年末年始にかけて、目標達成や習慣形成に関するさまざまな記事や文献を読み込みながら、「人はどうすれば望む方向へ進めるのか」ということをずっと考えていました。

そのなかで、だんだん見えてきたことがあります。

それは、目標は“根性”だけで到達するものではないということです。

むしろ大切なのは、

・小さな行動を

・日常の流れの中に

・「習慣」として設計してしまうこと

考えないで取り組める、習慣にしてしまう。

(例: 食後の歯磨きを毎回するかどうか悩むことがないのと同じように)

つまり、目標を達成する力とは「意志力」ではなく、「設計力」なのではないか。

そして、この考え方はどうやら「読書」という営みとも深く関係していそうです。

そう感じていたときに出会ったのが、ブッカー賞公式サイトの記事でした。

From routine to ritual: How to create good reading habits this year

この記事は、「なぜ人は読書習慣を続けられないのか」という問いに対し、根性論ではなく、“設計としての読書”という視点を与えてくれるものでした。

私たちはつい、「読書=努力」「読書=目標」と考えてしまいがちです。

けれど、本当に大切なのは――読書を“ritual(儀式)”として、生活の中に静かに根づかせていくことなのかもしれません。

この中でブッカー賞の審査員や作家たちは、

どうすれば読書を無理なく続けられるのか

を、とても静かで実践的な言葉で語っています。

それは派手な成功談でも、強い意志の物語でもありません。

むしろ、

・少しのすき間時間を大切にすること

・読む時間をあらかじめ決めておくこと

・紙でも電子でもオーディオでもいいこと

・ときには友人と語り合うこと

そうした小さな工夫の積み重ねによって、

routine(ただの習慣)だったものが少しずつ ritual(心を整える時間)へと変わっていく。

この記事は、そんな読書の姿を静かに教えてくれます。

ブッカー賞の審査員や受賞作家たちは、それぞれの読書習慣を実体験としてどのように語っているのでしょうか、みていきましょう。

そもそもブッカー賞とは?

ブッカー賞(The Booker Prize)は、英語で書かれた長編小説を対象とする、世界有数の文学賞です。

毎年、その年を代表する一冊が選ばれ、受賞作家は一気に国際的な評価を高めます。

これまでの受賞者には、

カズオ・イシグロ、サルマン・ラシュディ、マーガレット・アトウッドなど、

現代文学を語るうえで欠かせない作家たちが名を連ねています。

単なる賞ではなく、「今、読むべき物語は何か」を世界に問いかけ続けてきた存在と言えます。

そのブッカー賞の公式サイトでは、作品紹介だけでなく、読書そのものの喜びや意味についての発信も行われています。

今回私が出会った「From routine to ritual」という記事も、その一つです。

読書を続けるための、実際の工夫

すき間時間で読む 

Ayọ̀bámi Adébáyọ̀ (2025年ブッカー賞選考委員)

→ 本や電子書籍を常に持ち歩き、短いすき間時間で少しずつ読む

それだけで驚くほど多くの本が読める、と語っています。

Sarah Jessica Parker(俳優・2025年ブッカー賞選考委員)

大人気ドラマSATC の俳優、サラさんは2025年の選考委員の一人でもありました。

→ 予定と予定の合間、移動時間などで必ず本を開く

そのため、本は常に携帯しているそうです。

彼女の活躍についてはこちらにまとめています。

複数の本を同時に読む

Kiley Reid(2023年ブッカー賞ロングリスト作家)

→ 何冊か並行して読み、自分の気持ちが最も動く本を確かめる

ジャンルを自由に楽しむ 

Martin MacInnes(2023年ブッカー賞ロングリスト作家)

→ SFも文学性の高いジャンルであり得る と語り、

好きなジャンルで読むことの価値を強調しています。

読書を「時間設計」に組み込む 

Nitin Sawhney(2024年ブッカー賞選考委員)

→ 読む時間帯をできるだけ固定する

Susan Choi(2025年ブッカー賞ショートリスト作家)

→ 読書時間を予定表に入れる(例:午後3〜5時)

読むことを共有する 

Sarah Bernstein(2023年ブッカー賞ショートリスト作家)

→ 『The Bee Sting』を読み、友人たちと長時間感想を語り合い、音声メッセージまで送り合った

形式にとらわれない 

Jenny Erpenbeck(2024年・ブッカー国際賞受賞作家)

→ 朝・食事・移動・夜など様々な時間帯に読み、運転中はオーディオブックを聴く

Sarah Timmer Harvey(2024年ブッカー賞ロングリスト作家)

→ 紙とオーディオブックを交互に利用する

朝の15〜20分を読書に 

Yiyun Li(2024年ブッカー賞審査員)

→ 朝の短い時間でも読書を続ければ、大作でも読み切れる

状況に応じて本の形式を選ぶ

Annie McDermott(2024年ブッカー賞ロングリスト作家)

→ 子どもが生まれてからグラフィックノベルを読むことが増えた

共通しているのは「読書=設計」という発想 

この記事全体を通して強く感じたのは、

読書は“頑張る対象”というより、

生活の中に静かに組み込んでいく“設計”から始まる

ということでした。

・まずは5〜10分から

・本はできるだけ持ち歩く

・読む時間を予定として守る

・形式は自由(紙・電子・オーディオ)

・人と語り合うのもよい

・まだ知らないジャンルにも触れてみる

こうして無理のない形で続けていくうちに、

読書は routine(ただの習慣)から、

ritual(心を整える儀式的な時間)

に近いものへと育っていく。

私はそれを、目標達成の原理とも重なるものとして受け取りました。

目標は、意志で掲げ、

設計で近づき、

習慣として定着していく。

読書もまた、設計から始まり、習慣となり、やがては一日の中で心を静かに整える時間となる。

この積み重ねが、ものの見え方や感じ方を、少しずつ柔らかく整えてくれるんだと思いました。

 

ここまで読んでいただいた皆さま、

今年も一年、気張らず、どうぞ楽しい読書体験を!▪️


■今回の記事に登場した人物一覧 
• Ayọ̀bámi Adébáyọ̀
• Sarah Jessica Parker
• Kiley Reid
• Martin MacInnes
• Nitin Sawhney
• Susan Choi
• Sarah Bernstein
• Jenny Erpenbeck
• Sarah Timmer Harvey
• Yiyun Li
• Annie McDermott


参考元: 
From routine to ritual: How to create good reading habits this year

https://thebookerprizes.com/the-booker-library/features/how-to-create-good-reading-habits-this-year?utm_source=linkedin&utm_medium=social&utm_content=ap_fnpabsgxcs