昨日書いた Tim のケーススタディに書かれていたおもしろエピソードを紹介したいと思います。

いずれも「Tim Ferriss」を象徴する、いかにもな、ナイスエピソードだと思います。

 


① 深夜の通販番組が「貧乏人のMBA」だった

Tim は幼い頃から不眠症で、深夜に延々と インフォマーシャル(通販番組) を見続けていたそう。

これが後の彼の人生を決定づけます。

「最後に頭に入るメッセージはいつも、
『お金があれば人生の問題は解決できる』 だった」

彼は Tony Robbins (アメリカの著名な自己啓発書作家、コーチ、起業家、講演者)などのトークを分析し、

・販売スクリプト

・アップセルの仕組み(顧客が購入したその商品と同種で「より上位のもの」を提案し購入してもらうこと)

・マーケティングの型

などを自分で電話をかけてまで徹底的に観察した。

Tim はこれを 「貧乏人のPhD(博士号)」 と呼んでいます。(笑)

これは「成功者をひたすら模倣する」という初期哲学であり、後に Ferriss 自身が有名にした「4時間労働制」へつながる 「最初の学び」 となりました。

 


② プリンストン大学で作った「How I Beat the Ivy League」―売れたのは2本(うち1つは母親)

これはケース内で非常に印象的に紹介されている “early entrepreneurial failure”。

大学入学前に Tim が作ったのは、受験必勝法を語る オーディオブック。

彼は savings(貯金)をすべて使って、

・500本のカセットを制作 

・クレジットカード決済を用意 

・新聞広告を掲載

したが…

「売れたのは2本だけ。うち1本は母がこっそり買った」

20年間、その売れ残りのテープを捨てずに保管したといいます。

このように自分の「恥ずかしい失敗」を公表しているのですが、この話は、

「最初のプロダクトは失敗する。けれど学びは残る」

という Tim の原点を象徴しているようにも思えます。

 


③ Princeton 時代:自殺寸前まで追い込まれた挫折

Tim は大学3年時、卒論のプレッシャーで完全に行き詰まったのだそう

・遠隔勤務で孤独になり

・卒業できるか不安で潰れ

・家族の犠牲への罪悪感を抱き

・「すべてを台無しにした」 と自責 

そして彼は、あるブログ記事にこう記しています。

「自殺を回避できたのは、いくつかの偶然が重なっただけだ」

彼はこの経験を書いた記事に “How to commit suicide” という URL をあえて付けました。

自殺方法を検索している人が記事に辿り着き、「検索行動を止めるきっかけ」 にするためでした。

深い闇を経験したからこそ、後の「ライフハック」「人生最適化」というテーマに、Tim ならではの切迫感と救いの哲学が宿ることになりました。

 


④ 絶望の底から中国武術で優勝 — 「痛みを力に変える」

どん底にいた Tim は、

自分でコントロールできるものは何か?

と自問し、肉体に賭け始めます。

「強制力のある “締切” が欲しかった」

そして彼は中国武術 Sanshou の練習に没頭し、数か月後には 全米選手権で優勝 します。

心理的な奈落から一転、「身体を極限まで追い込むことで自己効力感を回復した」という、彼の精神的な転換点であります。

ポッドキャストの番組の中でも、よくストイシズムについても語るのですが、このコントロールできるものをコントロールするという概念は、まさにストア派哲学の実践そのものです。

 


⑤ 時給8ドルから「時給500ドル」の衝撃—スピードリーディング講座

Princeton の教会で開いたセミナー。

なんと 30人 × 50ドル=1500ドル を3時間で売り上げました。

「図書館の時給8ドルから、時給500ドルになった。頭がぶっ飛んだ」

彼はお金をジャケットに詰め込み、そのまま銀行へ向かったという。

これは Tim にとって、「スケールする価値の作り方」を初めて理解した瞬間であり、後の 「デジタルプロダクト化」 の思想 の形成へとつながったエピソードでした。

 


⑥ 80/20 の大発見 ―「人生を変えた旅」

2004年、Ferriss は 片道ロンドン行きの航空券 を買い、世界を回り始めます。

最初は2〜4週間の旅行のつもりが、気づけば 18か月の旅 へ。

旅行中、彼は

・売上の80%が20%の顧客から

・自分の成果の多くがごく少数の活動から

生まれていることに気付きます。

「雑務を捨てたら、働く時間を大幅に減らしながら収入を40%増やせた」

さらに彼はアルゼンチンで、タンゴ6ヶ月で世界大会準決勝 → 世界記録樹立、という離れ業を成し遂げています。
(1分間37回転のスピンでギネス記録)

これは、「学び方そのものを学ぶ」メタラーニングの象徴的成果として語り継がれています。

 


まとめ:Tim の人生から学べること

Tim Ferriss の人生は、華やかな成功よりも、失敗・挫折・孤独から何をつかんだか、に本質があるように感じます。

彼が見出したのは、「自分の力を取り戻すための最小単位の行動」 でした。

Tim の創作や仕事との向き合い方、姿勢に私もいつも励まされています。

こうやって note や Substack を続けることもまた、自分を取り戻すための小さな実験なのだと感じるようになっています。

よければ Tim のポッドキャスト番組もチェックしてみてください。■ 

 

参考元:

https://tim.blog/podcast/