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Pieter de Hooch’s A Man Smoking and a Woman Drinking in a Courtyard (around 1658-60) before the restoration work. Courtesy of the Mauritshuis
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Pieter de Hooch’s A Man Smoking and a Woman Drinking in a Courtyard (around 1658-60) after the restoration

オランダの美術館にある17世紀の絵画に、消されていた「兵士」の姿が復元されました。

上の前後の写真を見比べてください。

もともとこの絵は、男と女性が中庭で静かに一杯飲んでいる「のどかな風景」だと思われていました。

しかし、二人の間に「消された兵士」を描き戻すと、物語は一変します。女性が持つグラスは、失敗すると飲み続けなければならない「罰ゲーム用のグラス」だったのです。「pass-glass」と呼ばれるものです。

兵士が戻ったことで、この絵は「静かな休憩」ではなく「男たちが女性に仕掛ける酒席の駆け引き」を描いたものだと分かりました。

静かな中庭の一杯から、だいぶ変わりますね。。

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https://allaboutglass.cmog.org/definition/passglas

では、なぜ修復家は消されていた兵士を「今」戻したのでしょうか。実はここが、一番面白いポイントです。

修復と聞くと、傷んだ絵を「元の姿に戻す」ことだと思いがちです。

しかし、「元」とはいつのことでしょう?
画家が描き上げた瞬間なのか。
誰かが兵士を消した歴史も含めて「元」なのか。
 

修復家たちは悩んだ末、別の美術館にある似た絵を参考にしつつも、完全に元通りには描かず、あえて少し抑えたトーンで兵士を復元しました。今の絵の「色あせ具合」になじませるためです。

さらに、今回描き足した兵士は「将来、簡単に消せる特殊な絵の具」で書かれています。未来の修復家が「やっぱり兵士は消すべきだ」と考え直したとき、いつでもやり直せるようにするためです。

保存修復では、鉄則として、必ずリバーシブルな方法、材料を使うことになっています。今よりもさらに進んだ技術が何百年後かに生まれたら、そちらを使って治療した方がよいからです。

つまり今施された処理が剥がせる必要があるということですね。

修復とは、単に過去を再現する作業ではありません。残されたヒントから「現代を生きる人に、未来の人に、過去のどの瞬間を見せるか」を考え、責任を持って決める仕事でもあります。◾️

 

参考情報

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