またひとつ、今後のビジネスを考えるうえで勉強になるポッドキャスト番組を聴きました。

AI が 戦略コンサルティングをどう変えるか、についてです。

「AI でコンサルは終わるのか?」

という最近よく問いに、マッキンゼーのトップ、Bob Sternfels が真正面から答えています。

 
答えは意外とシンプルでした。
 

結論から言うと、マッキンゼーは “資料を作る会社” から “成果を一緒に背負う会社” に寄っていきます。

そして、その前提として AI を“労働力”として組み込む 方向へ一気に舵を切っています。
 

AIで「調べる・まとめる・作る」は安く速くなる。

だからコンサルの価値は「決める・動かす・結果を出す」に移る。
マッキンゼーは、助言業から“成果の共同責任者(インパクト・パートナー)”へ寄っていきます。
 

ここでは、HBR IdeaCast の内容をもとに「何が変わるのか」を3点に絞って整理します。

目次
1. AI は「道具」ではなく「同僚」になる
2. 料金モデルが「時間」から「成果」へ移る
3. “欲しい人材”が変わる。リベラルアーツ回帰の意味
まとめ:コンサルの未来は「実装」と「責任」へ
 AIによってまず薄くなる領域 
 人間に残る仕事は「判断」と「組織を動かす力」 
 組織変革:現場が“使う”ところまで持っていく
 ビジネスモデルが「工数」から「成果」へ 
 


1. AI は「道具」ではなく「同僚」になる

Sternfels は、マッキンゼーの進路を「人間+ AI エージェント」で語ります。

要するに、AI を“支援ツール”ではなく、業務の一部を担う“戦力”として前提化している。
これが意味するのは、コンサルの価値が「分析・情報整理・ドラフト作成」だけでは成立しにくくなる、ということです。
そこは AI が強く、価格も下がります。
 


2. 料金モデルが「時間」から「成果」へ移る

いちばん大きい変化はここです。

従来のコンサルは、極論すると「良い助言を出す」ことが仕事でした。
実行の責任はクライアント側に残り、うまくいけばクライアントの手柄、うまくいかなければ“実行できなかった”側の問題になりがちです。

しかし彼が強調するのは、今後は “成果(アウトカム)にコミットする” 方向へ移行するという点。

「共同でビジネスケースを作り、その成果を一緒に引き受ける」
——このモデルだと、もはや PowerPoint で終われません。
設計だけでなく、実装・運用・組織の動かし方まで、深く入り込む必要が出てきます。
 


3. “欲しい人材”が変わる。リベラルアーツ回帰の意味

AI が強いのは、基本的に「線形の推論(次の一手が見える問題)」です。

一方で、彼が「AI が苦手」と位置づけるのは、次の3つです。

  • Aspiration(何を目指すべきかを定める力)

  • Judgment(真偽・価値・優先順位を決める力)

  • Discontinuous creativity(非連続な跳躍、発想の飛躍)

だからこそ、「経済・工学の優等生」だけでなく、言語化・解釈・価値判断に強い背景(リベラルアーツ)を見直す、という話になります。

ここで重要なのは「学位の看板」ではなく、AI が得意な作業を前提に、人間が担うべき判断と創造性へ人材要件が寄る という点です。
 


まとめ:コンサルの未来は「実装」と「責任」へ

この回を一言でまとめるなら、こうです。

  • AI が“作業”を薄くする

  • 人間は“判断”と“組織変革”を厚くする

  • ビジネスモデルは“助言”から“成果責任”へ移る 

 

○ AIによってまず薄くなる領域 

これまで人手で積み上げてきた“作業”は代替されていきます。

たとえば、
• 市場・競合の下調べ
• 会議やインタビューの要約
• 論点整理、仮説のたたき台
• スライド初稿の作成

この領域はAIで高速化し、「作業量=価値」では価格がつきにくくなる。ここが出発点です。
つまり、「分析して提案する」だけでは差別化しにくくなり、価値は “実行して結果が出るところまで” に集まっていく。
 

○ 人間に残る仕事は「判断」と「組織を動かす力」 

AIが材料を出しても、最後の判断は人間の仕事です。

判断(Judgment):何を信じ、何を捨て、どれを選ぶか
• このデータはどこまで信用できるか(限界の見極め)
• 何を優先するか(トレードオフの決断)
• どこまで攻めるか(リスク許容の設定)

AIは候補を出せても、「責任ある決断」はできません。ここが人間の仕事の中核になります。

 

○ 組織変革:現場が“使う”ところまで持っていく

AI導入はツール導入で終わりません。

多くは組織側で詰まります。
• 部門の壁を壊してプロセスをつなぎ直す
• 権限・評価・役割(特に中間層)を再設計する
• 運用・教育・KPIを作って定着させる

要するに、「導入」ではなく、「使われて成果が出る状態」まで持っていく仕事です。

 

○ ビジネスモデルが「工数」から「成果」へ 

ここが最も大きな転換点です。

従来は「提案して終わり」になりがちでしたが、今後は、
• 目標(成果指標)を合意し
• 実装まで入り
• 結果が出るまで伴走し
• 報酬も成果に連動しやすくなる 
つまり、“言った”ではなく“できた”にお金が払われる方向です。
 

でもこれらはすなわち、コンサル業界だけだはなく、私たちの働く環境にも言えることだと思います。

 
 
AI時代に伸びるのは、次の3つということですね。

• 判断(何を選ぶか)

• 組織を動かす力(実装・定着)

• 非連続な発想(次の一手の飛躍)

「分析力」そのものではなく、分析の先にある“意思決定と変革”が価値になります。
マッキンゼーの進路は、その変化を最も早く前提化した姿に見えます。■
 


出典
Harvard Business Review IdeaCast
「Where McKinsey—and Consulting—Go From Here」
(McKinsey Global Managing Partner Bob Sternfels インタビュー)

https://hbr.org/podcast/2026/01/where-mckinsey-and-consulting-go-from-here

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