Rick Rubin(リック・ルービン)という音楽プロデューサーがいます。

私の HP でもこれまで触れてきました。

彼の活躍は音楽にとどまらず、最近は「人生のグル」みたいな位置付けです。

見た目もだいぶ仙人然としてきました。

赤いサングラス。(笑) パンク仙人。

 

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https://www.musicradar.com/news/rick-rubin-mystery-producer 

ゆったりとした語り口が好きで、彼のポッドキャスト『Tetragrammaton』もよく聴いています。

番組については、note でも以前書いたことがあります。

彼の本も素晴らしいです。創作者はぜひご一読ください。

 

そんな Rick の番組に、ある作家がゲストとして来ていました。

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/joseph-nguyen/id1671669052?i=1000745107423

Joseph Nguyen(ジョセフ・グエン)。

セルフ出版から出発し、SNS と Amazon を使って読者を増やし、ついには世界中に翻訳されるところまで行った人です。

 

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https://www.barnesandnoble.com/blog/joseph-nguyen-guest-post/

この対談が良かったのは、精神論ではなく、出版のリアルが“順番”として語られていたから。

「どう書くか」だけでなく、「どう売るか」、そして「どうベストセラーまで運ぶか」(=流通・翻訳・世界展開)まで、全部つながっていました。

 

 

目 次
1) どう書いたか:タイトルは最後。章は“問い”。編集は最小。
 タイトルは最後に“降ってくる”
 章は「答え」ではなく「問い」でできている
 編集は最小。“文才”より“温度”
2) どう売ったか:Amazon→TikTok→Amazon広告。導線の順番がある。
 ① Amazonで「買える状態」を作る(在庫を持たない)
 ② TikTokで、ほぼ「本を読むだけ」
 ③ Amazon 広告:キーワード+“他人の本に出す”
3) どうベストセラー化したか:「広げ方」の順番
 影響者(本インフルエンサー)に当たりに行く
 TikTok Shop/Shopifyで「その場で買える」を作る
 出版社の価値は「マーケ」ではなく「配本(書店流通)」目的で
 翻訳は“向こうから来ない”。だから自分から取りに行った。
4) noteに転用するなら:この対談から持ち帰る「実装チェックリスト」
 おわりに:導線をどうつなぐか 

 


1) どう書いたか:タイトルは最後。章は“問い”。編集は最小。

タイトルは最後に“降ってくる”

書き始めた時点では「本になる」とすら思っていなかっそう。本人の感覚では執筆は、“受信(transmission)”に近いといいます。

Joseph は最初にタイトルを決めませんでした。
最初に浮かんだものは全部ボツに。
そして散歩中かシャワー中だったかに、突然降ってきたのが、

Don’t Believe Everything You Think
(考えたこと全部を信じるな)

挑発的なのに攻撃じゃない。
耳が痛いのに、なぜか開きたくなる。
タイトルは入口であり、入口が勝つと中身が読まれる。

章は「答え」ではなく「問い」でできている

Joseph は「書くときに、答えを持っていない」と言います。
持っているのは質問だけ。

  • 苦しみの根は何か

  • なぜ考えすぎるのか

  • 思考を手放したら、何を聞くのか

結果として、章が“問い”そのものになった。
これはnoteでも強い型だと思います。
読者は説教より、「一緒に考える入口」に引き寄せられますよね。

編集は最小。“文才”より“温度”

彼は編集が好きではないと言いきります。
編集は必要なときだけ最小限。
文章の巧さより、言葉の“温度”を守るためです。

ここが大事で、整えすぎると初速が死ぬ。
短い文章ほど、編集で無味になる。
noteでも「上手い文章」より「生きてる文章」が読まれてます。


2) どう売ったか:Amazon→TikTok→Amazon広告。導線の順番がある。

ベストセラーは“奇跡”じゃなく、導線だというのが Joseph の主張です。
彼がやったのは、乱暴に言えばこの 3 ステップでした。

① Amazonで「買える状態」を作る(在庫を持たない)

最初は Amazon のみ。セルフ出版でオンデマンド印刷。
注文が入ったら印刷され、発送される。著者は在庫も倉庫も抱えない。出版が「大勝負」ではなく「テスト」になる。ここが現代ぽい。

② TikTokで、ほぼ「本を読むだけ」

次に見つけた“勝ち筋”が、拍子抜けするほどシンプル。
TikTok で朗読。スマホを置いて、30秒〜1分、本をそのまま読み上げて、TikTok に投稿。高い制作も演出もいらない。これを1日3回。
要約ではなく本文を。
「本を売るために、本を読ませる」。
逆に見えるけど、いちばん正しかったと振り返っています。

③ Amazon 広告:キーワード+“他人の本に出す”

広告の話が、かなり実務的で良かったです。

  • キーワード広告:
    「anxiety(不安)」「overthinking(考えすぎ)」「stress(ストレス)」など、悩んでいる人が打つであろう言葉に出す。
    彼は「自分自身が人生に悩んでいたから」、自分ならどう検索するかで選んだといいます。

  • もっと効いたのは「他人の本のページに出す広告」:
    Amazon の商品ページの下にある「おすすめ枠(スポンサー)」に自分の本を置く。
    例として挙がったのが『The Power of Now』『Atomic Habits』など。

読者がいる場所に行く、ではなく、読者が買う棚の前に立つ
これが“見つけられる導線”。


3) どうベストセラー化したか:「広げ方」の順番

ここが今回いちばん学びが多かった部分です。
売れた“後”に何が起き、どう拡張したか。

影響者(本インフルエンサー)に当たりに行く

彼はノンフィクションを紹介するアカウントに連絡し、本を送りました。
場合によっては費用も払ったそう。
重要なのは、良いレビューを強制しないこと。

  • 褒める人もいれば、合わないと言う人もいる

  • それでもいい(本は全員に向かない)

露出を買うのではなく、「読まれる場所に置く」。
本が弱ければ終わる。本が強ければ波が起きる。そこはフェアに向き合ったといいます。
やはり良いものを書くということ。

TikTok Shop/Shopifyで「その場で買える」を作る

TikTok Shop が出てからは、動画に購入リンクを付けて、その場で買えるようにしたそう。裏側は Shopify +倉庫(3PL) で発送。さらに原価を下げるため、印刷もAmazon 以外を学んでいった。
ここまで来ると、Joseph は “著者兼D2C事業者” です。
著者がマーケと販売を持つ時代が来ている。

出版社の価値は「マーケ」ではなく「配本(書店流通)」目的で

そして後に出版社と組む。
ただし理由は「出版社が宣伝してくれるから」ではなく、大手書店(Barnes & Noble、Target、Walmart など)に入れるから

彼の整理が鋭い。

  • オンラインは「置いただけでは売れない」 → マーケが必要

  • 書店は「置かれれば見られる」 → 配本が価値

出版社は万能ではなく、機能として使い分ける相手になる。
リアリティを伴う戦略です。いわれてみればそうだな、という感じです。

翻訳は“向こうから来ない”。だから自分から取りに行った。

本が売れていても、翻訳に関しては、エージェントは勝手に群がってこなかった。「来るはず」と思っていたのに、誰も来ない。だから彼は自分から行ったといっていますそう。

  • エージェントを探して

  • 「本は伸びている。海外展開を手伝ってほしい」と持ちかけ

  • ブックフェア(フランクフルトなど)経由で翻訳権が広がっていったと。

ただし代償もある。
翻訳版では、カバーもタイトルも編集も現地判断で変わる。
自分のコントロールは薄くなる。
でも市場が違うなら、それが合理的だという割り切り。

興味深いのは、最も強い市場がインドだったこと。
精神性との相性や英語の通用度など、文化と市場の噛み合わせがあったのだろう、とのこと。

これは世界展開って欧米だけじゃないってことですよね。
相性の良い場所で先に火がつくことがある。ここも現実的です。たしか、『IKIGAI』という本も一番売れているのはインドと聞いたことがあります。


4) noteに転用するなら:この対談から持ち帰る「実装チェックリスト」

最後に、noteで使える形に落とします。

書き方

  • タイトルは最後でいい(売り文句にしない)

  • 見出しは「問い」に寄せる(答えで殴らない)

  • 文章は巧くより、温度(勢い)を残す

  • 書くフェーズでは情報断食(文体が汚染されるのを防ぐ)

売り方

  • まず「買える状態」を作る(Amazon等)

  • 次に「読ませる」:30秒で本文を見せる(要約より強い)

  • そして「見つけられる」:検索語・棚(他人の本の隣)に立つ

伸ばし方

  • 出版社は“宣伝”より“配本”目的で使う

  • 翻訳・海外は待たない。自分から取りに行く(ただしコントロールは減る)

  • 市場は欧米だけではない。相性の良い場所が先に伸びることがある


おわりに:導線をどうつなぐか 

直感で書き、30秒で読ませ、検索で見つけさせ、配本で広げる。

ベストセラーは才能ももちろん必要。

でもそれだけじゃない、仕組みも大事ということですね。■