カバー画像:ヨハネス・フェルメール《手紙を書く女》(1665年頃、ワシントン・ナショナル・ギャラリー)(CC0/Wikimedia Commons)

書くことが好きです。
もちろん文章ができあがることも好きですが、書いている時間そのものが好きです。面倒くさいと思う時もあるけど、書くこと自体が結構神聖化されてる感じが自分の中にあります。

ストイシズムのローマ皇帝、マーカス・アウレリアスも、吉田兼好も、書くことによって考えを整理して深めたというより、書くことこそ考えること、と認識していたのだと私は思っています。

だから何を書くかと同じくらい、私は何で書くかも大事にしています。

これまでいろいろな筆記具を試してきました。
ペリカン、パーカー、パイロット、プラチナ万年筆、モンブラン。ボールペンもあれば万年筆もあり、ジェットストリームも使います。それぞれに良さがあって、それぞれ使っていて楽しい。偉大な作家たちが何を使ってたのかも結構調べたり。

多筆で知られた、故・伊集院静さんはジェットストリームを愛用されていた。手に負担がかからないものを選んでいたそう。

【追悼】伊集院 静 さんの愛した文房具

私も、いろいろ試しているうちに、「良いペンとは何か」ではなく、「自分にとって」良いペンとは何かが見えてきました。今日はのその辺りを少し書きます。

まず、インクの滑らかさです。
紙の上をペン先がどう動くか。インクがどう流れるか。真っ白な紙に言葉がどれくらい自然に出てくるか。
紙とペンのあいだには、当然、摩擦があります。でも不思議なのは、その物理的な摩擦が、思考の自由さにも関係しているように感じることです。ペンが引っかかると、少し考えも止まる。逆に、ほとんど意識せずにペン先が動いていると、言葉もそのまま出てくることがあります。

二つ目は、外側のデザインです。
これはブランドなのか。形なのか。重さなのか。手に持ったときの感触なのか。
よくわかりません。
ただ、手にしたときに少し気分が上がる道具があります。机の上に置いてあるだけで、使いたくなるものもある。書きあげることが目的なら、そんなにこだわらなくてもいいのかもしれません。でも、書くという行為そのものを楽しむなら、その小さな高揚感も無視できない。

そして三つ目が、最近とくに考えるようになった持続可能性です。
インクや替芯に、いくら払い続けられるのか。
どんなに気に入ったペンでも、一本の替芯に毎回かなりのお金がかかるなら、日常の道具として使い続けるのは難しい。高価なペンを持っていることと、それを惜しまず毎日使えることは、別の話です。
もしペンの外側が思考を運ぶvehicle――乗り物だとすれば、インクはその中を走らせるガソリンのようなもの。乗り物だけ立派でも、燃料代を気にして走らせなくなるなら、少し違う。

まとめ

今のところ私が筆記具に求めているのは、この三つ。 
滑らかに書けること。
持ちたくなること。
そして、惜しまず使い続けられること。

筆記具は大好きなのでまた触れていきたい。◾️

The Caipirinha Papers

原文に掲載の画像:The Caipirinha Papers


初出:note、2026年10月19日。Fabio Caipirinha の恒久アーカイブとして収録(本サイト掲載:2026年11月4日)。原文:https://note.com/proper_clam757/n/n4ba2b27588c5

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