ウクライナ情勢について少し触れてみたいと思います。

 

BBCの名物ニュース番組『Hard Talk』のポッドキャストを聞いていましたら、ゲストに『ペンギンの憂鬱』などで知られるウクライナの作家、アンドレイ・クルコフ氏が登場していました。

インタビュー中、作家視点で現在のウクライナの惨状について様々な質問に答えていましたが、特に印象に残ったのがロシアとウクライナの関係について述べていたところです。
 
今回のウクライナ侵攻は、「ロシア側がウクライナを自分達の妹であるかのように勘違いしているところが問題の始まりだ。歴史的に見れば本当はその逆で、ウクライナはロシアの母である」とのことでした。

さて、そんなクルコフの代表作として知られる『ペンギンの憂鬱』ですが、ALL REVIEWSをチェックしてみますと、豊崎 由美さんによる書評が掲載されていました。
 
この作品ではソ連崩壊後の新生国家だったウクライナで、主人公の売れない作家ヴィクトルが次々と不思議な事象に巻き込まれていきます。
 
豊崎さんは「どんどんドツボにはまっていくヴィクトルのありさま」は作品の舞台キーウという都市を寓意的に示している、と指摘されています。
 
今このタイミングで再読するとどういう感覚を覚えるのかとても気になりました。
 
クルコフ氏は英Guardian紙による最近のインタビューで、自身がロシア生まれであることに関連し、この先ロシアに戻ることはあるだろうかと問われると「ロシアを訪れる気はない。彼らの文化や歴史に興味はない」とまで言っていました。
 
戦争が引き起こす心の分断に胸が痛みます。
Photo by Danielle Barnes