い行動を取りがちになる* 31 ため、普通の人が取らないような行動を取る傾向にあるという。周りのことなどお構いなしに、わが道を驀進するの

黄色のハイライト | 位置: 2,874
本章は、なぜ権力者が思うままに規範に反する行動を取りがちなのかについて、納得のいく理由をもう1つ述べる。それは、権力によって自分の行動が招く最悪の結果から守られ、権力がない人に比べればそれほど責任を問われないからだ。権力のおかげで報いを受…
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黄色のハイライト | 位置: 2,878
すると、こう考える読者もいるだろう。ここまで例に挙がった人たちは、結局は報いを受けたじゃないか、と。私がこれを書いている時点で、エリザベス・ホームズは4件の詐欺罪で有罪判決を受けた。パーカー・コンラッドはゼネフィッツを追放され、ジェフリー・エプスタインは拘置所で死亡した。ハーベイ・ワインスタインはハリウッドで権力をほしいままにしていたにもかかわらず、強姦罪で有罪になった。ウッディ・アレンは養女への性的虐待疑惑で映画製作がお蔵入りになり、新作映画の配給も制限…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,890
だが注意してほしいのだが、こうした権力者たちが 紆余曲折の末に 失墜したのは、とくにえげつない行動を取ったからであり、かつ彼らの行動に着目し、それを明るみに出せる立場にある敏腕ジャーナリストに不運にも出会ってしまったからなのだ。ほとんどの人はそこまでくわしく調べ上げられないから、権力を持ち続ける。  こうして権力者の地位を安泰にする社会心理学的なメカニズムを理解しておけば、権力が実際に持続しても驚かずにい

黄色のハイライト | 位置: 2,895
動機づけられた認知 「人は思考を通して現実を正確に認知しているつもりでいる。だがくわしく調べてみると、この前提は崩壊する* 32」。いわゆる「動機づけられた認知」とは、「人が自らの必要や目標にかなう、望ましい結論を導くような考え方をする* 33」という、ごく一般的なおなじみの無意識の傾向である。簡単に言えば、人は見たいものを見、信じたいものを信じるということだ。動機づけられた認知は、権力の持続をいろいろな面から助ける。この例を2つほど見ていこ

黄色のハイライト | 位置: 2,902
心理学の「認知的一貫性」理論によると、「人間には認知の一貫性を保ちたいという根深い欲求があり、それが満たされないと苦痛を感じる* 34」という。これは心理学だけでなく、組織心理学や神経科学、経済学、社会学、政治学にも広く取り入れられている考えだ。ただ最近では、一貫性欲求の中心となる前提に異論が投げかけられている。一貫性欲求は、根本的な人間の動機というよりは、「矛盾した情報を得た際の信念の書き換え」と考えた方がうまく説明できるという考…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,909
この一貫性欲求が、権力に対する認識に与える影響は単純だ。「Xという人物は成功して権力と富を持っている」という認識は、その人物に対するほかの認識にも影響を与え、「Xは立派で有能で知的で努力家で、Xとつきあうことは望ましい」と考えがちである。そしてここが重要なのだが、ある人が「どれだけの権力や富や成功を得ているか」という認識は、その人が「どんな性格や特徴を持っているか」という認識よりも揺るぎないため、その人を判断するうえでより強力な基準になる。たとえばジェフ・ベゾスが世界で一、二を争う大富豪なのは間違いないし、ドナルド・トランプが2016年にアメリカ大統領に選ばれ、2020年の大統領選で史上第2位の得票数を…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,917
要するに、ある人物が富や名声、地位、権力──これらは理論上は別々の概念だが、同時に生じることがとても多いから区別しない──を得ると、周りの人は認知的一貫性を保つために、その人物は立派で能力も知性も高いなどと考え、…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,920
認知的一貫性を裏づける研究を1つ紹介しよう。カリフォルニア大学バークレー校ビジネススクール教授のバリー・ストウは、作業集団や組織、個人の「業績」に対する評価が、「能力」に対する評価に影響を与えていると指摘した。従来研究では「能力によって業績を予測できる」と考えられてきたが、ストウはある集団の業績がいったん知られると、人々はその業績をもとに、「この…
エクスポートの制限に達したため、一部のハイライトが非表示になっているか、省略されています。

黄色のハイライト | 位置: 2,929
ストウの主張は、ある一時点の組織業績や自己評価のデータに当てはまるだけではない。人は一般に、自分の観察した事実とつじつまが合うような推論を立てるのだ。そして権力に関して言えば、そうした推論は、権力者に対する「イメージ」にほぼまちがいなく影響を与え、「あの人が権力を持っているのは、それに見合うだけの能力があるからだ」と考える。この推論が、権力の持続を助けるので

黄色のハイライト | 位置: 2,936
人は周囲の環境が確実で、自分の力で動かせるという感覚を好むものだ。公正世界仮説を信じる人は、「ルールに従えば成功するが、ルールや法律を破るとひどい目に遭う」と思い込む。  だがじつは、この論理は逆方向にも働く。「人は自分の行動に見合った結果を得る」ということはつまり、「挫折や不運に遭うのは落ち度があったからだ」ということになり、いわゆる被害者叩きになりかねない。また、「成功したのはそれだけのことをしてきたからだ」ということにもなる。そうした幸運や不運の理由探しは、まったくの偶然で起こった成功や失敗についても行わ

黄色のハイライト | 位置: 2,942
認知の一貫性のもう1つの表れとして、公正世界仮説の信奉者は、「あの人が権力と富を首尾よく手に入れたのは、よい行いをし、能力も人格も優れているからだ」と考える。そしていったんそういう人だとみなすと、その人に近づき、手を貸し、ほめ称えるなど、あの手この手で権力と地位を持続させる手伝いをしようと

黄色のハイライト | 位置: 2,952
社会心理学者の故アルバート・バンデューラらが説明するように、道徳的正当化とは他人の不正行為を捉え直し、再定義する戦略であり、具体的には、①「あれは不正ではない」と考える、②「あの人は不正にそれほど関わっていない」と考える、③「それほど大きな不正ではない」と考える、④「被害者が悪い、非がある」と決めつける、の方法がある* 37。道徳的正当化のおかげで、誰かが不正なことをしても、「あの人はそんなに悪くない」「あの人のせいじゃない」などと状況を捉え直すから、その後もつきあい続けることができるの

黄色のハイライト | 位置: 2,958
3人のマーケティング研究者が説明する、矛盾を解消するもう1つの方法は、「道徳的分離化」である。自分が愛着や魅力を感じている人が不正を行ったことは認めるが、いまの状況とは関係ないとして、その人に近づいたり関わったりする自分を正当化

黄色のハイライト | 位置: 2,962
たとえば、タイガー・ウッズの不倫は彼のゴルファーとしてのスキルとは関係ない、ビル・クリントンのモニカ・ルインスキーとの情事は国家運営の手腕とは無関係だ、企業幹部のセクハラは事業戦略や経営面のスキルを反映したものではない、といった具合だ。道徳的分離化のおかげで、他人が不正をしたことを認めつつも、それと業績とは無関係だと考えるから、つきあいを続けることができる。こちらの方がより簡単で

黄色のハイライト | 位置: 2,966
道徳的分離化は、道徳的正当化に比べてより簡単で、罪悪感も薄い。道徳的正当化の場合は、反道徳的行動を容認する必要があり、「自分は道徳的な人間だ」というセルフイメージが傷つきかねない。これに対し道徳的分離化は、不正行為を批判しながら、その行為を行った人や組織を支持し続けることができる。道徳を業績から切り離すことによって、罪悪感を持たずに、不正を行った人や組織を支持できるのである* 39。  私がざっと観察したところでは、道徳的正当化も道徳的分離化もよく見られるが、どちらかといえば道徳的分離化の方が多いようだ。要するに、人は不品行だが権力のある人物とつきあうことが自分の利益になる場合、自分は道徳的な人間だというセルフイメージを保つために、あらゆる方法で状況を捉え直すので

黄色のハイライト | 位置: 2,976
だから誰かが権力や地位を手に入れると、その人との関係やその人に対する評価をガラリと変えることができるし、実際に変える。つまり、誰かが成功して権力や地位、富を手に入れると、人は、①その権力とつじつまが合い、かつ②権力者に近づきたいという自分の欲求に

黄色のハイライト | 位置: 2,980
ローラ・エッサーマンは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の乳癌外科医で、年間予算約8000万ドルのNPOを共同創設して医療改革にも取り組んでいる。彼女は私の元教え子だが、初めは授業で習ったことを受け入れたくなかったという。私は2003年末に彼女のケーススタディを執筆し、彼女はそれをたたき台にしたディスカッションを聞いてから、権力の法則を取り入れ始めた。彼女のケーススタディを書くために私がインタビューした多くの人が、エッサーマンの精力的で押しの強い性格に一目置きつつも、好き嫌いがはっきり分かれるタイプだと指摘し

黄色のハイライト | 位置: 3,018
自分で自分の物語を書けば、好印象を与える部分をスポットライトで照らし出し、好ましくない出来事を伏せることもできる。そうした物語を首尾よく広めれば、それが「公式の」人生の物語となって、権力をさらに持続させるのに

黄色のハイライト | 位置: 3,030
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黄色のハイライト | 位置: 3,047
の唯一にして最大の発明品は、ジャック・ドーシーその人」なのだ*

黄色のハイライト | 位置: 3,049
そうこうするうちに、ドーシーがでっち上げた物語が、ドーシーの現実になった。彼はいまや押しも押されもせぬ数十億ドルの資産家だ。そして現在、ツイッターの本当の起源や、ドーシーによる物語の焼き直しを気にしている人は、ごく一部の記者や研究者を除けば誰もいない。権力を持つ者は歴史を書き、それによって権力とその基盤を持続させるの

黄色のハイライト | 位置: 3,062
慈善活動は罪滅ぼしの手段になるとも考えられる。悪いことをしたという自覚がある人は、よい行いでそれを帳消しにしようとする。……ダイナマイトと弾薬を売って富を築いたノーベルは、国際的な平和賞を設立した。有名な一流基金には、悪行に関わった個人に敬意を表して設立されたものも

黄色のハイライト | 位置: 3,080
「勝つことがすべてではない。勝つことが唯一絶対である」の名言は、アメフトのグリーンベイ・パッカーズの伝説的コーチ、ビンス・ロンバルディのものとされるが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のコーチ、ヘンリー・〝レッド〟・サンダースが先に言ったという説もある* 48。誰が言ったにせよ、勝つことはとても重要だということだ。だがこの名言は、権力闘争についてはこうも解釈できる。なぜ「勝つことが唯一絶対」なのかと言えば、勝てば権力と地位、富を一手に握れるから、勝つ以外は無意味なのだ

黄色のハイライト | 位置: 3,096
私と同僚のボブ・サットンが『なぜ、わかっていても実行できないのか*1』の中で述べたように、知識は助けになるが、行動に移さない知識に価値はない。このことは権力についても言える。権力の法則の知識が役立つのは、その知識を行動に落とし込み、頻繁に実践してこそだ。知識を行動に移せば、その経験からも学べるし、行動を繰り返すうちに知識が日常の習慣になって定着する。この章では権力の法則を知識から行動に移し、権力への道を歩み続ける方法について、いくつかアドバイスをして結びとし

黄色のハイライト | 位置: 3,102
まず最初のアドバイス。権力について学び、何度も学び直そう。本書の内容はわかりやすいが、実行するのは意外と難しいの

黄色のハイライト | 位置: 3,108
パントはどういういきさつでこの本にたどり着いたのだろう? 彼はコンデナスト・パブリケーションズのIT部門にいたとき、ライバルに完全に裏をかかれて、政治闘争に敗北した。出直すために会社を辞めなくてはならないのはわかっていた。潔く敗北を認め円満退社すると決めて、いまや上司になったライバルのオフィスに行くと、本棚に私の本が並んでいるのが見えた。試しに買って読んでみたところ、自分の身に何が起こったのかをようやく理解できたという。  2度と同じ失敗を繰り返すまいと誓ったパントは、『「権力」を握る人の法則』の単行本に加えて、オーディオブック版と電子書籍版も買い求めた。なぜ同じ内容の本を3種類も買ったのか? 「あなたが読者にやらせようとしていることは『不自然』だからですよ。家庭や学校で教えられてきたこととはまるで違います。よくある、無意味なリーダーシップ研修やビジネス本の内容ともかけ離れていますしね。あの手の研修や本は、社会が『こうあるべき』という理想を示すだけで、実際に権力と成功を手に入れるための経験則やルールを教えてくれるわけじゃありません」と彼は言う。マキャベリの『君主論』や人間行動に関する社会科学研究が示す通り、また私の友人が言うように、「リーダーシップは道徳的価値の探求ではない」。リーダーシップとは何よりもまず、成果を挙げるための実践的な方法である。 「不自然」なことや常識に反することをやろうと思ったら、いつも意識して神経を研ぎ澄ませていなくてはならない。不自然なことは自然に簡単にはできないから、つねに意識的に考え、注意を払う必要がある。  パントが話してくれたことには重要なヒントが隠れて

黄色のハイライト | 位置: 3,127
権力の法則は誰でも簡単にすばやく実践できないからこそ、大きなアドバンテージになるの

黄色のハイライト | 位置: 3,131
パーソナルコーチを探そう  私は「権力への道」講座を手伝ってくれるコーチをリストにして

黄色のハイライト | 位置: 3,134
私も紹介料など一切取っていない。ただし、探すときは慎重に。あなたと気が合い、お手本になり、心地よい慰めをくれるだけでなく、2度と同じ失敗を繰り返さないよう、あなたの間違いを指摘し、しっかり考えさせてくれる人でなくてはいけ

黄色のハイライト | 位置: 3,140
私は「それで君はどうしたんだ?」と聞いてみた。彼女は会社によかれと思って辞めたが、とてもつらかったという。相談したパーソナルコーチは、マーケティング専門家のことを「女性蔑視のブタ野郎だ」、共同創業者を「裏切り者め」とののしったそうだ。 「ほかにコーチはなんと?」と聞くと、「何も」と彼女は答えた。コーチはこのトラウマ的な出来事に際して、親身になって彼女の話を聞き、慰めただけだった。  それを聞いてすぐ、「そのコーチをお払い箱にしなさい」と勧めた。なぜか? コーチが共同創業者や専門家について言ったことは紛れもない事実だが、この結果を招いたのが彼女自身だという事実を指摘していない以上、何の助けにもならないから

黄色のハイライト | 位置: 3,152
彼女は私の表情から真意を読み取ったようだった── なぜ君は自分の地位をそんなに簡単にあきらめたのか? 彼が君のために同じことをしてくれないとわかっているのに? だいいち、手塩にかけて育てた会社を追放された経緯を、なぜ直接確かめもしなかった

黄色のハイライト | 位置: 3,154
彼女は啞然として私を見つめ、「そんなの被害者叩きじゃありませんか」と私をなじった。私は「そんなつもりはないし、君がひどい目に遭ったのは間違いない」と言った。「だが君は共同創業者と渡り合えなかったし、いまのままではいつかまた食わせ者に欺かれるのは目に見えている。君がやらなくてはならないのは、自分の行動を変える方法を考えることだ」  続けて言った。「こういう状況は、残念ながら今後も起こるだろう。同情してくれるコーチなんかクビにするんだな。君に必要なのは、同じ状況が起こったときにうまく立ち回れるように、せめて地位だけでも守れるように、君を心理的、戦略的に準備させてくれるコーチ

黄色のハイライト | 位置: 3,160
このエピソードの教訓は何だろう? あなたをぬるま湯から引っ張り出し、政治闘争に勝つために あなた自身 がどんな選択と行動を取る必要があるのかをしっかり考…
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黄色のハイライト | 位置: 3,163
私が教え子たちに言うように、あなたを蹴落とす人がいるとしたら、それは身近な人だ。この例のように、あなたをおとしめる動機も機会もある人だ。シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』でシーザーを裏切るのは誰か? 「シーザーの友であり、名誉ある人物*3」のブルータスだ。そう心…
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黄色のハイライト | 位置: 3,168
私設取締役会をつくろう  有能できちんと機能する取締役会は、会社の経営陣に新しい視点や情報を提供し、結果に責任を持たせる。あなたにもそんな存在が必要だ。あなたとどんな意味でも競争関係にない、…
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黄色のハイライト | 位置: 3,170
一堂に集まる必要はないが、あなたの決めた目標に責任を持たせ、新しい情報や観点を与え、人脈を紹介し、ときにはコーチングもしてほしいと頼んでみよう。みんな喜んでやってくれるはずだ。法則2の「頼みごとをする」の節で説明…
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黄色のハイライト | 位置: 3,173
「パワー仲間」をつくり「…
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黄色のハイライト | 位置: 3,179
週に1度ランチやディナーに集まるだけで、やる気を保てる。それに「社会的促進効果」のおかげで、1人でやるより仲間と一緒に取り組んだ方がやる気が増し作業が

黄色のハイライト | 位置: 3,196
彼女たちのまねをするには、MBAやスタンフォード学生でなくてもいいし、女性やアメリカ在住である必要さえない。難しく手強いアイデアを仲間と話し合い、経験を分かち合い、助け合うのは、誰にでも効果のある方法

黄色のハイライト | 位置: 3,198
リストをつくろう  権力に関してあなたのやりたいこと、学びたいこと、知り合いたい人をリストアップしよ

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リストをつくると、目標が具体的になり、そのために必要な手段がはっきりする。とくに野心的な目標を具体化すると、達成確率が高まり成果も上がりやすいことが、長年の研究で確かめられている*

黄色のハイライト | 位置: 3,204
権力の法則が自然に実践できないという人は、ひたすら練習しよう。私の友人の元プロゴルファーいわく、ゴルフのスイングは自然な動きではないから、よいスイングを身につけ定着させるには「練習あるのみ」

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いう。体の筋肉をつけるのと同じように、練習と実践を通して「…
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黄色のハイライト | 位置: 3,207
そこまで難しいことではない。力になってくれそうな人を探し、直接頼んでみよう(法則5)。あなたがどんな人間で、なぜいまの仕事にふさわしいかを端的に伝える、強力なパーソナルブランドを築こう(法則4)。表情や身振り、言葉を通して権力を誇示する方法を理解して実践し、権力者らしい言動を身につけよう(法則3)。自分を抑えるのはやめ、周りの目を気にしすぎずに、自分の殻を抜け出そう(法則1)。ルールを破り(法則2)、権力のルールや戦略を臨機応変に…
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本書で学んだ法則や知識をいつも心にとめておこう。何度も本を読み返そう。通勤中にオーディオ版を聞こう。友人と話し合おう。権力についてさらに学ぼう。グーグルスカラー(scholar.google.com)を利用すれば、世界の研究や論文の概要が読める。たとえば、「協調性は昇進や昇給に有利なのか、不利なのか」といったことで迷ったり、経験に頼ったり、ネットで聞きかじった説を鵜呑みにしたり、ビジネスリーダーを美化する評伝を信じたりするくらいなら、自分で調べよう。真実を学ぼう。知識は力であり、いまや指先1つで呼び出せるのだ。知識を手に入れ、そして行動に移そう。  不自然で苦痛なことをしなくてはならないときは、人の助けを借りよう。重要なアイデアを心にとめ、実践し続け、そしてスタンフォード・ビジネススクールのモットーに言うように、「人生を変え、…
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友人で研究仲間のファブリツィオ・フェラーロが設計・監修する、バルセロナのIESEビジネススクールの権力に関するプログラムでも、長年講義をさせてもらった。ファブリツィオと彼の妻のローラと過ごした時間は私の宝物だ。初めて訪問したときの学長ジョーディ・カナルズと、後任のフランツ・ホイカンプが、妻のキャスリーンと私を温かく迎えてくれたことを忘れない。IESEと、イタリアのボッコーニ大学での短期の「目標達成プログラム」で教える機会を得られて感謝して

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数年前、私は「権力への道」講座にフィードバックやエグゼクティブ・コーチングを盛り込もうと思い立った。授業に協力してくれる6人のコーチが学生に提供する有益なヒントやアドバイスのおかげで、授業が質実ともに大きく改善し、楽しいものになっ

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2020年8月 27 日の午後1時、わが家の電話が鳴った。電話は歯科医院からで、キャスリーンがふらつきながら診察に来たと知らせてくれた。健康的な生活を送っていてとても若々しいキャスリーンは、体の心配をしたことがなかった。だから具合が悪いのに病院にも行かず、1人で歯科医院に行ったのだ。電話の向こうの声は、「奥さんは右半身に力が入らないから、運転して帰らない方がいい」と言っていた。このときから、悲劇へと至る長い旅が始まっ

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た病院で亡くなった。  これを書きながらも、私がどんなに悲しみ、絶望しているかは筆舌に尽くしがたい。キャスリーン・フランセス・ファウラーは私の家族で親友、最愛の人、妻だった。私の世界は彼女を中心に回っていた。本書はこれまでの多くの著書と同様、彼女に、そして彼女が与えてくれた人生の意味と、ともに過ごした長い年月の間に彼女がくれたすばらしい愛情に捧げる。キャスリーンはつねづね、私たちは前世でも来世でも一緒ね、と言っていた。そうであってほしい。なぜなら最後のダンスをまだ踊っていないからだ。彼女を永遠に愛し

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Karren (1987),“A Meta-Analytic Study of the Effects of Goal Setting on Task Performance: 1966–1984,”Organizational Behavior and Human Decision Processes, 39 (1), 52–83.

 

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【著訳者略歴】
ジェフリー・フェファー Jeffrey Pfeffer
スタンフォード大学ビジネススクール教授(トーマス・D・ディー2世記念講座)。
専門は組織行動学。資源依存理論の提唱者として知られる。
スタンフォード大学でPhDを取得後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、カリフォルニア大学バークレー校で教鞭を執り、1979年にスタンフォード大学の正教授に就任。
これまで16冊の著作を持ち、150本以上の論文を発表。
オランダのティルブルフ大学から授与された名誉博士号のほか、数多くの受賞歴がある。
スタンフォード大学で教える傍ら、ハーバード・ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクール、シンガポール経営大学、IESEなどで客員教授や講師も務める。

主な著書に『「権力」を握る人の法則』『悪いヤツほど出世する』『社員が病む職場、幸せになる職場』などがある。
カリフォルニア州ヒルズボロー在住。
www.jeffreypfeffer.com

 

櫻井祐子 Yuko Sakurai
翻訳家。
京都大学経済学部経済学科卒。
大手都市銀行在籍中にオックスフォード大学大学院で経営学修士号を取得。
訳書に『1兆ドルコーチ』『Who Gets What』『OPTION B』『選択の科学』『マイケル・ポーターの競争戦略』などがある。