最近読んだインタビューが、すごく良かったのでおすそ分けします。
英・The Guardian に載っていた、臨床心理士で小説家でもある Frank Tallis の話です。
言いたいことは、わりとシンプル。
曰く。
中年以降は「若さの延長戦」では勝てない
40 代以降って、人生の折り返しというより「蝶番(ヒンジ)」みたいな時期だと思います。
仕事や家庭の目標が見えていた前半と違い、後半は「何を目指せばいいのか」が急に曖昧になる。
そこへ、親の老い、自分の体の変化、病気、そして“死”の匂いが混ざってきます。
だからこそ彼は言います。
“Adjustments must be made(調整が必要だ)”
ここが大事で、調整とは「妥協」ではない。
現実に合わせて、人生の設計図を更新すること としています。
なるほど。
老いの受容は、敗北ではなく「発達の第一歩」
私たちは、老いを「負け」や「終わり」みたいに扱いがちです。
でも、受容は敗北じゃない。
むしろ、そこから初めて健全に前へ進める、と彼は言います。
若さにしがみつくほど、現実とのズレが大きくなる。
ズレたまま走ると、苦しくなるのは当然です。
後半生の課題は「自分をつなぎ直す」こと
彼の核心はここです。
人生後半の仕事は、外の自分(役割・行動)と、内の自分(無意識・感情・直観)を結び直し、より“統合された自分”になること。
Carl Jung(カール・ユング)の「個性化(individuation)」にも触れつつ、放置してきた“内側”──感じ方、直観、興味、欲求──を取り戻すこと
が、回復と強さにつながる、のだと。
そのために必要なのは「何かを足す」より「余白を取り戻す」こと
この記事で刺さったのは、スマホの話です。
昔は「何もしない時間」が日常にあった。
その時間に、無意識が勝手に重要なことを浮かび上がらせてくれる。
でも今は、30 秒 空けばスマホ。
処理すべき感情が日中に処理されず、夜に回り込んで睡眠やメンタルを削る、と。
これは、私たちが思う以上に本質的だと思います。
忙しさの問題というより、“自分の人生を感じる時間”が消えている 問題ですよね。
AIは便利。でも「無意識の代替」ではない
彼は、AI(チャットボット)に心の仕事を外注する誘惑にも釘を刺します。
OpenAI の ChatGPT のような存在は確かに便利ですが、AI の処理は確率計算で、人間の“腹落ち”や“直観”とは別物。
AI と自分の無意識を混同するな、と。
じゃあ、何をすればいいのか(私の持ち帰り)
彼は「トップ10のコツ」みたいな万能術を嫌います。
人によって効くものは違うから。
それでも、方向性としてはこう。
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現実に合わせて調整する(体力・時間・役割の変化を前提にする)
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余白を確保する(スマホで埋めない“無為の時間”を取り戻す)
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無意識のサインに注意する(夢、ぼんやり、言い過ぎた一言、偶然の失敗)
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新しいことを少し試す(硬直をゆるめる)
派手な自己啓発とは逆で、地味です。
でも地味だから効く。
そういう種類の話でした。
もし今、「なんか落ち着かない」「前みたいに頑張れない」「この先どうするんだろう」という違和感があるなら、
それは欠陥ではなく、人生後半への移行サイン なのかもしれません。
調整が必要です。
そして、調整は悪いことじゃない。
むしろ、ここから面白くなる。■