『ミッドナイト・ライブラリー』は世界中で1000万部以上売れました。 その作者マット・ヘイグは、David Perell のポッドキャスト番組『How I Write』で、意外なことを言っています。

市場を見て「売れる本」を書こうとすると、むしろ売れなくなる

なぜか。 いま書店に並んでいる本は、いま生まれたものではないからです。

数年前に企画され、書かれ、出版社に買われ、編集されたものが、ようやく店頭に並んでいる。 つまり、書店で「いま何が売れているか」を研究しても、見ているのは過去なのです。

では、何を基準に書けばいいのか。

作家 マット・ヘイグの答えは単純です。

自分が読みたい本を書く。

ただし、これは「読者など気にするな」という話ではありません。

ヘイグははっきり言います。

“I write to be read.”
自分は読まれるために書いている 

面白いのは、その次です。 読者に合わせるのではない。

自分の中にあるものを、読者に理解してもらうために書く。 だから彼は、作家が陥る罠は二つあると言います。 一つは、売れようとしすぎること。

もう一つは、「立派な文学作家」に見られようとしすぎること。

前者では市場の顔色を見る。後者では批評家の顔色を見る。 どちらも結局、他人に自分の文章を決めてもらっている。

ヘイグ自身、初期には「文学的な作家」として見られることを意識しすぎていたと振り返っています。転機になったのは、出版社から契約を切られた後に書いた『The Humans』でした。 「どうせ誰も読まないのなら、自分のために書こう」 そう思って書いた、ジャンル分けの難しい奇妙な小説が、それまでで最も成功した作品になった。 もちろん、「自分らしく書けば必ず売れる」という話ではありません。

ヘイグ自身、『ミッドナイト・ライブラリー』は20冊目の本でした。20冊目…。

重要なのは、市場に合わせることと、読者に届くように書くことは違うということ。ヘイグは、良いコンセプトは一文で言えるほど単純であるべきだといいます。 『ミッドナイト・ライブラリー』なら、もし、選ばなかった別の人生を試せる図書館があったら?

扱っているのは後悔、死、幸福、人生の選択です。 テーマは重い。でも入口は明快。

文章でも彼は、home、sky、love のような短く、誰でも知っている言葉を好むと言います。

わかりやすくすることは、作品を薄くすることではない。

むしろ難しいものを、読者が入れる形にする技術です。

だから「文学か、売れる本か」という二択は、あまり意味がない。 もっと重要な問いがあります。

 

これは、本当に自分が読みたい本なのか。

そして、それを読者に届く形で書けているか。

 

読まれたい。

でも、市場には合わせない。

 

マット・ヘイグの1000万部は、一見矛盾しているようで、その二つが両立することを示しているのだと思いました。◾️ 

 

出典

David Perell, How I Write, “Matt Haig: How to Write a Book Millions of People Read,” August 27, 2026. Matt Haig: How to Write a Book Millions of People Read From the author of The Midnight Library howiwrite.substack.com


Originally published on note on 2026-09-23 07:37:58 JST.