今日の学び:
創作はまずすべて形にすること、細部は後からでいい。
さて、今日は久しぶりに抜き書きから。
『新潮 2024年11月号』を読んでいたら、小川 哲さんと町屋 良平さんの対談が掲載されていた。
◆【対談】これから作家を目指すひとへ/小川 哲 町屋 良平(司会・構成 渡辺祐真)
純文学とエンタメの差異は文体や私わたくし性のみに非ず。実作者の視点から創作術を徹底解剖!
出典:https://www.shinchosha.co.jp/shincho/
おもしろかった。
実作者の視点から創作術を語っているから抽象と具体を行ったり来たりで、ひとことひとこと大事にゆっくり読まないともったいないし、読み解けない。
終盤に「新人作家の評価基準」、特に芥川賞を中心に興味深いことが述べられていた。
ポイントを抽出しておこう。
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■ 純文学の在り方を規定する大きな枠組みである芥川賞について
・芥川賞では基本的に原稿用紙100枚から200枚の中篇小説がノミネートされるから、純文学の新人作家のほとんどはそこに向けて書いていく
・この長さだと無駄なことができないから、一番凝縮された作品になる、だから、長篇を書くほうがむしろ楽
・この長さは小説としての強固な批評性が必要、うまい人でないと調整しにくい
■デビュー作について
・新人賞に向けて書いている時期が一番集中しやすくなっていて、デビューしたあとに環境がガラッと変わりやすくなることも
・SNSなどによって市場や編集者、批評家が評価する作品が即時に分かるので、それに無意識に応えようとしてしまう、これはほとんど無意識で、書き手にはどうしようもない
・市場や他者の声を気にせず、自分の中に深く潜った思考を出しているから、一作目にはパワーが宿りやすい。でもデビューすると、外の声に引っ張られて、ぶれやすくなる。
■評価について
・高橋源一郎さんが、文芸誌の新人賞をフィギュアスケートに喩えた面白い例があった。4回転を跳ぼうとして2回転になっちゃったような小説と、3回転を跳ぼうとしてちゃんと3回転を跳べた小説があったら、新人賞で評価するのは前者のほう。
・このひとは4回転を跳ぼうとしたんだ、って痕跡を読み取ること。その可能性を評価する
・作家が欲している新しさとはそういった挑戦の失敗しかない
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やはり行動すること、まず書くこと、そして一作一作挑戦を続けること。
これに尽きる。
最近、Andrew Huberman(スタンフォード大学医学部の神経生物学と眼科の准教授)による人気ポッドキャスト Huberman Lab に、Rick Rubin がゲストに来た回のやりとりを思い出した。
Rick Rubinとはアメリカの音楽業界では知らない人はいないグールーというか、クリエィティブ業界の導師みたいな存在で(見た目も仙人っぽい)、様々な顔を持つ音楽プロデューサーだ。
レコードレーベル経営者で、アメリカン・レコーディングス (American Recordings)、デフ・ジャム・レコードの創始者でもあり、後年はコロムビア・レコードの共同社長を務めた。
ビースティ・ボーイズやRun-D.M.C.をプロデュースし、ヒップホップをメジャー・シーンに押し上げた人でもある。
現在までに手掛けたアーティストは数多く、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、スレイヤー、メタリカ、システム・オブ・ア・ダウンといったロックバンドから、ジョニー・キャッシュやアデルなどのシンガーソングライターまで、幅広く活躍している。
2007年には、タイム誌の選ぶ世界で最も影響力のある100人に選ばれている。
その知性溢れるゆったりとした話し方が人気の、自身のポッドキャスト番組「テトラグラマトン」もとても興味深い。
私もよく聞いている。
https://www.tetragrammaton.com/
(☝ このサイトがこれまたオシャレ。音楽のことだけでなく、クリエィティブ全般で本当にいろいろと勉強になる人)
Huberman とのやりとりは、下記YouTubeも見て頂きたいが、大事なことは一つ。
なにかクリエィティブなことをしている際は、執筆であれ制作であれ、まずはとにかくすべてを書き出して、ドラフトを完成させよ、細かいことは後で気にすればいいんだ、と。
大事なのは、「Get the whole thing down. 」であると。
とにかく自分と向き合い、ぶれずに、書く。
これしかない。