昨日は習慣が、Ritual (儀式)につながっていく。
そんなことをこちらに書きました。
もう少しこの Ritual(儀式)を掘り下げてみたいと思いました。
タイミングよく、ちょうどこんな記事を読みました。
“Why your brain needs everyday rituals”
日々のリチュアル(儀式)が、なぜ私たちの脳にとって重要なのかを、神経科学の視点から解説したものです。
儀式とか、リチュアルと聞くと、宗教的な儀式や、古くからの伝統行事を思い浮かべる人も多いかもしれません。
けれどこの記事が扱っているのは、もっと身近なものです。
たとえば──
朝のコーヒーを淹れる手順。
仕事前に机を整える動作。
会議の前に、深呼吸を一つすること。
こうした「意味を伴った、繰り返される行為」こそが、リチュアルだと著者は言います。
わかりやすいですね。
細かくみていきましょう。
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混乱した状況で、脳は「型」を欲する
記事の冒頭で語られるのは、著者自身の体験です。
仕事が非常に混乱していた時期、彼女は毎朝、まったく同じ方法でコーヒーを淹れるようになりました。
同じマグカップ。
同じ時間。
抽出中の、2分間の沈黙。
それは意識的に始めた習慣ではありませんでした。
ただ、考える余裕がなかっただけ。
ところが、その2分間が、
一日の中で最も落ち着いた時間になっていた。
後に神経科学を学び、彼女はその理由を理解します。
不確実性が高い状況では、脳は「予測可能な構造」を強く求める。
リチュアルは、その最小単位の構造を与えてくれるのだ、と。
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リチュアルが脳に与える3つの効果
この記事が優れているのは、感覚的な話に終わらず、
リチュアルの効果を明確に整理している点です。
① 落ち着き(Calm)
繰り返される決まった動作は、脳の「脅威検知システム」を鎮めます。
不安や緊張が下がり、「何をすればいいかわからない」状態から抜け出しやすくなる。
② 明晰さ(Clarity)
手順が決まっていることで、次に何をするかを考える負荷が減ります。
ストレス下でも、判断や作業が扱いやすくなる。
③ つながり(Connection)
人は周りの人間と動きや言葉を同期させると、信頼や結束を高める化学物質が分泌される。
円陣、式典、拍手──
共有されたリチュアルが「私たち」という感覚を生む。
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リチュアルは、文化であり、設計できるものでもある
卒業式や結婚式が特別なのは、単なるイベントだからではありません。
それらは、アイデンティティの移行を支える装置です。
つまり、
「学生」から「卒業生」へ。
「個人」から「家族」へ。
リチュアルは、人生の変化を脳と身体に納得させる役割を果たすとされます。
そして、この記事で最も希望を感じるのはここです。
リチュアルは、
受け継ぐだけのものではない。
自分で設計していい。
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自分のためのリチュアルをつくる
自分のためのリチュアルを作りましょう。
方法は、とてもシンプルです。
まず、一日の中で調子を崩しやすい瞬間に目を向けます。
集中が切れるとき、気持ちがざわつくとき、不安が入り込むタイミング。
多くの場合、それは「何かから何かへ移る切り替え点」です。
次に、その一点に、毎回同じ小さな行為を置いてみます。
特別な準備は必要ありません。
コーヒーを淹れる、机を整える、深呼吸を三回する。
「これをしたら次へ進む」という合図を、自分に与えるだけ。
最後に、その行為が本当に役に立っているかを振り返ります。
落ち着いたか。
頭が少し整理されたか。
もし違和感があれば、やり方を変えてもいい。
大切なのは、
立派な儀式をつくろうとしないこと。
ほんの小さくて、意味があって、無理なく続けられること。
それだけで、リチュアルは十分に機能すると結ばれています。
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おわりに
私たちは、すでに多くのリチュアルに囲まれて生きています。
ただ、それを「無意識」に任せているか、
「意識的に使っているか」の違いは大きい。
不確実な時代だからこそ、
自分を取り戻すための、ほんの小さな型を持つ。
この記事は、そのことを静かに、しかし確かに教えてくれました。▪️
参考元:
Why your brain needs everyday rituals – Big Think
https://bigthink.com/smart-skills/why-your-brain-needs-everyday-rituals/#:~:text=Rituals%20%E2%80%94%20repeated%2C%20meaningful%20routines%20%E2%80%94,resilience%2C%20clarity%2C%20and%20connection.