2017年にニューヨーク・タイムズ紙を退職するまで米文学界のトップに君臨した書評家が、日本の名前を持つアメリカ人であることは本好きならきっとみんな知っていると思う。
ミチコ・カクタニ氏。
文芸評論においてビューリッツァー賞を受賞し、時にそのとても辛口の批評から一流作家たちから恐れられ、一般読者を含めた文学界から尊敬された、文芸評論家。
退社時には、これで文壇の一時代が終わった、とまでいわせた人物だが、タイムズ紙在任中は、公の場に姿を現すことはほとんどなかった。
私も直近で見た写真は、オバマ大統領との対談記事の際の後ろ姿くらい。
👆 ちなみに、これはすばらしい対談だったと思う。
本を読むことの大切さなど、カクタニ氏には珍しく、分かりやすい言葉を使ってオバマ大統領からポイントを引き出していた。
よければ、ぜひご一読を。
さて、そんな秘密主義なカクタニ氏の書評集が日本語で読める。
『エクス・リブリス』は、蔵書票の意味。
「卓越した作家たちの小説や回顧録、何度でも読み返したい名著、現代社会の喫緊の課題に光を当てるノンフィクション、詩集や絵本など、100冊以上の愛読書を紹介する。
アンティーク蔵書票のように丁寧に描き込まれたダナ・タナマチのイラストとともにお届けする、今なぜ読書が重要なのかを教えてくれる一冊。」
作中に差し込まれる挿画一つひとつがまた美しい。古風な蔵書票のよう。
イラストレーター、ダナ・タナマチ氏によるもの。
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内容は批評といっても、カクタニ氏が大好きな作品ばかりを扱っているので、往年の超辛口コメントは特に見当たらない。
なぜその本を自分が好きなのかを、時に自身の生い立ちにも触れながら、魅力を語り尽くした一冊といったところ。
読書感想文や書評の書き方指南書としても、とても勉強になった。
このブログでも読書や本の紹介をしているので、大いに参考にさせてもらおう。
こちらの記事で実際にどんな書評が掲載されているのかを抜き書きしました。
参考:
集英社 文芸ステーション
https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/exlibris/